こんにちは。

KK(キキと読んでね)です。

 

ぼくが、カモミール・ナッツ小学校に通っていた頃の、思い出を話します。

 

 

 

 

 

ぼくは、絵を描いていた。

それは、学校の窓から見える、街中の風景だ。

 

あんなに沢山の時間を使って

ひとつの風景を描くなんて。

幸せな、時の過ごし方だった。

 

 

 

ぼくは、多目的教室のスペースを使って

その作業をしていた。

 

 

そんなぼくの近くで

同じく、絵を描いていた女の子がいた。

 

その子は、ずっとお喋りしていた。

お喋りしていたから、描くのが遅かった。

時々、遊んでいるようでもあった。

 

 

やがて、ぼくは、

その子よりも早く絵を描き終えるが、

その子は、ぼくに

「私が描き終わるまで待って。教室に戻らないで」と、言った。

 

 

それを聞いて、ぼくは待っていた。

 

 

基本的に、その子も言うことは

聞かなくては、いけなかった。

 

聞かないと、すねるし、

その後も、ずっとにらみ続ける。

 

 

気の強い子だった。

そして、よく、ぼくの傍にいてくれた。

 

 

 

遊ぶ時間になったら、いち早く声を掛けてくれたし、

 

納得のいかないことには

一緒に、ぶつぶつと文句を言ってくれた。

 

 

 

ぼくの自由な時間は、おおかたその子が持って行った。

その子は、ぼくを馬鹿にすることもあった。

 

 

その代わり、その子は、ぼくに楽しい時間を与え、

時折、ぼくを突き放すことはあっても

ぼくを孤立させることはなかった。

 

 

 

 

ぼくは、守られていた。

 

 

By KK