以前、とあるラーメン屋での話です。
ラーメン屋の店主とは個人的な付き合いもあり、
店には、ちょこちょこと顔を出しておりました。
昼間は知りませんが、夜はまったくと言っていいほど
お客さんが居ません。
なぜなら、そんなに美味しくないからです。
それでも僕は、いつものようにカウンターの席に座り
店主と話ながら飲んでいました。
店主も店が暇なのでチュウーハイを飲んでおります。
時間も夜中の12時になろうかという頃に
1人の男性客が勢いよくドアを開け入ってきました。
その男性客は、外を見ながら大声で
「会長！こちらです！」
と、誰かに声を掛けています。
どこか会社の会長さんかなっ、と
2人の男性が入ってきました。
どうやら、小太りの人が会長で
もう1人が運転手のようです。
そして、3人の男性客がテーブル席に着くと
最初に入って来た男性が、
「おいこらぁー！はよ注文聞きにこんかい！」
と、またまたデカイ声で怒鳴りつけています。
店主が注文を聞きに行くと、
「ギョーザ3と、ラーメン3や！
おいこら！聞いとんのかい！」
と、またまたヤカラ振りを発揮。
店主は、のほほんとした人なので
「ギョーザ3にラーメン3ですね」
と言うと、
「聞こえとんねんやったら、はよ作ってこんかい！」
と言いたい放題です。
僕は内心、笑いそうになりましたよ。
しばらくして、ギョーザとラーメンが運ばれ
なぜか、その時だけは静かに食べておりました。
3人が食べ終わり、レジに進むと
ヤカラっぷり発揮の男性が、
「なんぼや！ぼっとったら この店潰すぞ！」
と、4000円程の代金で気合入ってます。
まあ、ここでも笑いそうになりましたよ～。
だって潰れるのは時間の問題だから。
が、しかしあれだけ気合バリバリの男性が一歩下がり、
会計をしているのが会長だったわけです（なんで？）
あれだけ意気込んでて、お金払うの会長？
じつに面白い、コントのような30分間でした。
因みに店主は、
「黙ってたら、ええ男やのになぁ～」
と、つぶやいておりました。
のちに、言うまでもなく店主は
ラーメン屋の看板を永遠に下ろしました。
コワい人たちから教えは、
「紳士的にならないと、かっこ悪いぞ」
と、言うことだと思います。