真言宗の生活の中に大切な事の一つとして「供養と礼拝」がございます。
日夜仏様やご先祖様に手を合わせて読経礼拝し、日々の感謝をして、お導きとお護りをお願いするわけでございます。
これまでは、各ご家庭で祖父母や親が子や孫にその行為の尊さを伝えてきたものでございますが、核家族化が進んだ現在では、それも難しくなっております。 自分の家の宗派も知らない方も少なくありません。 神仏というものは、普段何もしていなくても助けてくれる便利な存在ではございません。
日頃から、仏前を整えて、仏様の教えを基本とした生活を営まねばいけないのです。
宗教信仰とは、仏様と我々人間とがお互いに供養・礼拝し、心を通わせる行為であると言えます。
そうして生活することで、人は素晴らしく美しい心を持った存在へと育っていくわけであります。
現代日本では、仕事や学業の関係等で、単身生活されている方や家族がいても心が離れて寂しい思いをしている方も多いことでしょう。 貴方の最も近いところで貴方を支えてくださるのは、仏様とご先祖様なのです。
今まで仏事をしたことがない方も、まずは難しく考えずに合掌・礼拝をいたしましょう。
そして仏前を荘厳いたしましょう。 相互に供養し、手を合わせるところに幸福はやってくるのです。
供養と礼拝の輪が広まることで、すべての人間が幸福になる。それこそが、大切な事なのです。
「相互供養」 「相互礼拝」 という言葉をこれからの人生で実践していただきたいと存じます。
南無大師遍照金剛
札幌市 広照院 伊東 大善 僧正