■ファン・ジョンミンさんの痛みと感動の受難劇!≧∇≦)〃♪ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「検事と詐欺師の愉快なバディ・プレー」


●またもう一つの韓国的受難劇として


ファン・ジョンミンさんの最新作『検事外伝』(イ・イルヒョン監督)です。ジャンルとしては去年の『ベテラン』のような犯罪アクションなのですが、むしろ系譜としてこれは、前回の『ヒマラヤ』、一昨年の『国際市場』、さらに一昨々年の『男が愛する時』につながる“ファン・ジョンミン受難作”なのではないかと思いました。とにかく、上層部の人たちの金と権力のために、不当に騙され、追いやられ、さげすまされ、一時は顔が分からなくなるほどに殴られるという、ジョンミンさんがかわいそうでならなかったです。(´ぅ_ ;`)


正義漢の検事(ファン・ジョンミンさん)が、冒頭では、ノリノリの迫力で容疑者たちを殴りまくり、絶好調かと思いきや、いきなり殺人の濡れ衣を着せられて有罪判決、その後は、無力なばかりに監獄でたいへんな苦労をするという話です。やがて獄中で出会った前科9犯のイケメン詐欺師(カン・ドンウォンさん)と手を組んで、彼を先に出所させては彼の活動で濡れ衣を晴らそうとするわけですが、ジョンミンさん自身はずっと監獄と法廷ですからね。しょっぱなのイメージと全体の流れはかなり違い、これは、真実が分かってもらえず、気が狂いそうなほどの不当な被害に身もだえする、かなりシリアスな韓国的テーマだなあ、と思いました。全体的にコメディタッチの部分もありながら、その世界の心情は明らかにリアルです


何よりそのような不当な環境に黙々と耐えて、静かに微笑むジョンミンさんの優しい笑顔が、彼をして“国民俳優”たらしめている理由なのではないかと思いました。一種の民族の「恨(ハン)」を背負って、この国の受難の代表のように演技しているジョンミンさん、いつもお疲れ様です。(*´▽`)


さらには、前回『黒い司祭たち』でとっても美しい青年司祭を演じたカン・ドンウォンさんが、今度はイケメン詐欺師として笑いを担当しているのもよかったです。これが、なかなか愛さざるを得ない詐欺師ですが、途中、監獄にいるジョンミンさんに代わって、ほとんど話の中心を演じているので、どっちが主役か分からないほどの存在感ですよ。ドンウォンさんファンにはたまらないです。



●見え隠れするキリスト教的メッセージ?


それで、たしかにネット上でいろいろ指摘されているように、見方によっては伏線の出し方や回収などが、不自然だったり、露骨におかしかったりするのですが、私はそれを映画の粗として考えるよりも、個人的に韓国的なキリスト教的メッセージとして読み取りたく思いました。というのは、そう思わざるを得なくなる要素が、劇中で暗証番号を伝える時に使われる聖書の聖句です。(題名の「外伝」も聖書的ですしね)


監視されていることを知っている主人公が、面会に来たドンウォン詐欺師に、突然、「祈祷しよう」といいだして、聖句を唱えるのですが、それが、マタイによる福音書11章28節。つまり番号は「1128」だというわけです。


そのシーンは、互いに何の取り決めもなく聖句を唱えて、その聖書の場所が暗証番号になっていると分かるなんて、かなり不自然な流れですが、だからこそ、そこに意味があるのではないかということですよね。その聖句は、「すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。あなたがたを休ませてあげよう」というものですが、まさに主人公のように、濡れ衣を着せられたり、真実が捻じ曲げられて苦労している多くの民へのキリスト教的メッセージになっているのではないかと思いました。


あとは、詳しくは書きませんが、不自然に裏切り行為に出るユダのような人物の登場とか、わき腹を刺されたのに別になんともないという奇跡のような現象とか、判決を受けた後の主人公の語る言葉とか。そして一番最後にまた暗証番号として出てくる聖句、ヨハネによる福音書16章33節「これらのことを話したのは、あなた方が私によって平和を得るためである。あなたがたにはこの世で苦難がある。しかし勇気を出しなさい。私はすでに世に勝っているのだから」。


ほら、なんかキリスト教っぽいメッセージが隠れていますよ、これはきっと。そうだとすると全体的に荒っぽい娯楽作品のようでありながらも、実はとてもナイーブでシリアスな作品なのかなあとも思います。まあ、そのあたりの判断はご覧になる方の判断にお任せしますが、私は今年に入って一番、興味深く楽しめ、感動した作品として、お勧めです!ヾ(≧∇≦)〃♪



【あらすじ】 真実の前では無鉄砲、荒っぽい捜査方法で有名な多血質検事ピョン・ジェウク(ファン・ジョンミン)。取調べの最中に被疑者が変死体で発見され、殺人容疑で逮捕される。なすすべもなく懲役15年の判決が下されて収監されるジェウク。


5年後、自分が濡れ衣を着せられた事件のことを知るイケメン詐欺師“チウォン”(カン・ドンウォン)と偶然知り合い、その瞬間、彼こそが監獄外作戦を代行してくれる「選手」であることを直感する。


検事のノウハウを総動員して、チウォンを嫌疑なしに持ち込んでシャバへ送り出し、反撃を準備するジェウク。監獄の中の検事とシャバに出た詐欺師!彼らの予測不能な反撃の賭けは、果たして成功するのか?



















映画『検事外伝』(イ・イルヒョン監督)予告編です。

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