新規制基準合格にともなう柏崎市民への説明会の予定でしたが、相次ぐ東京電力の不祥事に対する原子力規制庁の言い訳の場になってしまいました。

 

 

新規制基準の内容的疑問点には触れず

 

前半は新規制基準合格の説明でした。

審査の途中で指摘されてきた、緊急時対策所が狭く場所が不適、フィルターベントによる被ばく問題、防潮堤などの地盤の液状化の問題など、疑問点についての詳しい説明はありませんでした。

緊急時対策所は免震重要棟の代用にならない点などに質問が出されましたが、たてまえを説明するだけで、正面から答えるものではありませんでした。

 

新規制基準に合格しても

原発の安全は保障されませんという事

 

 

元市長の「この新規制基準合格によって、安全性は保障されたと考えていいのか」という質問に、規制庁は「以前より安全性は高まったが、リスクがなくなったという事ではない。」と回答しました。 

福島のような事故を起こす可能性はなくならないという事であり、柏崎市民にはその危険性を受け入れよという事に他なりません。

10年前、私たち日本国民が福島事故を経験して、学んだはずの教訓を全く忘れてしまっているのではないでしょうか。

 

東電の適格性を再検討する気のない規制庁

 

ID問題をきっかけに、「適格性」の再評価を求める質問が出されました。

規制庁は今回の問題は「核防御」の問題で、審査は「保安規定」に関して行われたもので別物なので再審査は不要だと言い逃れしています。

では今回の事件で明らかになった不適格性は、誰が審査するというのでしょうか。

不審人物が他人のIDカードで中央制御室に入るというとんでもない事件でしたが、

規制庁は「東京電力には適格性がある」という結論は変更したくないという事なのでしょう。

 

東京電力に原子力発電所を運転する適格性はないのです

 

今回のID不正侵入事件は東京電力が原発を運転する適格性がないという事を多くの国民に明らかにしました。

東京電力は何十年にもわたって、繰り返し、繰り返し、不祥事を起こし、都合の悪いことを言う住民や科学者の指摘は無視し、時には事実を隠し、うそをついてでも、原発にすがりついてきた会社です。

ですから、今回の問題もとんでもない大問題ですが、地元の住民にとっては、「また東電が」という印象であり、「東電ならありうることだ」と思われているのです。

私たちは、以前から東京電力に原発を運転する適格性などないと思っています。

福島事故を起こした時点で、決定的に、この会社に原発を運転する適格性はないとわかったはずです。

そして、この期に及んでも東電の適格性を問題視しない規制上への不信も募るばかりです。

 

規制庁は国民の安全のためにこそ審査を行うべきである

終わりなき=所詮危険なんです ということでしょうか

 

国家公務員というのは、国民の安全や生活を守るために働くもではないのですか?

原発推進に対して、唯一といってもいい国の規制機関がこの姿では、私たちは安心して眠る事もできません。

新規制基準審査も形式的、ID不正問題も重要視しない。

そんな国民の命よりも東京電力という一企業の利益のために動くような組織であるならば、「原子力規制庁」という看板を下ろし、「原子力発電推進庁」とでも看板を替えたらどうでしょうか。

そうでないというなら、真に国民のための「規制」をやってほしいものです。