額賀澪さんという方が著者です。

 

結構他にも作品を多数出版されている方のようです。

 

今回初めて名前を知りました。

 

会社が買収されたときの社員側からの視点で物語が進んで行きます。

 

ビジネス小説だと買収側からの立場などで書かれていることが多いですが、あまりビジネス小説という感じではありません。

 

買収されるのは石鹸や洗剤などの日用品を製造しているメーカー。

 

社長の会社への執着心が全くなく、元々会社を引き継ぎたくもなかったという、露骨な態度です。

 

この本では、買収劇ではなく、買収された後の、企業統合のプロセスで、どのようにして、買収された側と買収された側がうまく仕事をやっていけるかに腐心する総務の人の目線で物語が進みます。

 

いろいろ試みますが、年配の社員からは不満たらたらで、けんもほろろな対応をされてしまいます。

 

合併後の人員整理や事業所の移動などの動きが出てくるあたりは、現実感をもって読み進めることができました。

 

石鹸洗剤の匂いに対する淡い思い出などが綺麗に叙述されている小説でした。