今にも臨床試験を始めそうだと思われていたシクロデキストリンを添加して副作用を軽減した点眼剤に関して新たな展開

 

 竹中さんの母校、ジピン国で最も偏差値の高い大学の教授が、

 

 「シクロデキストリンと眼粘膜の相互作用に関する研究」と題する論文を権威ある英文雑誌に投稿した。

 

 さらに、同教授はジピン国の学会でシクロデキストリンが眼粘膜細胞の細胞膜表面のレシチンや、コレステロールを引き抜き、細胞表面構造を破壊することを、写真付きで発表した。

 

 シクロデキストリンが細胞膜を破壊することはよく知られた事実であったが、破損した眼粘膜の細胞表面の写真は衝撃的であった。

 

 点眼剤を開発中のC社は、教授の実験に用いられた、シクロデキストリン濃度がC社点眼剤に含まれるものよりはるかに濃いことを指摘し反論した。

 

 しかし、失明事故というショッキングなニュースで売り上げが激減しているとはいえ、刺激性と失明との明確な因果関係は証明が困難と思われている。

 

 さらに、C社点眼剤の唯一の優れた点は失明報道で売り上げの落ちている点眼剤に比べて刺激性が少ないというだけで、失明に関するデータは一切ない。

 

 そんな折に、シクロデキストリンによる眼粘膜の刺激性が発表され、とうとう、C社点眼剤の開発は暗礁に乗り上げた。

 

 おかげで、私の研究テーマはまた元の基礎研究テーマへと戻った。

 

 しかし、竹中さんとの連絡は以前より頻繁になった。

 

 携帯電話を使っての個人的な連絡がである。

 

 すでに以前に書いたが、プランター星では携帯電話での男女間の親密な連絡は交際しているのとほぼ同じ意味である。

 

 地球のものよりはるかに精密なGPSを装備したプランター星の携帯電話では、お互いのGPS機能をONにすれば、相手の居場所はほぼ自動的にわかってしまう。

 

 とくに、ジピンでは携帯電話による連絡度合いでお互いの親密度合いがわかってしまう。

 

 現代の地球でも似たような状態ではないかと思われるかもしれないが、交際に関してはるかに厳しいプランター星の恋人たちにとって非常に重要な意味を持っていた。

【解説】  

製剤の解説が目的ですが、読みやすい小説仕様としていきます。

もともとは、ガラ携のころ携帯小説サイト”おりおん☆”で書いていた小説をエブリスタに移殖した超高性能携帯電話(10年戦争)の続編です。   地球よりはるかに科学の進んだ星で昔起きた戦争の中の恋物語りです。  息抜きと考え、気軽に読んでください。 終わればまた薬の解説に戻ります。