(超実戦版)金管バンドのためのスコア・リーディング | 河野一之のブログ

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(超実戦版)金管バンドのためのスコア・リーディング

金管バンドには金管バンドのスコアの読み方がありますが、吹奏楽やオーケストラとも共通している部分も数多くあります。

このブログでは様々な知識と織り交ぜながら現場で得た経験を元に超実戦的なスコア・リーディングテクニックを書き出します。(和声分析や他楽典などの知識については他のブログや本をご参照ください。)

 

多くの場合、スコアはリハーサル日程よりも前に送付されることが多いですが、時たま当日渡されることも多いです。またお忙しい方などはスコアに時間を割く時間が少ないともいえます。

 

ということで、スコア・リーディングの短時間ver.と長期間ver.の二つを主軸に説明を行なっていきます。

 

これを読めば、実際に明日から現場で使える知識を手に入れられます。

 

もくじ

  1. 短時間ver.

  2. 長期間ver.

  3. まとめ

 

1、短時間ver.

なんのためにリハーサルを行うかというと

 

・目標の達成

・問題の解決

・次回への課題

 

の三つに分けられます。この三つを元に短時間でスコアを読むとなるとかなり調べる内容を絞らなくてはなりません=闇雲にやっているとGame Overです。

 

そこで今回の条件設定は

 

・リハーサル開始まで30分

・数曲頂いた体

 

で進めていきたいと思います。

30分あるので大体一曲5〜6分計算でいきましょう。

 

まず第一に上のリハーサルの目的に沿って考えます。スムースに2時間だったら2時間でリハーサルを成功させなくてはなりません。そう考えるとまず初めに見る点が

 

・進行

曲がどのように始まり、どう流れ、どう終わるのか

←拍子

←速度記号

←各種リピート記号

 

の確認が重要になってきます。これは事前にチェックなしでは振り間違いやすいですし、奏者も落ちやすい項目です。ですのであらかじめ確認をし口頭で説明もしてあげましょう。

 

奏者をしていればよくお分かりになるでしょうが、指導者のほんのちょっとの動揺が雰囲気や棒に現れますし、それが音に出ます。なので事前に見られる部分は必ずチェックしておきます。

 

・曲名や作曲者名、楽譜に書かれてある文章や絵を検索する

楽曲の背景や曲想がわかります。

それにより下の強弱のつけ方やテンポの設定がしやすくなります。これがわからないとただ楽譜に忠実な演奏にだけなりやすく指示がより難しくなります。

 

例:Hymn from 〇〇と書いてあった場合

賛美歌なのでここのアクセントは強調というよりかはフレーズの頂点的な意味なので、強く舌だけをつくようなアクセントよりか息圧をあげるようなアクセントで

 

←曲について調べることにより(TPOに完全によりますが)このようなアドバイスができます。

 

・強弱記号の確認

曲の山場や節目、フレーズ、表現法が強弱の彩によって可能です。

最低限、記号で書かれているものや、subit.pやsubit.fなどはマーキングをし指示を出しやすくします。

 

・ミュート・ワークや特殊奏法を確認する

曲によっては多彩なミュート・ワーク、さらに抜き差しの具合まで指示がきているものがあります。また特殊奏法もあります。それをわかるものはマーキングしておいて、そうでないものは奏者に聞いたり調べます。(googleで数秒で調べられるものから意味不明なものまでありますが、意味不明なものは作曲者に後日直接連絡をします。)

 

・指揮の練習

残り時間が1〜2分あったらそれをフルに使い難所の指揮の練習を行います。

 

ここまでで概ね5〜6分かかりますのでリハーサルに間に合わさせられます。慣れればもっと短くなったり曲によって変わりますのでそれはTPOに合わせて省く箇所を作ったり、より深く掘り下げる箇所を増やしたりと随時行います。

 

 

 

2、長期間ver.

