フクさんの家に着くと

起きたばかりのままで

ボーとしていた

 

「早かったね」

「うん

何も食べてないでしょ?

パン買って来たよ、食べよう」

 

「ありがとう」

 

「何時に家出るの?」

 

「5時過ぎかな

その前にシャワー浴びたい」

 

「了解」

 

普通の会話をしながらパンは食べて

食べ終わったら抱き寄せてくるから

 

「話をしに来たんだよ」

 

「大丈夫だって

俺だって結婚したいよ」

 

「昨日私との結婚が不安だって

フクさん言ったよ」

 

「そんなこと言ってないよ」

 

「言ったよ

不安だから半年は考えたいって」

 

「言ったかもしれないけど

それは冗談でふざけて言っただけだよ」

 

「ふざけて言ったテンションじゃなかったよ」

 

「ふざけて言っただけで

本気じゃないよ

それで野ばらが悲しい気持ちに

なったならごめんね

そんなつもりで言ってないから」

 

「ふざけてでもそんなこと

言って欲しくなかった」

 

「本当にごめん

結婚したいし、野ばらといたいよ

それはずっと変わらないよ」

 

「本当はフクさん

結婚したくないんじゃないの?

私が結婚したいって言うから

合わせているだけで」

 

「そんなことないよ

いつかは結婚したいと思ってたし

50までにはと思ってたけど

最近になって野ばらが突然

結婚をしたいって言い始めて

以前はもっと先でいいって言ってたのに

心境の変化があったんだとは思うけど」

 

「もっと長い時間を一緒にいないと

お互い分かり合えないと思っていたけど

フクさんの仕事の状況は変わらないし

2年半一緒にいて私はフクさんと

結婚したいと思えたから結婚について

話したし何度か話した中で大まかなことは

確認できたから後は結婚しないと分からない

ことがあるんじゃないかって思うんだよね」

 

「まだ家のこととかお金のこととか

老後どこに住むかとか具体的に

決められてないじゃん」

 

「住む場所だって時期によって物件も

違うしお互いの希望に合ったところが

すぐ見つかるかも分からないけど調べて

行動して2人で決めていけばいいと思うよ」

 

「でもある程度のことは決めないと」

 

「どんなことでも決めたところで

結婚したら違ったってことはあるよ

その都度2人で話して修正して

歩み寄るのが結婚生活じゃないのかな」

 

「俺は結婚したことないから分からないよ」

 

「私だって分からないよ、でも

理想通りなんていかないんだから

やってみて考えて違ったら

変えていったらいんじゃない?」

 

「野ばらの言う感情的なことより

俺はもっと堅実的なことを

言っているんだよ

やってから考えようとか俺には無理だから」

 

「感情的に言ってるんじゃないよ

どんなに話し合ったところで

思っていたことと違うとなったら逆に

フクさんにとって結婚はストレスに

なるだけだし、そこまで話し合わずに

都度お互いの気持ちを合わせていく

ことが大切な気がするんだよね」

 

「なんで俺の気持ちを分かって

くれないんだよ・・・

俺はもっと堅実的な話をしたいし

結婚しても大丈夫なように話がしたい」

 

「それならフクさんが

話したいことをこれから話そう

私はもう十分話したと思っているし

前に進みたいと思っているよ」

 

「それは野ばらの考えで

俺は俺の考えがある

その考えは変えられないし

そういう性格だから

ちゃんと話して慎重に結婚を考えたい」

 

 

住む場所だって

老後の住む場所だって

お金のことだって

 

 

私なりにそのとき真剣に

向き合って話し合ってきた

 

 

つもりでいたのに

 

 

俺は俺の考えを変えられない

 

 

今まで話し合ってきたことって

一体なんだったんだろう

 

 

寝不足な状況で

思考回路が働かなくて

フクさんの言葉を聞くことが

やっとの状況だった

 

つづく