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【分かりやすい法律用語解説】(その11)で,公務執行妨害の法定刑には懲役と禁錮(と罰金)があり,業務妨害の法定刑のそれは懲役(と罰金)だけであるという話をした。
では,懲役と禁錮はどこに差があるのだろうか。
これは刑法にきちんと定められている。
刑法12条2項は,「懲役は,刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。」と規定している。
これに対して刑法13条2項は「禁錮は,刑事施設に拘置する。」と規定している。
つまり,懲役も禁錮も刑務所等に拘置されるが,懲役は刑務作業が科せられるのに対し,禁錮には刑務作業が科せられない。
ただし,禁錮に処せられた人も,請願作業と言って自ら願い出て作業をすることはできる。
1日中房内でジッとしているのも苦痛だし,刑務作業をすればわずかながら作業給付金がもらえるから,ほとんどの禁錮刑受刑者が請願作業をすると聞く。
懲役刑は,殺人,放火,強盗,窃盗などの道徳的非難の度合いが強い犯罪の場合に定められており,禁錮刑は過失運転致死傷,業務上過失致死傷などの道徳的非難の度合いが弱い犯罪の場合に定められていると言われるが,交通事故でも悪質なケースもあり,前記のとおりほとんどの禁錮刑受刑者が請願作業をすることと相俟って,懲役と禁錮の差は現状ではほとんどないと言えるかもしれない。