続いて事前に楽譜をいただき研究の時間がある場合です。

ここでは自宅でPCや楽器がある状態を想定していますのでない場合はスマフォのピアノアプリなどを使用し代用してください。(無料のものが多数あります。)

 

また下に述べるものは全て上記した1の5項目全て終わっているという体です。

 

・分からない楽語を調べる

普段目にしない楽語があった場合調べる必要があります。

また題名や作曲者名から曲の背景がわかっている状態で調べることにより、その楽語がなぜ使われているか因果関係が見えてきます。またイタリア語→日本語よりも、イタリア語→英語で調べた方がニュアンスがわかりやすい場合もあるので自分が一番しっくりくる=他者に説明しやすい方法を選びます。

 

河野はこれをよく使います。

 

イタリアで僕たちが楽語として使っている言葉がどのように実生活で使用されているかを知ることにより作曲者がその楽語を使用した意図との因果関係がわかりますし、他者にも説明がしやすくなります。

 

またここで得た情報全て曲の背景を踏まえて

←奏者が聞いて演奏に反映しやすいように

 

説明することが何よりも大事です。

ハイ、アンダンテ歩くように→どんな陽気でどんな速さでどんな感情を持って?

 

みたいな感じです。

 

・参考音源や原曲を聞く

そのままです。特にアレンジものの際は原曲は必ず聞きます。金管バンドを演奏していて金管バンドの音色がするのは当たり前で、そこからオケやパイプオルガン、歌や木管楽器のような響きが出るから面白いのです。そのためにスコアを読みバンドを導く人や奏者全てが様々な音を知っている必要があります。

 

・速度記号や強弱記号、表現記号(Articulation)のイメージを作る

どのように記号の効果をかけていくのか、曲が持つエネルギーや背景、そしてバンドの魅力の三つを掛け合わせた上での完成形をある程度イメージしておきます。そうするとどのように効果を使用していくか自ずと見えてきます。

 

・原曲のスコアを手にいれる

録音を聴くのと同時に原曲のスコアがあるようなオケや吹奏楽、パイプオルガンや歌などの曲は可能な限り手に入れましょう。アレンジされた総譜に書かれた不明瞭な箇所が原譜と照らし合わせることによりわかりやすくなったり、金管バンドで言えば打楽器のパートが省かれていたり少なくなっている場合が多いので原曲から引用できます。(移調譜に注意)

 

・フレーズや旋律をわかりやすくしておく

どこが作曲者が一番聞かせたいのか、フレーズ(音楽の節)はどのようになっているのか、リハサール中の一瞬の判断が必要な場であらかじめ印をつけておけばわかりやすいです。

 

・自分の好みの箇所も印をつける

上記の作曲者や曲が持つエネルギーを理解した上で自分の個性を出していきましょう。

 

・楽曲様式の研究=スタイルの勉強

←同じ作曲家の他の作品を聞いたりスコアを見る

←同じ時代やジャンルの作曲家の曲を聴いたりスコアを見る

時代の流行や奏法、響きが認識できるのでアドバイスがしやすくなる

 

・演出を考える

最低限の演出はとても見ていて気持ちのいいものです。

 

・立体的に考える

何をとっても一番大切なのはお客様からの目線です、その次に奏者からの目線です。

指揮者や指導者は音が出せないゆえに無茶振りやこちら目線でものを考えすぎてしまうことが起きやすいです。しかし、いつでも全ては聞いてくださる人のため、そしてそれを演奏してくださる奏者のためにあるべきです。この軸がブレると独りよがりになってしまいます。

 

・金管バンドでの表現法で最も大切な3項目

 

☆音量

☆音価

☆表現記号(Articulation)

 

これら三つをまずは徹底的に守ることにより他の表現の始まりが告げられます。

金管楽器と打楽器のみで構成されている金管バンドは作曲者や奏者の200年に渡る創意工夫により表現の幅を広げていました。なので素晴らしい作曲家が書かれた楽譜に無駄なことは書かれていません。ぜひこの三つこだわってみましょう。

 

これらが最低限できることです。

ここからより高度な分析を始めたり、逆に余分なものを省いて行ったりと研究しいきます。更にリハが始まれば新たな課題や研究対象も増えてくるので初めにここまでは終わらせておきます。

 

まとめ

箇条書きにしてみましたがここまでで3300文字、結構長くなりましたが実際に現場で得た経験です。しかもやってみて効果がでることばかりです。

 

明日の合奏、次回の合奏で指揮者、指導者に限らず金管バンド法の一つとしてお試しになられたらいかがでしょうか?

 

これのより深掘りする話やヒントが詰まった講座が12/22 10:00~12:30で開催されます。

ぜひお越しください。

 

 

ご読了ありがとうございました。

 

 

 

 

12/28 19~21:30

「年忘れ、イギリス周遊歌合戦」

参加者募集中

 

12/10 

基礎練習会

 

令和2年1月13日

金管バンドのためのベース奏法研究会

 

録音レッスン事業

 

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