帯状疱疹の湿疹が右額に、
赤くただれている。
残りわずかとなった前髪を、
無理矢理前に下ろす。
控室で身だしなみを整えていると、
「後、5分です」
と若手が呼びに来た。
否が応にも期待が高まる、この品書きと、配色。赤壁、黒い画用紙、黄色い文字。これぞ街のラーメン屋スタンダード。
ここからが、僕のルーティーン。
会場に入ると着座している知り合いを探し、挨拶に伺う。
この奇抜な行動に慣れた今の若手たちは、
柵を開ければ巣にすっ飛んでくるペットと同じで、
時間には必ず登壇者席に戻ってくることを知っている。
数人と会話を交わす。
目ざとい仲間はすぐに見つける。
「あれ?額、どうかした?」
「ん?更に肥った?顔パンパン」
すると司会者がこれから始まる発表会に先立ち、あれこれ説明をし始めた。
じゃ、そろそろ、戻るか。
んー。この餡、うんめぇ。。。韮とニンニク強めだから、なんだか、帯状疱疹も治りそう。
「では、歌って踊って30年。
人生と打球は低空飛行、
足軽、槍持ち野武士を経て、
今日お集まりの皆様にお見せしますは、
名画の再現、<会議は踊る>です。
では、DJ Funky Kova、
どっぞーーーー!!!」
再掲。細く裂いたシナチク、味わい深い煮豚、儚く消える恋のような海苔、全てが、○。
詳しくはここでは書けないが、
普通の企業セミナーでは使わないフレーズ満載。
低い位置から世の中を見上げてきた自分だからこそ、の、表現だと思う。
「街道沿いに立て掛けられた、冷やし中華始めました、という幟。あれ、皆さんの仕事には無関係なもの?」
「異業種の方々が、
ブルーシート広げお客様を座らせ、
賑やかに紫陽花祭をしているのに、
僕らはそれを、
指とさきいかくわえて見てるだけ?」
「夫婦が向き合うテーブル。
見つめ合わずそれぞれに、
夫はスマホでゴルフの予約、
妻は、
ネイルサロンのクーポンを見ている。
楽天さんは、彼らを夫婦だとまだ気づいていない。しかも、冷めきった。。。
あ、我が家の話です」
ダンスをしていて、よかった。
皆のように毎日はできないけれど、
ダンスはつまるところ、
心からの叫びを伴う
崇高なる自己表現、だと思う。
職場の皆に止められても、僕は、続ける。
そうすれば、
僕も美マダムたちに負けないくらい、
毎日研鑽していることになるからだ。
そして、心も、踊る。
最後は、会議も、踊る、のである。
この歴史ある佇まい。今回は屋号出しますよ。独自の厳格なる判断で、です。
いつまでも、いつまでも、と店の永続を願うのです。