第2038回「ボロディン生誕記念、takt op.で話題のポロヴェツ人の踊り含む《イーゴリ公》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日11月12日はアレクサンドル・ボロディンの誕生日です。今年で生誕191年となります。そんな本日ご紹介していくのは、ボロディンが亡くなったことによって未完成となってしまった歌劇「イーゴリ公」です。「イーゴリ公」といえば有名な曲は第2幕にて演奏される「だったん人の踊り」もしくは「ポロヴェツ人の踊り」でしょう。つい先日「takt op. 運命は真紅き旋律の街を」の劇伴音楽集Vの配信記念に合わせて未公開ムジカート「ポロヴェツ人の踊り」が公開されました。この流れに歓喜された方も多いはず。

 今回はそんな「イーゴリ公」をワレリー・ゲルギエフ&サンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団による名盤で取り上げていきます。


「ワレリー・ゲルギエフ指揮/サンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団」

ボロディン作曲:
歌劇「イーゴリ公」



 ボロディンの誕生日が近いタイミングで「タクトオーパス」でポロヴェツ人の踊りが公開されたのは偶然かもしれないが、タイミングとしては非常によかったと思える。私自身「だったん人の踊り」を高校時代に2回ほど吹奏楽部時代に岩井直溥編曲による「だったん人の踊り〜バンドとスネアドラムのための〜」を演奏したことがあった。この時のスネアドラムを演奏したのは「blast」に参加されたこともある石川直さんだ。マーチングスネアドラムソロ世界大会に5回出場し、そのうち3回優勝、2回準優勝となっている(日本人初、世界最多)。


 以下に石川直さんの演奏ではないが、海上自衛隊横須賀音楽隊の演奏がYouTube似合ったので載せておく。




・ボロディン:歌劇「イーゴリ公」

録音:1993年9月28日〜10月2日

 序奏付き全4幕からなるオペラで、演奏時間は約3時間14分。ボロディンがこの作品の完成前に亡くなってしまったことにより、未完の大作だったがグラズノフとリムスキー=コルサコフによって手が施され完成された。序曲をグラズノフが作曲し、リムスキー=コルサコフは第1幕、第2幕、第4幕、第3幕の「ポロヴェツ人の行進」を編曲した。現在では序曲と「だったん人の踊り」が特に演奏されており、オペラ本編に関しては滅多に演奏や録音がされていない。その中でもゲルギエフは繰り返し上演を行っている。


 今回の演奏はそんなゲルギエフによる名盤である。現在では廃盤となっているため、手に入れるのには一苦労するかもしれないがこの録音における重要性は非常に高いとも言えるかもしれない。録音状態は比較的に良く、臨場感もたっぷりと味わうことができるようになっている。重厚的なサウンドを奏でる面もあれば、テンポの緩急からなる鋭さのあるロシア・サウンドを聴くことができるというのも面白いポイントだろうか。特に金管楽器の音色は特徴的でないとしても音圧も多少あるため驚かされるのは間違いない。歌手や合唱による幻想的な歌声と伸びやかさは圧巻のものとなっており、目の前で演奏が行われているかのような臨場感もある。それによって3時間という時間はほとんど気にならなかったのは言うまでもない。


・イーゴリ公:ミハイル・キート(バス)

・スクーラ:ゲオルギー・セレズネフ(バス)

・エローシカ:コンスタンティン・プルジニコフ(ヴォーカル)

・ウラジーミル・イーゴレヴィチ:ゲガム・グリゴリアン(テノール)

・コンチャコーヴナ:オリガ・ボロディナ(メゾ・ソプラノ)

・コンチャーク汗:ブラト・ミンジルキエフ(テノール)

・ガーリツキイ公:ウラディーミル・オグノヴィエンコ(バス)

・ヤロスラーヴナ:ガリーナ・ゴルチャコヴァ(ソプラノ)

・オヴルール:ニコライ・ガシーエフ(テノール)

・ポロヴェツ人の娘:タチアーナ・ノヴィコヴァ(ヴォーカル)

・乳母:エフゲニア・ペルラソヴァ=ヴェルコヴィチ(ヴォーカル)

キーロフ合唱団


 ゲルギエフによるオペラ録音はいくつか存在しており、特にロシア人作曲家によるオペラ作品の録音が多い。数少ないチャイコフスキーの歌劇「スペードの女王」も録音しているのでいずれこれに関しては聴きたいと思っている。今回「イーゴリ公」を取り上げたが、普段聴き慣れた「だったん人の踊り」のみで聴くよりも音楽的な繋がりがよくわかりやすい印象を受けたので、こうしてオペラ本編を聴くのも良いと思えた。他の指揮者による演奏があるかも含めて今後も探していきたい作品の一つである。



https://tower.jp/item/541872