今回は、ハットフィールド海洋科学センターのビジターセンターを紹介します。
アメリカの公設研究・教育機関には、一般市民に開放する施設が併設されていることが多いです。例えば、州立大学ではアメリカンフットボールのスタジアム、美術館、大学グッズ販売店、コンサートホールなどなど。ハットフィールド海洋科学センターは、オレゴン州立大学とアメリカ海洋大気局との共同施設であるため、やっぱり一般向けのビジターセンターがあります。私がいる研究機関は水産学、海洋学、気象学、地学に関する研究教育機関であるため、ビジターセンターにはこれら学問領域から得られた研究成果が一般市民に分かりやすく興味を持ってもらえるように展示されています。例えば、
1.三陸の大津波によって太平洋に流れた漂流ごみがどのようにアメリカ西海岸に到達するのかをシュミレーション画像で説明する
2.波がどのようにして発生して大きくなっているのかを簡単な手動の機械がついているアクリルボックスで再現する
3.スケトウダラの仔稚魚に適切な餌を与えたり捕食者から逃避させたりするゲームをさせることで生活史を理解させる
といった感じ。なかなか面白いです。かなり田舎のニューポートでは娯楽が少ないとはいえ、毎日多くの人が訪れて(100人以上は来ます)楽しんでいきます。海洋学はアメリカでは人気のある学問の1つですが、このような一般啓蒙活動が功を奏しているのだと実感しました。
少子化時代の中で、日本の地方大学は学生獲得のために様々な画策を講じていますが、一般啓蒙活動は今後かなり重要な活動の1つになると個人的にはおもっています。これからの大学教員は、教育・研究・一般啓蒙活動とマルチな活動ができる人が望まれるのでしょうね。うちの学部にはそのような先生がたくさんいらっしゃいますので、私も見習わなくては。
