■是枝監督の映画と韓国の血縁中心文化について!(*´ヮ`)/ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


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「何かを選択するということは何かを放棄するということだ」

 

 

●韓国で衝撃だった『そして父になる』


日本では、豪雨による被害が各地で拡大しているということで、被害にあわれた方々の安全と一刻も早い復旧を心よりお祈りいたします。


いっぽうで、日本では『万引き家族』が大ヒット中で、北海道の我が母も観てきたといって国際電話で話を詳しく聞きました。私はまだ観られてはいないですが、決して血の繋がりではない、新しい家族の絆を描くのが、是枝裕和監督の一貫したテーマではないかと思います。


いっぽう、そういうメッセージは韓国ではある意味、衝撃であって、以前、『そして父になる』の時に、韓国における反応をここに紹介したことがありましたが、韓国人にとっては血縁の価値あっての家庭原理共同体社会です。


すなわち、韓国文化自体が、他人同士でも家族のごとき関係になる文化ではあるのですが、それはあくまでも、血のつながりが絶対的であるがゆえの、それをモデルにした家族的他人の関係であって、決して本当の家族の話ではありません。すなわち、もしそこで実際の血縁の価値自体が相対化されるとすれば、そもそもそれをモデルにした家族型人間関係の構造自体が崩壊するということになるでしょう。


『そして父になる』では、韓国的に、主人公は血のつながっている本当の息子との関係をまず回復してからの、血のつながらない息子との絆とならなければなりません。ここで「回復」というのは、「おおお、お前こそが私の息子であったのか!今まで父の愛を与えられずにすまなかった。父を許してくれえ!」と大泣きする涙の出会いのことであり、本来の正しい親子の情緒を回復させるということです。


ところが映画は、そちらに向かわないどころか、主人公はそもそも、もともと息子だと思っていた、血のつながらない息子との関係もちゃんとできていなかった、ということに気づく方向に行き、そちらの親子関係を再発見するという場面で映画はクライマックスを迎えます。


これは、韓国人にとっては衝撃の展開であって、それに至るまでの瞬間、瞬間はすべてもどかしいの極致であるということを、ある映画紹介番組のコメントを通してここに紹介したことがありました。そうでありながら、とうとう最後まであるべきカタルシス(血縁の価値の回復)がなかったにもかかわらず、まさに、もっと深い感動がそこにはあった、という謎のミラクル映画として韓国人によって評価されていたことを紹介したものです。(→以前の記事



●韓国版の「そして母になる」とは?


ということで、前置きが長くなりましたが、最近観た韓国映画で、まさに韓国版『そして父になる』といえる映画があったのでご紹介します。それが5月に観た映画『あなたの頼みごと(당신의 부탁)』(イ・ドンウン監督)であり、この映画の静かな、淡々とした雰囲気がとてもいいのですが、まさに『そして父になる』を彷彿とさせましたね。


これは、夫を事故で亡くした主人公ヒョジンが、満15歳になる夫の前妻の息子ジョンウクを引き取るしかなくなって巻き起こる葛藤を描いたもので、しかし、やがて亡き夫という存在を媒介として、母と息子に近い家族的な関係性をつくっていくという流れとなっています。


血がつながっていない関係が家族となるという構図はこの中では2種類描かれていて、一つはヒョジンとジョンウクの構図。もう一つはジョンウクの高校の仲のいい女友達が、別の男性と望まない妊娠をしてしまい、中絶しようとするところを、ジョンウクが止めて出産することになり、生まれた赤ん坊が子供がいない夫婦に養子としてもらわれていく、という構図です。


前者の関係では、ヒョジンは何とかして「血の一滴も混ざらない」関係であるジョンウクを息子として受け入れようとします。その理由はただ一つ。愛する亡き夫の子供であるからです。つまりやはり血縁ゆえに受け入れることには変わりはありません。ヒョジンがジョンウクの姿に夫の面影を見つける過程が何度も出てきて、それをジョンウクにも話して聞かせるのは、まさにそれこそがヒョジンがジョンウクを息子として受け入れ得る、唯一の頼みの綱であるからです。


いっぽうの、ジョンウクは、最後までヒョジンを母親とは認めようとせず、あくまでも自分の実の母親との関係に執着します。その表れとして、女友達が妊娠した時にも、自分の子供でもないのに、その子供のためには母である女友達が育てなければならないとして、自分が父親になってもいいとまで考えるわけです。しかし、高校生が育てれば子供が不幸になるという女友達の言葉と、実際に養子としてもらっていく夫婦の優しそうな姿を見て、彼自身の心が少し開かれていき、血のつながらないヒョジンとの関係を受けれてもいいという方向に向かっていくわけです。しかし、その和解の姿は、あくまでも亡き父の命日をヒョジンと共に追悼するという、あくまで父を媒介とした形ではありましたが。


すなわち、この話は、「血縁による家族」が絶対的な価値の中心にあって、しかしそれを失った時には、血がつながらない家族も受け入れていく方向に進むかも、という実にオールドスクールなお話であったといえます。まさに韓国の「そして父になる」ならぬ、「そして母になる」は、そのようにして古風な価値観の中にこそ成立し得るわけです。そういいながら、またそこには深い世界もあって、実は最後のラストシーンでいろいろと解釈ができる印象的な終わり方をするのですが、そこに関してはお話をしないでおきますね!(*´ヮ`)/

 

 

【あらすじ】 「私がオンマが初めてなので」


2年前に事故で夫を失った32歳のヒョジン(イム・スジョン)は、仲のいい友達であるミランと町内の小さな塾を営み、一人で暮らしていく。


平凡な生活をしていたはずのヒョジンの前に、ある日突然、死んだ夫の息子である16歳(数え)のジョンウク(ユン・チャニョン)が現われる。


行く場所がなくなったジョンウクの母になってくれという依頼に戸惑うばかりのヒョジン。


しかし、ヒョジンは悩みの末に、血の一滴も混ざらないジョンウクのオンマとなることを決心するが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画『あなたの頼みごと(당신의 부탁)』(イ・ドンウン監督)予告編。


 

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