マリウスが
健人くんと風磨くんに捕まった。

ふたりとも
マリウスのことが大好きだから
構いたくて仕方がないんだよ。


一瞬だけどマリウスが
僕に救いの視線を投げてきた。

・・・マリウス・・・・ごめん。

今の僕に
団結したふまけんを
止められる力なんてものはない。




聡なら・・・。
きっと聡ならできるんだ。
待ってる。待ってるからね・・・聡ぉ。

僕は
頑張れという気持ちを乗せて
マリウスに手を振った。



何だか眠くなってきた。
いつ寝たっけ?
何時に起きたっけ?

記憶があいまいだ。

テーブルに両腕を乗せて
肘を折り曲げ
その上に顔を伏せた。





「・・・り。・・しょー・・り・・・?
  眠いの?  頭痛いの?
  体ダルいの?  痛いの?」

僕の背中を温かい胸が
優しい腕が包み込む。

鼻をかすめるよく知る香り。

僕の大好きな低くて甘い声。

目を閉じていても誰だか分かちゃうよ。



「うん。大丈夫だよ。
  ちょっと眠かっただけだから。
  そんなに心配しないでよ・・・健人くん。」

言葉を発してから
ゆっくりと目を開けて
テーブルから上半身だけを
起き上がらせた。

緩んだ腕に
ちょっとした寂しさを感じた。

だけど
絶対にそんなことは教えてやらない。
僕の変なプライド。


「もう時間?
  スタッフ呼びに来たの?」
「いや・・まだだけど・・・。
  写真撮るから顔上げといた方が
  いいかなって思っただけ。
  勝利には、あんまり関係ない事か。」

そう言って
僕の隣のイスに座り
片手を伸ばして
健人くんは僕の頬を撫でてきた。