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散歩をおえ 家に帰ると旦那は飲みすぎていた 酒の力を借り私を攻めた 「随分長い散歩だな ソンナニ家に帰りたくないのか? 」右手の握りこぶしが頬を打つ そして 倒れた私の足に旦那は容赦なく蹴る もう 耐えられない お願い私を一人にして 罪の意識もなく旦那は何事もないように 眠りにつく メールの着信音 (君を驚かせてごめん) 読んだ文字が私を救ってくれる (助けて 私を独りにしないで)(どうしたんだ?)(寂しい 辛い 悲しい 私をひとりにしないで お願い)(何かあったのか?)ふと 我に返る 私は何をしているんだろう・・・・・・ 彼に助けを求めてどうするつもりなのだ・・・・・・ 『馬鹿みたい!』(すみません 何でもありません)(何言ってんだ)(何でもありません 家庭のことですから・・・・・貴方には関係のないことです もう私に関らないでください) 送信したあと 私は携帯の電源を切った 心が冷たくなっていくのに 暖かな涙が頬を伝った・・・・・・・・・・・・その夜は眠れなかった 目を閉じれば色々なことが頭の中を一杯にした 小さなときから私は何時も独りぼっちだった 母親に人に親切にしなさい そうすれば 必ず自分も親切にされるから 『美里は 優しい女の子になりなさいね』 いつも母の口癖だった 友達は沢山いた けれど 優しい気持ちで接しても 人は裏切るもの 簡単に人を裏切り心を傷つける 『もういやだ! 私は独りでいい 誰も信じない 何の感情もなく人に接すればいい 傷つきたくない!』 そう思ったのは中学の時だった 友達に裏切られいじめにあう・・・・・・・・その時から心から楽しいと笑う事は無い 冷めた女の子になった 社会の波にのみ込まれ 深く深く沈みこみそうになった時 今の旦那に会い人の愛情に心が静かにそして確かに温かさを感じていったのに また 同じことの始まりなのかと大きくゆっくりとため息をついた・・・・・・誰を信じて生きればいいのだろう・・・・・・・しかし私には子供がいる私がしっかりしなければ 子供たちを悲しませるのだ 枕に顔を埋め 声を立てずに泣いた明日からはなかないから今だけでもいい泣かせて欲しい・・・・・・
確か 二課に来る前に 安川と城山のことは 聞いたことがある けれどそれがホントかうそかなんて分からなかった 人の噂など大きくなるし 面白くするために人それぞれが 話を作っていくからだ だから関係ない話には 加わらないようにしていた 今思い出せば 確か城山は二十歳で子供を産み 学生結婚したのだ同い年の旦那だと聞いている お人形みたいでおしとやかな城山さんに対して 旦那は おばさんが言うには不細工な旦那らしい 城山さんが言うには 「優しい人がいいんです 私だけを愛してくれる人が」 確かにその時は私も耳を傾けた 感動だった お人形さんみたいに綺麗で優しい城山に・・・・・・・・・しかし 噂の真相はどうなのだろう本当に安川さんと浮気しているのだろうか・・・・・・・もしかしたら安川の片思い 城山さんは男たちをため息の渦に巻き込む人だから おばさんたちに人気のある安川さんを獲られたくないヒガミの単なる噂?なんとなくこの頃真相が知りたくなった 『私に声掛けたのは 気まぐれ?』 どうでもいい 好きにして かまってられない 他人のことなんて 今は自分のことで頭一杯だから・・・・・・・でも気になる・・・・・?買い物していた今日はおかず何にしようか・・・・・・電話・・・「あれ?もしかして安川さん?」どうするのよ!「はい」「今何してんだ?」 ???何してんだって普通一般の主婦は買い物でしょ「腹減った」「え?」「死にそう」「何か食べたいものわ!」「カツどん」「かつどん?」「俺の好物」「単純」「え?」「わかりました 十分後に何処に行けば」「会社」「会社ですね?」「待って 会社に着たら電話して 他に何人か残っているから」 「俺から行くから」「分かりました」 何なんだろう・・・・・確かに私の上司だ しかし 何で私はあの人の夕飯まで心配しなくてはナラナイノダ でもいいか一度きりだから どうしてか私の心はウキウキしていた 馬鹿みたい何考えてんだ? 自分に問いかけた 関係ないだろ たかが上司だよご飯の心配してどうするんだ トンカツやでウキウキカツ丼を買う私に問いかけた 一度だけだから・・・・・・・・・・・会社に着き 電話「カツ丼買ってきたけど?」「駐車場に行くから待ってて」電話が切れた 八月暑い夏 塀の片隅で彼を待つ「ありがとう」 自分の愚かさに落ち込んでいた何やってんだろう その時の彼の声だった 「心配していただいた恩もありますから 今日は特別ですから 明日からは 私に構わないでください 仕事は迷惑の掛からないように頑張りますから」彼の前にカツ丼の入った袋を置き 立ち去ろうとした 肩越しに腕をまわされ言われた「心配なんだ 何かあったら電話して欲しい 電話がだめなら メールでもいいよ 俺のメール電話番号だから」突然人の声硬直した私に心配ない誰も居ないよ 肩越しに回した腕が強くなる 私は振りほどいた 私には旦那がいます おふざけはやめて 声にならない行動が私の体を動かした 震える体を抑えながら私は走った 私に構わないで 貴方に頼ってしまいそう
