■コ・アソンさん演じる「また一人の柳寛順」のリアリティ!´ぅ_ ;`) | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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「3・1万歳運動以後1年、私たちが知らなかった物語」

 

 

先月の「3・1運動100周年」に合わせて公開された歴史映画『抗拒:柳寛順物語(항거:유관순 이야기)』(チョ・ミノ監督)です。今年に入って植民地時代を描いた『言葉集め(말모이)』や『自転車王オム・ボクトン(자전차왕 엄복동)』などがありましたが、その中で最も大きく心を動かされ、何度も涙が流れた作品でした。決して大げさにせずにモノクロで事実を淡々と追った感じが、2015年の尹東柱詩人の映画『東柱』に続く名作であったと思います。(´ぅ_ ;`)

 

 

●「柳寛順烈士」の獄中生活を淡々と描いた

 

1919年3/1のソウルにおける「3・1独立運動」を受けて、16歳の少女の身で、陰暦で3/1となる4/1に、自らの故郷である忠清南道天安市のアウネ市場(並川市場)で大々的な万歳運動を主導して逮捕され、過酷な拷問を受けて翌年1920年9/28に獄中で亡くなった「柳寛順(ユ・グァンスン)烈士」の獄中闘争の姿を描いています。

 

現在の梨花女子大の前身である梨花学堂に通い、篤実なクリスチャンとして、学友たちと毎日午後3時に集まりを持って祖国独立のための祈祷を捧げるという日々の中で、1919年1/22、大韓帝国初代皇帝であった高宗が突然、逝去します。当時、高宗夫婦は徹底して日本に抵抗して海外に助けを求めていたため、すでに1895年には妻の明成皇后が日本人の刀で刺殺されており、高宗の死についても毒殺説が有力でした。

 

それを受けて2/8には東京で「2・8独立宣言」が発表され、続く3/1午後2時、当時のパゴダ公園で民族代表33人による「3・1独立宣言書」が配布、朗読されて、いっせいに万歳運動が起こりました。柳寛順の先輩たちもその場に同参し、柳寛順自身も行進に参加しますが、しかし学生デモを防ぐため、3/10には全国に休校令が下り、柳寛順は友達と共に汽車に乗って故郷に向かいます。そこで隠していた独立宣言書を取り出して大人たちを説得、大量の太極旗をつくって4/1に万歳運動を主導したわけです。

 

一少女の必死の呼びかけに、アウネ市場での万歳運動には数千名が参加し、徹底した非暴力デモでありながら、柳寛順の父母を含む19人が現場で銃殺されて多くの負傷者が発生します。主導者として逮捕された柳寛順は公州教導所に入り、そこで、同じく公州永明学校で万歳運動を主導して逮捕された兄・柳愚錫と出会います。父母が皆殺害された中、二人はいかなる心情で出会い、いかなる会話を交わしたでしょうか。

 

柳寛順は、騒擾罪で3年の刑を受けてソウルの西大門刑務所に収監されますが、翌年の3/1午後2時を待って、「3・1運動1周年」記念式を行い、同じ部屋の女性たちと万歳を叫びました。その声に3千人に及ぶ収監者が皆万歳を唱え、刑務所の周囲でもそれを聞いた市民たちが再び万歳行進を行って、警察騎馬隊が出動する事態となったために、その後、柳寛順は死に至るひどい拷問を受けることとなるわけです。

 

以上は歴史の事実ですが、映画では収監前の事件についてはあくまで断片的にしか描かれません。そこはよく知られているからだし、それ以上に監獄の中での姿に柳寛順の本当の素顔、本当の精神が表れているからであると思います。映画は柳寛順が西大門刑務所に到着するシーンから始まりますが、私も何度も見に行っているあの部屋に収監されるその瞬間――扉が開くと、小さな部屋に立ったまま女性たちが30人ほど詰め込まれており、それを見て柳寛順が息を呑むというシーンが印象的で、その後、映画はその部屋の中での女性たちとの情のやりとりを中心とする話となります。

