マスタークラスやレッスン、教則本から学ぶ3つの良い理由 | 河野一之のブログ

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マスタークラスやレッスン、教則本から学ぶ3つの良い理由

海外からのアーティストや日本にいる素晴らしい演奏家の方々によるマスタークラスやレッスン、また先人が残した知恵の塊である教則本

 

2019年現在で言えば、マスタークラスやレッスンの頻度は大変多くなり、素晴らしい教則本も数多くあります。

 

僕も先日サントリーホールの主催で開催されたウィーンフィルのチューバ奏者パウル・ハルヴァックス氏のマスタークラスを聴講してきました。

しかしいざ行ってみると会場に空席があったり、家の中で埃を被っている教則本も多いのではないでしょうか?

 

しかし、マスタークラスやレッスン、教則本というのは僕たちよりも先にそれを行なっている人、つまり先生たちによって何百時間とかけて創意工夫されたものをたった数時間、または一冊の本で知ることができる貴重なチャンスです。

 

本日はそんな素晴らしい機会を利用した方が良い3つの理由を解説します。

 

目次

  1. 日々の演奏への刺激になる
  2. 間近で考えを感じられる
  3. 自分のレベルによって感じることが変わる
 
1、日々の演奏への刺激になる。
 
日々繰り返し練習や演奏を行なっていく中でどうしても脳や身体は惰性で行なったり、練習に対して飽きをもたらします。
 
しかし、巨匠たちのお話や演奏、偉大な演奏家たちが残した教則本には
 
僕たちが感じる惰性や飽き
 
などすでに
何百回も創意工夫のもと克服している
先人の知恵が詰まっています
 
経験があるかもしれませんが
 
・巨匠たちのたった一音を聞いただけ
・何気なくお話になる一言を聞いただけ
・立ち振る舞いやお話になる様子
・教則本に書かれてあるちょっとしたメモ書きのようなヒント

etc

 

このような一見して些細なヒントによってこちらの

インスピレーション(直感的な閃き)が引き出され、自身が疑問に思っていた奏法や向上させたい能力のヒントになることがとても多いです。

 

教則本に関して言えば、どうしても我々日本人は書かれてある練習法、つまり楽譜に注目をしがちですが本当に大切なことは英語やドイツ語、時にはフランス語やオランダ語で

書かれた著者の意見です。

 

読んでいると本当に一緒に練習をさせていただいているような感覚になるものから、事細かく分析しより学術的に解説をされているものなど何千冊とある教則本に、幾千人という先人たちの知恵と工夫、そして後に続く彼らの同志である我々のためを思ったアドバイスが散りばめられています。

 

外国語で書いてある=拒絶となるのはよくわかりますが、21世紀の現在インターネットでの翻訳や様々なツールによる翻訳機能はとても向上しています。

 

書いてある言葉をスキャンしたり、そのまま打ち込めば翻訳してくれるものさえありとても簡単になってもいます。教則本に書かれてある音符を吹くだけだと著者の真意に近づきにくいです。

 

 

ぜひマスタークラスやレッスン、教則本から情報を受け取るこちら側も創意工夫をし、少しでも自分も役に立てられるように受け取る事でより楽しいインプットができます。

 

2、間近で考えを感じられる。

巨匠たちが実際に演奏される演奏会を聞く、素晴らしい体験です。

 

実際に彼らが舞台の上でどのように振る舞われ、演奏や聴衆に向き合っているかを学ぶにはこれ以上ない機会です。

 

しかし僕たちもそうですが、演奏会で巨匠たちが行なっているのはあくまで完成形でそればかりを真似していても彼らの真意を図るには時間が必要です。

 

しかしマスタークラスでは演奏会で見るよりもより間近で演奏を聞くことができますし、実際に言葉や仕草で巨匠たちの意見を聞くことができます

さらに言えばこちらからの質問も許される場合が多いです。

 

そしてレッスンとなれば実際にこちらも演奏をお聞かせして直に意見を聞くこともできますし、一緒に演奏をさせていただくことで一緒に演奏することでしか感じられない体験を得ることができます。

(これはマスタークラスで聴講生ではなく、楽器を持っての受講生になることでも可能です。)

 

教則本に関しては言わずもがなですが、いつでもどこでも巨匠たちが遺した創意工夫に触れることができます

(繰り返しになりますが、楽譜ばかりでなくそこに書いてある文章が大事です。)

 

3、自分のレベルによって感じられることが変わる

例えば僕が敬愛する演奏家や先生方になぜ職業音楽家になった今でも時間を見つけては聴講やレッスンに伺うかというと

 

自分のレベルによって受け取る内容が変わるから

 

です。

 

例えば巨匠たちや先生方の仰ることは数年ではあまり変わらなかったとしても、受け取るこちらのレベルによって聞こえてきたり、理解する内容が変わります。

 

昔見た映画を年を重ね経験が増えてから見ると、

違った見方が出てくるのと同じです。

 

また色々な巨匠や先生方のレッスンを体験することも良い経験になりますし、同じ先生に一定期間習うというのも自分の進歩が分かりやすくて勉強になります。

(音大だと同じ先生に習い続けることが多いです。)

 

自分の経験では、

音大で2年間習っていた先生のレッスンを

留学を終えた数年後改めて受講した際感動しました。

 

先生の演奏自体もより進歩されていたのは言わずもがなでしたし、

音大時代に教わっていた内容とそんなに大差はないはずなのですが、

受け取るこちらの経験値があがっていたため

聞こえてくる音や先生のアドバイスがより鮮明に聞こえます。

 

まして偉大な演奏家はご自身が日々の練習に貪欲で好奇心に溢れているため、たった数ヶ月ぶりにお会いしただけでも新しい知識や経験を得られていて受け取るこちらも先生方の進歩に驚かされます。

 

なので受け取るこちらのレベルによっても内容は変わりますし、単純に巨匠たちも日々より良い演奏をと研究されているので繰り返しマスタークラスやレッスン、教則本の新刊などから情報を得るのはとても有意義な時間となります。

 

まとめ

知識や技術の維持というのは実は不可能で、人間は後退か進歩しかできない生き物のようです。そのため日々新しい経験というのものが必要になってきます。

 

マスタークラスやレッスン、教則本は安ければ¥1,000、高くても¥10,000~¥20,000で先人たちの意見や創意工夫を知ることができます。

 

先日のウィーンフィルのチューバ奏者のマスタークラスは2時間聴講してたったの¥1,000でした。世界最高峰のオーケストラで演奏されている方のマスタークラスがたったの¥1,000です。

 

海外も日本国内においても素晴らしい音楽家の方々が素晴らしい機会をたくさん作られています。また執筆が得意な演奏家たちは教則本を書くことにより彼ら自身の創意工夫をより手軽に共有しようと工夫もされています。

 

ぜひ日々の活動により良い刺激を、何か新しいことをとお考えになった際マスタークラスやレッスンを受けに行ってみたり、部屋にしまってある教則本のアドバイスを改めて読んでみたりしてみてください。

 

本当は既にあったのに気づいていなかった新しく新鮮な世界が待っています。

 

巨匠たちもアウトプットは大好きでしょうし、同じ音楽を好きになった人との時間はかけがえのないものです。

 

皆さんの音楽ライフが素晴らしいものになりますように

 

ご読了ありがとうございました。

 

 

 

河野一之

 

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