「え?」彼の声だった 「俺 娘と二人なんだ 妻は実家に居て 上の娘と二人」 何故私の電話番号が知っているのかと何故私に電話したのかが分からなかった 「一人で来てるんだろ 何処にいるんだ?」花火がレーザーと競演して夜空に舞うう「綺麗ー・・・・・・」 私は彼の言葉より 花火に心奪われた 「綺麗だな」 彼も花火に心奪われた 「いま・・ビルの近くですけど」 用件を知りたく 問いに答えた 「反対側か 残念そこまでは行けないな」 「え?・・・・・」 何が言いたいのか分からない「今度・・・・・・電話・・・・・・する」大きな花火が電話の声を消した「すみませんけど よく聞えません」「気をつけて帰れよ」 ツーツーツー 電話の音 途切れた 私の心の中で疑問が大きくなる 何で私の電話番号が分かったの 何で私が一人だって分かったの?何で私に電話したの 何で? その日は まっ!いいか!なんて思いながら 心の疑問を消した 色々な事を考えるほど私の心には 余裕が無い 家庭の 特に 旦那とのいざこざに 心が悲しみに溢れた 土日の休みも終わり 疲れが残ったまま 会社に出た 旦那とのいざこざは絶えなく 疲れが 顔に出ていた 「おはようございます」 彼が客と話をしている横を通り過ぎて仕事場まで急いだ 彼の視線を感じた・・・・・・・しばらくして 携帯の着信音 また 番号だけの電話 出なかった 疲れてて出る気もないしどうでもいい 誰なんだと確かめる気もない また着信音 「はい!」 「どうした?疲れているぞ」彼だった・・・「別に 疲れてませんけど そう見えました?」くすくすと笑う彼 「無理するな いいな!」ツーツーツー 言いたいこと言って また 電話は切れた 何ナノよ 馬鹿やロー 私をからかってるわけ! 彼の名は安川 私の 上司 浮気相手 城山弘子 私 林美里 旦那 林正也 思い出せば 切ない思い出 悲しいか幸せだったか分からない
三年前四月 会社内の移動で 私は二課に配属になった そこは大奥で長年勤めているうるさ型のおばさんが沢山居た 男性が三人 女性が七人の部所だった そこに彼が居た 存在は知っていたが 不倫の噂があり その時は不倫なんて最低と思っていた私は どんな話題も無視していた バカバカしいからだ。その時はまだ 家族仲良く幸せだったからである。でも 幸せは続かないもので 子供のことで旦那と口論になり 旦那の右手が私の頬を打った 涙があふれた 悲しかった 次の日仕事など手につくはずが無い 自然に涙が溢れた 気づかれないように陽気に振舞った 家に帰りたくなく 仕事もたまっていたので残業した 一人誰も居なくなった室に居ると 彼がコーヒーを手に 私に近づいてきた 「何かあったのか?」 「何が?」「ずっと 様子がおかしかったから」 「別に何も・・・・・」 「心配なんだ 強がっていても なんとなく危なっかしくて」 「心配していただくのはありがたいんですけど 何もありませんから」 「ここも ナカナカ厳しいからな周りの人間が 特にお局様が」 と 言って彼は笑っていた。私の頬の涙の跡を手でなぞりながら その日から彼の視線が気になりだした ずっと見られているようで 何かあれば 倉庫代わりにしている部屋に呼び出されて色々なことを注意してくれた 私はお局様にとっては気に入られないタイプのようで どうしてもつまはじきにしたいらしい だから 彼はそれを心配して私に気をつけるように警告するのだ 今までに何人かの人が潰されて辞めたそうだ。 でも 私には どうでもよかった 旦那と上手くいかず 毎日が憂鬱だ 彼の存在も別に視線に入らない けれど 仕事のパートナーとして指名を受けることが多くなった 残業も頼まれることが多い 七月花火祭り 仕事で行けない旦那を残し 私は一人で見に行った ビールでほろ酔い気分 夜空に花咲く花火 真夏の夜の夢 夜風が私の頬を撫でる 携帯の着信音 「はい」 電話帳登録されていない電話 番号だけ 「どこで 花火見てるんだ 一人なんだろ?」 彼の声だった ・・・・・・・・・・・・・ 彼 七つ年下の娘二人の 四人家族 私 息子二人の 母 五人家族 浮気相手 彼と同い年の 娘二人 義理の母 五人家族 これから 私の人生のドラマが始まる 苦しく切ない毎日が・・・・・・・・・・・