鹿児島小唄 ーその1ー | てげてげ日記

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2月8日、2月17日の南日本新聞(読者投稿「ひろば」欄)に「鹿児島小唄」が取り上げられていました。

ここ数年来この曲の復曲演奏に取り組む私としては嬉しい限りです。

このブログでは「かごしまの唄」というブログテーマを設けて、少しずつですが、鹿児島の民謡に関する記事を書いて行きたいと思います。

そして、第1回目となる今回は先に書いた「鹿児島小唄」について。


「鹿児島小唄」は昭和6年(1931年)4月1日から5月15日まで鹿児島市の鴨池遊園地(現在のダイエー鹿児島店敷地)で行なわれた、鹿児島商工会議所主催の「國産振興博覧會」の宣伝用として「鹿児島夜曲」と共に、西條八十作詞、中山晋平の作曲、藤本二三吉の唄で発表された新民謡です。
ビクターからレコードも発売されました。

國産振興博覧会ポスター

【写真1:博覧会のポスター】 

鹿児島小唄広告

【写真2:レコードの広告(昭和6年4月10日 鹿児島新聞)】

作詞の西條八十

【写真3:作詞の西條八十】

作曲の中山晋平

【写真4:作曲の中山晋平】

唄の藤本二三吉

【写真5:唄の藤本二三吉】

制作に至る経緯については博覧会の記録として昭和8年(1933年)に博覧会の会務総長であった鹿児島商工会議所理事の堀勇吉氏が編纂した「國産振興博覧會誌」の第7章「宣伝」の項目より引用します。
なお、引用にあたっては漢字の旧字を常用漢字に改めました。

 三、民謡宣伝
    民謡を以て博覧会気分を醸成し、南国鹿児島を博く全国に
    宣伝する為め、本会は民謡作家として有名な詩人西條八十、
    作曲家中山晋平の両氏を招聘して鹿児島小唄及鹿児島夜曲を
    作り上げた。鹿児島小唄は維新当時新日本建設の為め勇躍
    した薩摩隼人の意気軒昂たる新興気分を歌ったもので、曲も
    亦至極男性的であると共に現代的特色を加味した薩摩情緒
    豊かなものである。作曲と同時にビクターレコードに吹込
    まれ、亦会期中は毎日演芸館に於て、市内三券番美妓連に
    よって宣伝したので一般に非常な歓迎を受けた。鹿児島小唄
    及夜曲は左の通りである。
    (※会誌には次のページに歌詞と楽譜を載せている)


さて、肝心の鹿児島小唄の歌詞ですが次の通りです。

   一、ほのぼのと 兵児(へこ)の謡(うた)から 薩摩は明けて
      燃える朝日の 桜島
       ※サテサテ薩摩の 鹿児島よかとこ
        ソイジャ ソイジャソイジャ ガッツイソイジャナ
             (※部分は二番以降も同じ)

   二、桜ちる 山は城山 男は西郷
      風は南風(はえかぜ) 薩摩潟


   三、磯御殿 むかし偲べと 咲く桃の花
      ぬらす情の 島津雨

   四、霧がくれ 薩摩乙女の 黒髪かなし
      こよい出船の 沖小島

   五、その功 今も昔も 照国神社
      松の緑の なつかしや

   六、あかあかと 焼けば燃えます 曽我どんの傘が
      空は五月雨 遠茜

   七、石の橋 五つ並んだ 甲突川に
      架けて足したや 恋の橋

以上の7首ですが、レコードは収録時間の都合で5番と7番が割愛されています。
また4番の最後「沖小島」をレコードでは「おきこじま」と歌っていますが、鹿児島湾に浮かぶ「沖小島」の事のようですから、正確な地名としての読みは「おこがじま」です。

先の引用文にあるように、45日間の会期中、会場内に設けられた「演芸館」に、当時の鹿児島花柳界の「南券番」「西券番」「中券番」の芸妓が連日交代で出演し、この曲や古典舞踊、邦楽演奏などを行ないました。

舞踊の振り付けについては、3券番にはそれぞれの専属師匠が所属しておりましたので、各券番毎に振り付けが異なっていたとも考えられますし、また鹿児島の一大イベントとして統一した振り付けで踊られたかは記録が見当たらず定かではありません。

参考までに当時の各券番の舞踊の専属師匠名を列記しますと、
  鹿児島南検番 花柳 輔蔵
  鹿児島西券番 藤間 小伊勢
  鹿児島中券番 藤間 勘之丞

現在鹿児島には花柳界はありませんが、3券番から連日大勢の芸妓が出演したというところからも当時の花柳界の人気・隆盛振りが窺い知れます。
また、舞踊以外の専属師匠にも中央や県外から家元クラスの大御所が招かれており、当時の花柳界はそれぞれ高い水準の芸を披露していたと思われます。


その2へ続きます。


   



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