生まれてくる意味・・・

死んでいく意味・・・

ヲタクとしての意味・・・

俺が生きている現在(いま)・・・

その全てが謎に包まれている・・・

俺には、守るべきものも夢も何もない・・・

何の為に生きているのか・・・

この世界には、この先、俺が生まれてくるに至るRoman(物語)はあるのだろうか・・・

誰もいない海・・・

地平線には茜色した陽だまりがキラキラと輝いている・・・

キャベツ太郎も、もろこし輪太郎も、みんな家を失ってほかのところへ行ってしまった。
友達は…友達と呼べる人たちはいなくなってしまった…誰も…
いか太郎には会えない。
その勇気がない。
どんな顔をすればいいのか、わからない。
ラーメン屋さん太郎わさびのり太郎酢だこさん太郎…僕はどうしたら…どうすればいい?」

『フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフフーン…。』

どこからかベートーヴェンの“交響曲第9番”の鼻歌が聞こえる・・・

辺りを見回すとテトラポットの上で片膝を上げて鼻歌を歌っている男がいる・・・

その男はゆっくりと俺の方を見てきて話しかけてきた・・・

“接触”はいいねぇ・・・』

「えっ?」

“接触”は心を潤してくれる。“リリン”の生み出した文化の“極”みだよ。
そう感じないか? フラッシュピストンマッハパンチ君・・・』

「僕の名を?」

『知らない者はないさ。失礼だが君は自分の立場をもう少しは知ったほうがいいと思うよ・・・』

「そうかな・・・? あの、君は?」

『僕は“つん太郎”・・・“渚つん太郎”
仕組まれたヲタク、WOTAKU PLAYBOYさ・・・』

WOTAKU PLAYBOY!! 君が…あの…渚君」

『つん太郎でいいよ、フラッシュピストンマッハパンチ君』

「僕も、あの、マッハパンチでいいよ・・・」

『ふふふっ』

俺には、何もなかった・・・何も・・・

でも友達が出来た・・・

渚つん太郎君という友達が・・・

『ねぇ、マッハパンチ君、良かったら今度、AKB48の公演に行かないかい? Valentine公演にさ・・・』

「えっ・・・でも・・・」

『一時的接触を極端に避けるね、君は。怖いのかい? アイドルと触れ合うのが。
アイドルを知らなければ裏切られる事も、互いに傷つく事も無い。
でも、寂しさを忘れる事もないよ。ヲタクは寂しさを永久になくす事はできない・・・』

「君と・・・行くの?」

『そう、常にヲタクは心に痛みを感じている。
心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる。
ガラスのように繊細だね? 特に君の心は・・・』

「僕が?」

“好意”に値するよ・・・』

「好意?」

『好きってことさ・・・』

「つん太郎君・・・僕、君となら行ってみるよ!Valentine公演に・・・」

『ふふふっ・・・僕は、君に逢う為に生まれてきたのかもしれない・・・』

こうして俺は、AKB48の篠田チームA Valentine公演に行く事になった・・・

二人で並んで秋葉原のドンキホーテ目指して歩く・・・

「あ、あの・・・つん太郎君は、AKBで誰が推しなの?」

『僕の推しかい?僕の推しは“佐藤すみれ”ちゃんさ・・・マッハパンチ君は?』

「奇遇だね!僕も佐藤すみれちゃんが好きなんだ!」

『ふふふっ・・・今日は楽しい1日になりそうだね・・・』

俺達は、劇場のある秋葉原ドンキホーテの8階についた・・・

チケットをつん太郎君と連番で購入しチケット番号の列に並び始める・・・

この日は、川栄李奈さんという方の生誕祭も兼ねておりロビーには綺麗で大きな花が飾られていた・・・




入場抽選が始まる・・・

『1順で入れると良いね。マッハパンチ君・・・』

「うん。でも1順はきっと無理だよ・・・」

『ふふふっ』

もちろん俺達は1順で入れる訳もなく16順くらいでようやく入場出来た・・・

『もう座れないね。佐藤すみれちゃんは下手側に良く来るから、下手側の立ち見にしようか?』

「うん。」

『ふふふっ』

俺は下手側の2列目の右から2番目の位置に陣取った・・・

つん太郎君は、俺の左隣に陣取り、俺の右隣りには生誕委員の方がいた・・・

暗転し大音量で流れるoverture・・・

一気に湧き上がるaudience・・・

左隣りのつん太郎君は笑顔浮かべているも全く微動だにしていない・・・

右隣りの生誕委員の方は物凄いノッてコールをあげている・・・

幕が開き、始まる公演・・・

ステージで歌い踊るメンバーは・・・ホントにみんなキラキラしていた・・・

時たま、伊豆田莉奈ちゃんが安倍総理に見えたりもしたがキラキラ輝いていた・・・

そんな中でも菊池あやかちゃんが抜群に可愛く見えた・・・

元々、俺は、彼女の顔が好きだ・・・

彼女を見ていると前に、彼女で超強いヲタク君と連番で握手しに行った時、
あまりの対応の違いに完全に心折れた時の事を思い出してテンションが一気に落ちて地蔵と化した・・・

