ちょっと前のエントリーに「あんまり好きくない」と書いたばかりの白鳥。

んでも、実は私が大輔さんの試合を見に行くきっかけはこれでした。


当時、大輔さんは世界選手権金メダル最有力候補。いや、当時のファン目線を差し引いても今年のPさんくらい、まあ、絶対に穫るやろうくらいの選手でした。
その理由が

完全無敵のSP HIP HOP SWAN  と 2回のクワドが入ってるTESの鬼 ロミオとジュリエットのFS

この二つを引っさげて、颯爽と登場した大輔さん。

SPの衝撃は忘れられません。
スケートアメリカの放送。確か、その頃はあんまり男子は放送してくれなかったように思いますが、どっかで見てびっくりしました。

「な、なにこれ。カッコいい」

その年の話題はもうずっとそれ。今年のプログラムはあれを超える物はないだろうと、前半の話題はこれがかっさらっておりました。

DAISUKE TAKAHASHI の名前をダンサーとかアーティストとかそういった単語と一緒に世界中に記憶させるきっかけになった、まさに大輔さんの出世作。そして、ニコライさんのプログラムの穴があんまりまだ見えなかった頃、彼の才能のきらめきに皆が酔いしれていた頃の、ニコライの最高傑作でした。

その年の全日本選手権は大阪なみはやドーム。

「SP見たいな、本物」
まだ、私の大輔さん好きは テレビでわーわー応援するくらいだったのですが、このショート。見れる物なら生で見てみたい。
幸い、今では嘘みたいな話ですが、この当時、まだe+でチケット軽く取れました。ショートはあっさり、フリーは一回落ちたんですが、戻りチケッットの情報をどこかのファンサイトで見つけて、すぐ申し込んで取れました。まだ、男子の人気はそのくらいだったんです。

なので、私はホクホクしながら、会場に行った物です。
あの、凄いSPを見る為に。

初めての全日本はびっくりする連続でした。
何しろ、レベルの差が激しい(^▽^;)

まるで、素人とプロが同じ試合でやってるみたいな感じです。もう、衣装からして「ゴミバケツ色のつなぎ(ブルー1色)」とか「10年くらい同じの部で着てるけど何か?」みたいな感じで、
「え?テレビで見てるのと違う(-。-;)」って、焦った物です。

その当時、確か全選手が抽選でだらーーーとグループ分けされる(ある程度固まっていたので、何かしらの配慮はあったと思いますが)感じだったので、大輔さんがいつ、滑るか分からない。会社を慌てて飛び出して、走った記憶があります。

流石に、大輔さんの滑るグループはテレビで見た事ある選手もばんばん出てきました。この年は織田選手が例のアレで出場できなかったのですが、全日本から復帰するという噂もありまして、私はその当時彼の事ももちろん応援していたので、
「おお、二大スターが見れるのね」とか、思っていた物です。結局、彼はその年の競技は全てお休みしてしまし、シーズン最後にとんでもない爆弾を落としてくれるのですが。それはまた別の話で。


で、大輔さん。HIPHOPです。会場は大盛り上がり。一人別次元。

なんか、全ての光は大輔さんの為にあるような、もう勝負じゃなくて、大輔さんのノーミスの演技を見に来たお客さんみたいな。大輔さんのコンサートを見に来てるような、そんな雰囲気でした。しかし、そこは真剣勝負。緊張感が全然違います。

大輔さんはSoCoolに演技を決め、場内はスタンディングオベーションの嵐。

はらしょー!わんだほーーーーー!!!!!

見に来て良かった≧(´▽`)≦ なんでカッコいいんでしょう。やっぱり生は違うわね~

ああ、わたくしは、ここで試合観戦の魔力に取り付かれたのです。
いくらアイスショーを見に行っても、あの緊張感と真剣勝負の面白さには叶いません。

そしてこれが、高橋大輔という選手に心底惚れ込んだ瞬間でした。

他の誰とも違う世界をたった一人突き進んでる、孤高のエース っっw(←当時はそう思ってたんだよ)

でも、キスクラではほやんとしていて可愛いとか、女はギャップ萌えに弱いんだよヽ(`Д´)ノ


というわけで、私はこの年のショートプログラムは大好きだったのです。

あの事があるまでは。

四大陸で世界最高得点を叩きだした大輔さん。最早向かう所敵無し。金メダルをとることより、何点で優勝するだろうとかそういう勢いでした。
イエテボリのワールドはきっと大輔さんの壇上一番高い所に立っている姿が見られるに違いない。いいなぁ、現地の人、超羨ましい~