 

 

●柳寛順の最期は決して孤独ではなかった

 

やはり一番の感動は、監獄で迎えた3・1運動1周年に、柳寛順が「独立宣言書」の文章を諳んずるシーンでした。「私たちは朝鮮が独立国家であり、朝鮮人が自主的な民族であることを宣言する。人類平等の大義を明らかにし、これを子孫万代に告げ、民族自存の正当な権利を永有するものである。最後の1人まで最後の1刻まで民族の正当な意志を進んで発表せよ。すべての行動は秩序を尊重し、私たちの主張と態度を、いつでも、何回でも、堂々と叫べ」――自然に胸が熱くならざるを得ませんでした。

 

そうして叫んだ柳寛順の「独立万歳」の声が、塀を越えてとどろき渡り、収監者たちは皆、涙を流して壁を叩きながら吼えるように万歳を叫び、街でも「監獄で万歳を叫んでいる!」という話が伝えられて、皆、押し入れに隠していた太極旗を取り出して再び万歳行進が巷を埋め尽くすクライマックス。でもそこも、街の一角を映したような最小限のカットだけで終わってしまうのが、この映画の優れた演出であるといえるでしょう。

 

何よりも話は刑務所の中で展開し、途中、中に一人いた妊婦が子供を生むのですが、生まれたばかりの赤ちゃんを皆で育てながら、なかなか乾かないオムツを柳寛順が自分の胸に入れて乾かすという有名な逸話も出てきます。何よりも、演じるコ・アソンさんの演技があまりにも自然であり――実際、私の中の現実の柳寛順はもっと温和で優しかったという印象だけれど――そのリアリティのゆえに「また一人の柳寛順」の心情を充分に実感として経験してみることができました。涙が多く流れた理由です。

 

だからこそ、私の心にまた深く残ったのは、キム・セビョクさんをはじめとする女優たち演じる同室の仲間たち一人ひとりのキャラクターでした。ずっといつも私の頭の中で柳寛順は、父母を失い、たった一人で天にしがみついて孤独に「万歳」を叫んで亡くなった少女であったわけですが、「彼女の最期は決して孤独ではなかったのだ」ということが分かって何よりも嬉しかったです。映画のエンディングロールで、彼女と共に収監された現実の一人ひとりの女性たち、特に本当に幼い少女たちの実際の囚人写真がずっと流れるのですが、最後にそこでもまた熱い涙をこらえられませんでした。

 

付け加えるなら、すでに以前書いたとおりですが、現在、韓国社会の中心となっている「586世代」といわれる学生運動世代は、解放後の政局をすべて、「清算されない『親日派』による悪の歴史」として見つめる傾向にあります。それゆえ、特にここ数年ほどの韓国の歴史映画は、植民地時代に日本の側についた「親日派」韓国人を、あり得ないような極悪非道の輩として描く、とても不自然な作品が非常に多くありました。それは結果的に、日本に対する恨みをさらに解決し得ない複雑なものとしてしまいかねません。しかし、この映画は、そのように日本人の下で働くひどい韓国人看守の、その内面の葛藤が描かれていて、そこに自然なリアリティを感じることができました。

 

柳寛順が獄中で過ごした1年の日々を最初から最後まで描いた作品でしたが、当時を生きた名もなき韓国の娘たちが、どうしてそうせざるを得なかったのか。私たちもまた、もし日本が同じ目にあったなら、同じ勇気を持って同じ行動ができるだろうか。私たちの敵は「日本」でもなく「韓国」でもなく、人道に背く悪であるだけだということ。そういう人間としての尊厳が問い直された名作であったと思います。お勧めです!(*´ヮ`)/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


映画『抗拒:柳寛順物語(항거:유관순 이야기)』(チョ・ミノ監督)予告編。

 

 

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