※菊池あやかさんに完全に心を折られた記事はコチラ

『ねぇ、マッハパンチ君・・・ち○ちんが痛いんだ・・・』

「大丈夫?つん太郎君・・・もしかして、ち○ちんの皮にち○毛が挟まったの?」

『うん・・・6本くらい挟まってとても痛いんだ。
僕のち○毛は長いからね・・・定期的にち○毛をカットしないと良く皮に挟まるんだ・・・』

「パンツに手を突っ込んで直しなよ・・・」

『うん・・・ありがとう。マッハパンチ君・・・』

左隣でつん太郎君がパンツに手を突っ込んで、もぞもぞし始める・・・

右隣の生誕委員の方は物凄い白熱した熱い声援と激しい動きを見せている・・・

その二人に囲まれた俺・・・目の前ではアイドルが歌って踊っている・・・

凄い・・・凄い空間だ・・・

俺のテンションは上がり始めた・・・

もしかしたら、つん太郎君は俺を元気づけようとして、
陰毛を皮に挟んで痛がった振りをしてくれたのかもしれないと思ったが、
つん太郎君の顔は苦痛で歪みアイドルが歌って踊っている中、必死で股間を弄っていた・・・

楽しい時間はあっという間で残すはアンコールの3曲のみとなった・・・

「つん太郎君・・・ち○ちんは大丈夫?」

『ありがとう・・・マッハパンチ君。今は、なんとか痛痒い心地良い状態さ・・・優しいね。君は?』

「そ、そうかな・・・?僕なんてただの弱い人間だよ・・・」

『ふふふっ・・・つらいことを知ってる人間のほうが、それだけ人にやさしくできる。
それは弱さとは違うよ。マッハパンチ君・・・
あっ、どうやらアンコールが始まるみたいだよ・・・』

アンコールが始まった・・・

アンコールの3曲を堪能した・・・

つん太郎君の言う通り公演全体的に下手には佐藤すみれさんも良く来てくれて
彼女の歌って踊っている姿を見れてとても楽しい公演だった・・・

Valentine公演という事で最後には国生さゆりさんの名曲“Valentine Kiss”も披露してくれた。
完全生歌で学生の文化祭みたいな雰囲気を醸し出していたが、可愛いのでなんでもOKだ・・・

その後、川栄李奈さんをBirthdayを祝い、仁藤萌乃さんがGraduationを発表した・・・

good-bye…It is wished you can become fortunate.

俺は、心の中でそっと呟いた・・・

Valentine public performance  SetList

◆M00.overture
◆M01.Gravity Sympathy
◆M02.Excuse Maybe
◆M03.Uniform Interferes
◆M04.Bigvoice Diamond
◆M05.Skirt, Hirari
◆M06.Purelove Crescendo
◆M07.Black angel
◆M08.Angel's Tail
◆M09.Rainy Pianist
◆M10.I love you of glass
◆M11.RIVER
◆M12.A solitary runner
◆M13.First Rabbit
◆M14.The petals of a cherry tree
◆EN01.Ponytail and Chou-Chou
◆EN02.Only today
◆EN03.AKB Festival
◆EN04.Valentine Kiss

この日は、Valentine公演という事で終演後にこの日、出演していた好きなメンバーからメッセージカードとチョコの手渡しと握手があった・・・

メッセージカードはランダムになる為、好きなメンの所に行っても
その娘のメッセージカードを決して貰えるわけではない・・・

「つん太郎君・・・すーちゃん(佐藤すみれさん)のとこ行く?」

『もちろんだよ。君も行くだろ?一緒にさ。』

「う・・・うん・・・」

『彼女が怖いのかい?ヲタクはみんなそうさ。自分の推しに会う時は・・・
“彼女”とは“遥か彼方の女”と書く。
女性とは向こう岸の存在だよ、
僕らにとってはね。』

「そうだね。つん太郎君は本当に頼りがいがあるなぁ・・・」

『ヲタクは推しを完全に理解することはできない。
自分自身だって“怪”しいもんさ。
“100%”理解し合うのは不可能なんだよ。
だからこそヲタクは自分を、推しを知ろうと“努力”する。
だから面白いんだよ、“ヲタ活”は。』

