古い台本が | とってもオプティマルな僕の毎日

古い台本が

引越しをしてから
まだ開けていないダンボールが
部屋の隅に いくつか積んだままになっていた

整理するのが億劫で ついつい先延ばしにしてきたのだが
いよいよ 片付けなければなるまい
と さすがに自分でも思い
片っ端からダンボールを開けて
思い切って捨てるものは捨て
保管するものは場所を決めて保管する
というような 最も苦手とする作業に取り掛かっていた

すると いくつめかのダンボールに
こんなものが入っていたのだ

俳優としてテレビに出ていた頃の台本だ

古い台本

完全に手が止まった

なつかしい

単純に なつかしいだけではない
表現の仕様がない感情が 心の中にある

どうして とっておいたのだろう

おそらく 僕をかわいがってくれていた脚本家が書いたものだけを
残すつもりでいたのだろう

その脚本家も先年亡くなった

今になって こんなものが出てくるなんて
なにか 意味があるのだろうが

如何せん 手狭な我が家であり
全員がそれぞれの努力で 出来得る限り 持ち物を少なくしているわけで

それでなくても 本の多さにあきれられ
それを捨てられないことに 苛立ちを通り越して
あざ笑われている僕だもの
このダンボールの中身を 取っておくという勇気は
とてもじゃないが 持ち合わせていない

ということで この なつかしの台本たちとは
今日でお別れ
もう 会えない

菅原洋一じゃないんだから

って わかんないだろう 誰も

せめて 写真を
という思いで 撮ってみた

あぁあ こうして 月日というのは 流れていくんだな
月日だけが流れて
ちっとも成長しない僕は
結局 ダンボールの整理も中途半端なままで
また 部屋の隅に押しやってしまった