まだ帰らない家族 独り彼を体に感じたまま リビングのソファーに横になっていた 愛している こんなにも人をいとおしく思ったことはない 離れたくないできればいつまでも彼の側にいたい でも いつかは悲しみに自分が壊れてしまうかもしれない 彼の背中ばかり見ていることに辛くて壊れる だって彼は 彼が愛してるのは城山さんだから・・・・・・・・・・・ 着替えを持ってすばやくお風呂に入った 全て流そう彼の温もりも記憶も お湯の中に体全てを浸し 涙とともに流した 鏡に映る自分に言い聞かせた『忘れな それが一番いい 後で後悔する前に 我慢しな 彼の心は貴女には向いていないよ』・・・・・・・彼にメールを送った『貴方を愛してます けれど 貴方が愛してるのは 私ではない だから 貴方を忘れることにしました』送信した後 私はメールアドレスを変え 彼の電話を着信拒否した 全てが終わる 会社で顔を合わせるのが辛いでもいつかは上司と部下に戻るだろう そう願った。
やはり 戸惑いの顔を彼は見せた 話す機会を求めたが 私はそれを避けた 彼を忘れようとする頭と忘れたくないと悲鳴をあげている心と格闘していたから 彼を避けた これでいいと自分に言い聞かせた 『我慢しな 美里』 瞼に涙が溢れた こらえようと上を向いて涙が流れるのを防いだ 辛い・・・・・好きでいることも諦めるのも・・・・・・・二つの心を両手に持ったとき どっちが重いだろうかと 手を握り締めた 好きでいる心の手を開いた 私は彼の手を離してしまったのだ・・・・・・・・・開いた手を見つめながら階段を下りていくと安川が走りよった 「なぜ!」腕を強く握られ引きとめられた「貴方が好きなのは私じゃないから それが辛いから」安川の手を解く 階段を下りながら「さようなら」と私は彼に告げた 必死にこらえていた涙が頬を伝う『泣き虫になってしまったかな 彼の存在が私を泣き虫にしてしまった 強くならなきゃ!』流れる涙を手の甲で拭った