アーケード名店街は静岡県沼津市にある商店街です。

東海道本線沼津駅の南西、650メートルくらいのところにあります。

現在でこそ駅から少し離れた商店街ですが、少し前までは駅から「アーケード名店街」、更にその先の本町商店街まで、商業地が連続していたようです。

今は少し落ち着いてしまっている「アーケード名店街」ですが、建築関係者の中ではとても有名な防火建築帯建築なのだそうです。

 

沼津市史によると

「アーケード街は西側が昭和二十八年十二月に、東側が同二十九年十一月に完成したが、総延面積七、五九〇平方メートル(約二、三〇〇坪)商店数五〇に及ぶ大規模なものであった。この商店街の二階以上が歩道に突出しているのは、都市計画による道路拡張のため各店舗を後退させる必要があったのを、松菱百貨店の建物の移動が困難なため、便宜的に松菱の一階に歩道を貫通させ、他の商店はこれに準じて一階だけ後退させ、二階以上は店舗兼住宅に利用させるという苦肉の策がとられたものである。これは全国でも類のない建築方式で沼津の一名所となり、四季を通じて各地から視察に来る特異建築となった。」

とあります。ちょっと長かったですねw。

 

ということで、商店街共同建築のモデルケースになったらしいです。

素人の私でさえも、現地でこのまちなみを初めて見た時に「これはとてもきれいで、すごいなー」と感じました(それだけかい・・)。特に現代の共同建築とは違い、建物形状の優美さ、計算されたまちなみ風景に感動しました。しっかし・・またまた出てきました!デベロッパー!フジタとタカラレーベンです(タカラは岡島百貨店跡でも出てきたなー!!)。

ということで残念ながら、これらのまちなみは破壊される予定なのだそうです。無念!(ま、所有者や権利者でもないので、外野からワーワー言っているだけですがね・・)

 

2021年12月、2023年4月に訪問しました。ダラダラと同じような画像が並んでいるのは、このまちなみに感動したからですので悪しからず・・。

 

「アーケード名店街」の北側出入口です。完成当時のゲート看板の意匠ではないようですが、レトロ風な感じにしてあって、ナイスです。道路両側建物の端部が曲面になっています。そしてその部分が歩道上にはみ出しています。

 

ゲートから少し進んだところから南側を見ます。

防火建築帯が中断し、別の建物が建っているところもありますが、それ以上に建物やまちなみのインパクトが強くてそんなことは気になりません(ま、ちょっとは気になるのですがね・・どっちやねん)。

 

引用した「沼津市史」に書かれている通り、2階部分が歩道上にはみ出しています。

雁木みたいな感じでもあります。

 

上の画像、アーケードの向こうに写っている建物です。この建物の角が曲線を描いています。

元々はすべて2階建ての建物で、後に増築し3階建になったそうです(増築せず2階建てのままのところもある)。

西側の建物なので、昭和28年に完成したのでしょうか?角の曲線を描いている部分の意匠は昭和初期(大戦前)時代を引きずっているような気がすると当時に、時代の連続、意匠の連続が同時に起こっていることが実感できるような気がします(建築の専門家でもないくせに大層なことを言うなと言われそうですが・・)。

 

建物の間にもアーケードが設置されています。

左右の建物の外観が異なっていますが、後年、後年改造されたのでしょうか?それとも元々?

 

屋根がそれぞれの歩道にかけてあると同時に、この交差点で相対する建物の角の形状が同じです。

全ての建物角が曲線を描いていて、うっとりと見とれてしまいました。

 

画像右の建物に掲げられていた看板です。布団屋さんなのでしょう。

 

同じく東側の建物のアーケードです。ほんと、なかなか見ない風景です。

営業している店は半分かもう少し少ないくらいだと思います。美しい風景です。賑わっていたころのことを想像すると、ワクワクしてきます(病に侵されていますw)。

 

今度は南側を見ます。街区の南端までもうすぐです。

 

上の画像、左に写っているビルの南端です。一部、竣工時の2階建てのままのところもあります。

 

更に南側から北側を見る。ちょっとこの辺りは営業中のお店が少ないです。

 

「アーケード商店街」南端です。こちらのゲートは骨組みだけです。立派な骨組みです。

更にここより南にも「本町商店街」の片屋根式アーケードが続いています。

 

アーケード内、店名が書かれた行燈看板です。もしかして、竣工時からあるのでしょうか?

アーケード名店街は沼津市美観地区条例が適用され、看板の大きさや照明の設置位置には統一性が求められ、美観を害する工事は禁止されているとのことです。この条例のおかげもあってか、このまちなみが今まで守られているのかもしれません。

 

夜の風景です。夜は夜で、また違った雰囲気を楽しめます。ほんと綺麗です。

第二次世界大戦の後、まだ混乱が少しは続いていたであろう時期に、このような建築帯を完成させたことは称賛に価いすると思います、また、終戦後建築の遺産として何とかならんかったのかなーともおもいますが、所有者のことを考えるとそれも難しいのでしょう。

 

だいぶ前に採りあげた岡山市の「岡ビル市場」も昭和26年竣工ですから、こことともに戦後初期のコンクリート建築物でとても貴重なものであると思います。しかも、両事例とも当事者たちが置かれている立場をいい方向に変えていこうと、協同して真剣に取り組まれた結果の建築物です。しかし、戦後の建物は終戦直後の混乱期にあって完成したものであっても、価値を認められることなく、容赦なく再開発というお題目の基に破壊されていきます。一切の権利者ではない私を含む外野がワーワー言ってもどうしようもないことはわかっています。なので、無理せず行ける範囲で見学に行ってるわけです。アーケード街は登録有形文化財に価する建築、まちなみだと私は思うのですが、静かに破壊の時を待っているのでしょう。残念!(岡ビル市場も破壊への道筋が定まっているそうです。残念!)・・(ちょっと長かったかな・・?)

 

アーケード名店街、沼津アーケード名店街、本通アーケード街

"ARCADE MEITENGAI" shopping street, Numazu city, Shizuoka.