IMFのトップは日本から出すべきだ
こんばんは。
小林鷹之です。
今日は夕方から天気が崩れましたね。
傘を持たずに外を歩いていたので、クリーニングに出したばかりのスーツがびしょびしょになりました(苦笑)。
こんな日は疲労も溜まりますが、帰宅後の娘の笑顔で全てが吹っ飛びます(笑)。
さて、先日、IMF(国際通貨基金)のストロスカーン専務理事が辞任しました。
IMFとは、平たく言えば、ある国が資金繰りに困った時にお金を貸し出し、通貨や世界経済の安定に寄与する金融機関です。
開発金融を担当する世界銀行と共に、ブレトンウッズ機関と呼ばれ、とても影響力のある国際機関です。
そのIMFのトップを専務理事(Managing Director)と言います。
これまでは、設立以来、ずっと欧州から選出されてきました。
一方の世界銀行のトップはアメリカからとなっています。
これは何か明文の規定があるわけではなく、慣習に過ぎません。
今回のIMF専務理事の辞任理由もさることながら、世界経済における新興国経済の占める割合が増加してきていることから、この慣習に抵抗する動きが最近強くなってきています。
今朝の読売新聞の社説でも、「IMF専務理事を(新興国である)中南米やアジアから選ぶべきだ」との主張が掲載されていました。
財務省での勤務時代、IMF関連の仕事にも携わりました。
その時の経験に照らして言えば、私は、専務理事を欧州から選び続ける必要はないと思います。
しかし、新興国である中南米やアジアから選べば良いとも思いません。
何故なら、ブラジルやアルゼンチンを含め、IMFから融資を受けてきた国、つまり資金の借り手国から貸し手である金融機関のトップを選ぶというのはモラルハザードや利益相反といった問題を惹起すると考えられるからです。
であるとすれば、欧州以外で専務理事を出せる国はどこか?
私は、日本しかないと思います。
IMFにおける存在感を示す一つの大きな指標は、クォータ(出資割当額)と呼ばれるものです。
このクォータは相対的な経済規模によって決定されますが、具体的には、GDP、開放度、外貨準備等の要因によることになっています。
クォータはIMF内における投票権の大きさとも連動します。国連とは異なり、一国一票ではないんですね。
そして、我が国は米国に次いで二位の地位を占めている。
しかも、2008年のリーマンショックで崩壊寸前にあった世界経済を支えるにあたり、IMFは大きな役割を果たしましたが、何故それが可能だったのか。
危機の直後に、真っ先に日本政府(麻生内閣)が手を挙げて、IMFとの間で1,000億ドルもの緊急支援を約束したんですね。
日本が口火を切ったからこそ、他の欧州や新興国も後を追って支援を約束したんです。
これまでの経緯を見れば、日本が専務理事を出しても全くおかしくないんです。
確かに、こういう国際機関の長のポストを獲得するには、緻密な戦略と入念な根回しが必要であり、そう簡単にはいきません。
だからこそ、そういう作業が不得手な我が国は、波風を起こすことを避け、専務理事の下にいる3人の副専務理事のうち、一つの席を確保し続けることで満足してきたところがあります。
しかし、既に波風が立ち始めている今の状況に鑑みれば、我が国としては、欧州や新興国に遠慮することなく、本気でトップを狙いにいくべき時期が来ている。
それくらいの気概を世界に対して堂々と示すべきです。