「うん・・・そうだね!」

チョコの手渡しが始まった・・・

俺は、佐藤すみれさんの所へ向かう・・・

この手渡しはロビーに机がありそこにメンが並んでいて、
ヲタクが好きなメンに貰いに行くというものだが、
この日入っていたヲタクに人気ないメンにとっては誰も貰いに来ないと突っ立ってるだけになる。
そんなメンを見ていると悲しい気持ちになった・・・

幸い佐藤すみれさんは俺が貰いに行った時は、並びが出来ていて安心した・・・

『あっ!!ち○ぽこおおお!!ち○ぽこおおお!!』

思い切りち○ぽこを連呼して出迎えてくれる佐藤すみれさん

そして“ち○ぽこ”という名の謎のヲタクが登場した事に
ちょっと引いている佐藤すみれさんの両隣の小林茉里奈さんと仲俣汐里さんの表情を
俺は見逃さなかった・・・

この二人の所には俺が佐藤すみれさんの所に行った時、
誰もヲタクがいなかったからこの二人の表情が良く見えた・・・

「すーちゃん・・・まさか・・・こいつぁ・・・
お・・・俺の為に・・・作ってくれたの・・・?」

俺は佐藤すみれさんの前に置いてあるチョコを指差し言った・・・

その時、佐藤すみれさんの左隣にいた小林茉里奈さんが少しだけ笑ってくれた・・・

この娘・・・良い娘だ・・・と思った・・

『そうだよ!ち○ぽこの為にだよ!』

「うおおおおおおお!」

『後、ち○ぽこの為に、(自分の)メッセージカードも見つけといたよ!
もちろん、つん太郎の分も!!』

「うおおおおおおお!」

『はい!』

俺は、佐藤すみれさんが見つけておいてくれたメッセージカードと
俺の為に作ってくれたという“嘘”全開のチョコ(不二家のチョコ)を受け取った・・・

「ありがとう!ってかさぁ・・・
俺・・・すーちゃんのヲタクとして・・・有名になりてぇんだけど・・・」

『もう、有名でしょ!!』

いや全然有名じゃないだろ・・・と思い話し始めようとした所で
剥がしの方に後ろから両肩を掴まれて後ろへ体を持ってかれる・・・

ちょっと待て・・・俺の時、早くねぇか・・・
まだ接触(握手)してねぇぞ・・・触れてねぇぞ・・・

『ち○ぽこおおお!握手うううう!!』

佐藤すみれさんが笑って両手を差しのべながら言ってきてくれるも
時すでに遅し・・・

「すううううちゃああああん!BYE-BYE・・・」

俺は悲しそうな笑顔を浮かべてそのまま去った・・・

つん太郎君と佐藤すみれの接触が
終わるのを待ちそのまま劇場を後にした・・・

「つん太郎君。今日はありがとう。凄く楽しかったよ。」

『そうかい・・・僕も君と一緒に来れて楽しかったよ。マッハパンチ君・・・』

「そ・・・そう?なら・・・良かった。
でも・・・つん太郎君。僕、正直悩んでいるんだ・・・
僕は、一体何の為に、ヲタ活してるんだろう?って・・・」

『悩んでいるのかい?マッハパンチ君。
僕はWotaku Playboyになる事しかできない。
だが君には、君にしかできない、君ならできるヲタ活があるはずだ。
誰も君に強要はしない、自分で考え、自分で決めるんだ。
自分が今、何をすべきなのか。まぁ、後悔の無いようにね。』

「うん・・・そうだね・・・」

『ヲタクは思い出を忘れることで生きていける。
だが、決して忘れてはならないこともある。』

「うん・・・つん太郎君。僕、目指してみるよ。“TO”を・・・
やっぱり、僕は何か“目標”がないと頑張れないからさ。
それにしても今夜は星が綺麗だね・・・」

『星が好きなのかい?』

「うん・・・」

『君の気持ちは伝わるよ。
変化を求めず虚無と無慈悲な深淵の世界を好む。君らしいよ。
じゃあ・・・そろそろ、お別れの時間だよ。
マッハパンチ君は、安らぎと自分のヲタ活を見付ければいい。』

「えっ・・・」

『そんな顔をしないで。
また、会えるよ。マッハパンチ君。
今日は・・・ありがとう・・・』

そう言い残すと、つん太郎君は、俺の目の前からフッっと消えた・・・

“渚つん太郎”とは一体なんだったのか・・・
それは・・・分からない・・・

ただ彼は、俺にたくさんの大切な事を教えてくれた・・・

崇拝、天性、カリスマ…憎まれ足りない唯一存在…
それが・・・俺にとっての渚つん太郎だ・・・

渚つん太郎君が俺に教えてくれた事を胸に深く刻み、俺は歩き出す・・・





Tuntaro nagisa…
The Lord of Wotaku Playboy, and the Wotaku's king.
The living are terrified by the fear of god of Wotaku.



完!!