昨日は久しぶりに蘭島閣美術館に行ってきた。遺品整理はしているけど、何となく気力が湧かなくて気分転換に。


絵は静かにそこにあるだけで何らかのエネルギーを発する。それを感じるために絵の前に立つ。自分にエネルギーが満ちている時とそうでない時、絵の感じ方は変わるんだろうか。いつもほど元気のない私に絵は響くのだろうか。


杞憂だった。絵を前にするとちゃんと絵と対話ができる。それは言葉じゃない。


音がテーマの展示。川のせせらぎ、岸辺に打ち寄せる波、岩で砕け散る波、風にそよぐ木の葉、街の雑踏、港を行き交う船、鳥の鳴き声、三味線、鼓、そして静寂。


絵を見ながら耳をすます。芝居の絵を見て役者が台詞を語る場面を思い浮かべる、急流の描写にはねる水音が浮かぶなど、これまでもしてきたこと。でも、展示されている全ての絵に、となると初めての体験だ。


何も聞こえない、と始めは思ってもじっと見つめていると木々の間を吹き抜ける風を感じる。画面からすごく騒々しい感じがするのに、音の描写がない。注意深く細部を観察すると音符が描かれていたり。圧倒的な大きさで岩にぶつかった波が砕け散る大作。京劇を描いたそれは、簡素な線のデッサンなのに確かに京劇の音楽を感じる。


大丈夫。感じる心は失われていない。


そうそう、全然関係ないけど、数日前に虹が出ていた。