1月13日(土)は、大学入試共通テストの第1日目。出題された日本史Bの問題をチェックしてみました。問題文は「東進ゼミHP」を参考にしました。

 

全体として

1)知識の内容は基本的事項が多い。

2)問題文に記載されている範囲は広く、習得していなけらばならない知識量は多い。

3)よく練られた問題が昨年よりも増加している。

4)特に史料問題に読解力を試される良問が多い。

5)平均点は昨年よりも上がると思われる。
※ 満足できる点数を得るためには、多方面から得られる複数の知識を関連付けて理解できる学習が必要であり、学習時間の確保とともに教員にも高度な専門性が必要とされる。教科書・資料集を理解するための適切な補助教材の提供、ないしは説明が必要であろう。

 

以下、個別の問題について簡単な説明

「第1問」(大問1)は「印刷の歴史」です。(問題形式に統一感がなく、問題文が練れていない)

 「問1」(小問1)は、古代の政治史(藤原四子・大仏開眼会・養老律令・恵美押勝の乱・道鏡)についての年代を問う。基本的問題。

 「問2」は、中世の日朝交流史(三浦の乱・秀吉の朝鮮出兵・応永の外寇)についての年代を問う。基本的問題。

 「問3」は、戦国期の楽市に関する史料読解力を問う。史料がやや難だが、注を丁寧に読めれば解答できる。

 「問4」は、戦国期(活字印刷技術)と鎌倉期(吾妻鏡)の文化史についての知識を問う。基本的問題。

 「問5」は、江戸後期の文化(蘭学階梯と人情本処罰)についての知識を問う。基本的問題。

 「問6」は、明治期の文化(出版)についての史料読解力と知識を問う。基本的問題。

 

「第2問」は「古代の食物」です。

 「問1」は、「甕」と「甑」の形式と用途についての知識を問う。基本的問題。

 「問2」は、史料読解力と旧国名についての知識を問う。史料と表が組み合わされている良問だが、基本的問題。

 「問3」は、文化史(高松塚古墳・寝殿造・鳥毛立女屛風)に関する知識を問う。基本的問題。

 「問4」は、問題文と史料の読解力を問う。史料はやや難だが、丁寧に書かれている注が読めれば解答できる。基本的問題。

 「問5」は、文化史(平城京跡出土木簡・日本三代実録・枕草子)に関する知識・内容・時代背景を問う。基本的問題。

 

「第3問」は「中世社会」です。

 「問1」は、朝廷と武士との関係における知識(西面の武士・段銭・悪党)と年代を問う。基本的問題。

 「問2」は、史料の読解力を問う。史料(永仁の徳政令)は基本的史料であり、史料の内容と影響を考えさせる良問だが、内容は基本的問題。

 「問3」は、文化史(神皇正統記・応安新式)の筆者を問う。基本的問題。

 「問4」は、分国法についての知識と史料読解力を問う。良問。内容は基本的問題。

 「問5」は、社会の特質に関する読解力を問う。良問。内容は基本的問題。

 

「第4問」は「近世の対外交易の影響」です。

 「問1」は、近世初期の対外交易についての知識を問う。基本的問題。

 「問2」は、キリスト教政策についての知識と年代を問う。基本的問題。

 「問3」は、俵物についての知識を問う。基本的問題。

 「問4」は、史料読解力を問う。良問。やや難。

 「問5」は、史料の読解力を問う。丁寧に史料を読み取る必要がある。良問。内容は基本的問題。

 

「第5問」は「近世の対外交易の影響」です。

 「問1」は、近世初期の対外交易についての知識を問う。基本的問題。

 「問2」は、キリスト教政策についての知識と年代を問う。基本的問題。

 「問3」は、俵物についての知識を問う。基本的問題。

 「問4」は、史料読解力を問う。良問。やや難。

 「問5」は、史料の読解力を問う。丁寧に史料を読み取る必要がある。良問。内容は基本的問題。

 

「第6問」は「明治はじめて物語」です。

 「問1」は、開港と洋服についての知識を問う。基本的問題。

 「問2」は、幕末の輸入品目の割合について円グラフの読解力を問う。基本的問題。

 「問3」は、国立銀行条例についての知識と史料読解力を問う。日本語読解問題か。

 「問4」は、明治の文化(フェノロサ・加藤弘之・民法・太陽暦)についての知識を問う。基本的問題。

 

「第7問」は「近現代の国際関係」です。

 「問1」は、ワシントン会議についての知識を問う。史料(日英同盟協約・国際連盟規約・海軍軍縮条約)の読解力や知識も問われている。やや難。

 「問2」は、田中義一内閣についての知識(幣原外交・虎の門事件・シベリア出兵・最初の普通選挙)を問う。基本的問題。

 「問3」は、満州事変についての史料読解力を問う。やや難。

 「問4」は、第2次世界大戦開始時期の日本外交(日独伊三国同盟・第一次近衛声明・日ソ中立条約・日米通商航海条約廃棄)についての知識を問う。基本的問題。

 「問5」は、占領期の社会と文化(公職追放・教育基本法・言論統制)についての知識を問う。基本的問題。

 「問6」は、対日講和会議後の日米外交(沖縄返還協定・MSA協定・新日米安全保障条約)についての知識を問う。質問内容は基本的事項であるが、高校の授業で時間的に説明できるかという点で、やや難。

 「問7」は、対日講和問題(ソ連・中華人民共和国)についての知識を問う。基本的問題。

 

以上。何らかの参考になれば。