そんな、楽勝モードだった、2008年のワールド。

あっさりと、それを崩してくれたのもスワンでした。大輔さん、そこまでほぼノーミスだったスワンで失敗してしまったんです。このシーズン、SPの貯金を最大に稼ぎ、FSのクワドで逃げ切る戦法で連戦連勝してきたんですが、実はファイナルでもほんのちょっとのミスで、ステファンに優勝を持っていかれていました。思えば、無敵ではないとあの時気がつくべきだったのに。

大輔さんのジャンプの調子は落ちてました。可哀想なくらい落ちてました。
そして、ロミオとジュリエットは、大輔さんの失敗をカバーしてくれる様な「このプログラムは凄い」という評判を持ってる振り付けではなく、あくまでも 大輔さんのクワド2本が入って初めて完成されるプログラムだったのです。

結果は台にも上がれず4位。何というか、「え?」という終わり方のシーズンでした。

何が起こったのか分からない。今年の大輔さんは世界最強だったんじゃなかったっけ?
茫然自失で過ごしていた時、

そんな頃、あれが起きたんです。
モロゾフコーチとのお別れです。

原因は、同じ学校で1学年下の織田君がモロゾフに付くという事態になった事でした。大輔さんは、
「同じ国のライバル同士で同じコーチに付くのは僕は違うと思う」と会見で言ってました。その会見に当事者の織田選手の姿はありませんでした。彼はモロゾフさんにつくという発表の後、アメリカに跳んでしまっていたのです。

どうして、そんな事になったのか。今を持ってモロゾフ側と織田選手側の言い分がまったく反対なので分かりません。相変わらず大輔さんサイドは口を閉ざしたままです。

でも、当時せっかく消えかけていた「ガラスのエース」という有り難くない「精神力が弱い論」がやや復活し、最悪の終わり方をしたシーズンの、これがさらに上げ底で、実はまだ底があったという自体に、私は打ちのめされました。

ニコライさんを離れる決心をしたのは大輔さんでした。でも、オリンピックまではこの体勢でいくと決めていたと後ほど歌子先生が語っていました。大輔さんは頑に口を閉ざしていましたが、歌子先生は我慢出来なかったんだと思います。
その後の試合もショーもぼろぼろで、私なんかは大輔さんがどうなっちゃうのか、ハラハラしっぱなしでした。
何か大事な物を無くした様な、酷く裏切られた様な、自分の事でもないのに、悔しくて腹立たしい感じがふつふつと起こってくる様な、そんな感じでした。

私の07-08シーズンの終わりはそんな思い出と一緒に終わっています。

だから、たぶんあんなに大好きだったスワンは、とても苦くやるせない思い出を引き起こすので、あんまり好きじゃないんだと思います。大輔さんも、頑に「もう滑らない」と言い続けていました。海外でも一番人気があって、やはり大輔さんの代名詞的プログラムです。滑って欲しいと公式、非公式を問わず要請はあったでしょうが、「NO」という大輔さんに、それを強要出来るスケート関係者は居ないだろう、たぶんあの当時を知ってる人なら誰だって…そう思っていました。

あれは二度と見られないんだなって、半ば諦めていた 何というかそういうプログラムです。

で、優君のインタビューの時に背後に一瞬聞こえたイントロ。
あれを聞き間違えるオタはもぐりです。あれは HIP HOP SWAN のイントロです。間違いないです。
日経のインタビューでも大阪と違うのをやるかもって原さんに振られて答えてます。まだ練習中と言葉を濁していた大輔さん。

もし、明日あれを大輔さんが滑るなら、ああ、一目でいいから見たいなぁ

そんな気分になった事に、凄くびっくりしました。何だか本当に不思議なんですがね。

あれを、大輔さんが「まあ、滑ってお客さんが喜ぶなら滑っちゃおうかな」って思える様になったんだったら、

私はそれが一番嬉しい。

離れていっちゃう、それはやだ の観点で どんな事しても取り戻すって感じなのか、はたまた、ロクサーヌのように昔と今の違いを肌で感じたいのか、両方か

それは分からないけれど…

明日、大輔さんがスワンを滑るなら… せめて放送してくれると嬉しいんだけどなぁ≧(´▽`)≦


行く人、もしスワンだったら、それはとっても貴重なものなんだよ。大輔さんとデーオタの哀しみが一杯詰まったプログラムなんだよ。だから、すごくラッキーだよ。もう大輔さんも私たちもあの事を哀しく思わなくていいんだって事なんだよ

って、塩っぽく締めておこうと思いますо(ж>▽<)y ☆