何度もこの場で書いたことだが、
オンナゴコロが、昔からわからない男だ。
期末テストの前夜に「寝ちゃってぇ、何にもやってないのォ」と騒いでいるひとに限って、満点を取る。
生まれた時に、脳みそに単語や年号がプレ・インストール(予め記憶・記録されている)されているのだろうか?
披露宴で新婦の友達の祝辞が始まる。
なぜ、ぞろぞろと四人も五人も一緒に出てくるのだろうか。新郎側は、だいたい、代表として独り出てくるだけだ。
そして互いにマイクを譲り合いながら歌うので、結果、歌の無い歌謡曲、になってしまう。
林間学校の朝飯の時のこと。
ずらりと並ぶ生徒たちの端のテーブルに、味噌汁の寸胴鍋や、大きな炊飯器が置かれている。
育ち盛りだ。
男子生徒は席をたっては炊飯器に並び、お替わりのご飯をよそう。
中には、二度、三度お替わりする大食漢もいる。
僕は少食なのだが、ご飯を大盛りにして席に戻り、
お替わりしたいのにできないでいる女子に、「どう?分けない?」と声をかけると、女子は固唾を飲んで「いいの?」と上目遣いで、箸を伸ばした。
与える男の優越感、というやつである。
ルックスと偏差値で勝てない僕は、
昔っから、こんな姑息な手で、オンナゴコロを掴もうとしていたのである。
しかし、ひとり、女子が遠くの席で立ち上がり、炊飯器の前に立ち、ご飯をお替わり
した。
まるでジムのマダムたちのように、男子生徒が、
コソコソ
コソコソ
とやり出した。
「あ。二組の山村♀、お替わりしてやがる、クククク」
以後、二組の山村さんのあだ名は、
なぜか、ヨネムラ、になっていた。
ご飯
↓
米
↓
コメムラ
↓
ヨネムラ
となった。
オンナゴコロがわかれば、
こんなヒドイあだ名は付けないはずだ。
まだまだオンナゴコロがわからないで、54歳になってしまった。
都下、名店の、居酒屋W。プルコギ山盛りで、500円。