台湾・蔡英文新総統の就任演説全文(第8回) 「92コンセンサス」の名は出さず | 如月隼人のブログ
2016-05-22 16:01:12

台湾・蔡英文新総統の就任演説全文(第8回) 「92コンセンサス」の名は出さず

テーマ:政治・軍事

 中国側が蔡総統の就任演説で、もっとも重視したのは、「九二共識(92コンセンサス)」を認めるかどうかだった。同コンセンサスは大陸側と台湾側が1992年に香港で会談した際に、双方が「ひとつの中国」を認めたとされるものだ。しかし文書化されず、発表されたのが2000年になってからということもあり「そもそも存在しなかった」と主張する人も少なくない。蔡総統は就任演説で、92年には大陸側と「若干の共通認識と了解を得ました。私はこの歴史的事実を尊重します」と述べた。中国側は今のところ、強い反応を控えている(解説参照)。

 対話と意思疎通は、私たちの目的を達成するための重要な鍵です。台湾はまた、「平和の(ための)積極的な意思疎通者」になります。私たちは関連する各方面と、常態的で緊密な意思疎通のメカニズムを構築し、意見を随時交換し、誤判断を防止し、相互信頼を樹立し、争議を有効に処理します。

 

 私たちは謹んで、平和と利益の共有の原則を守り、関連する争議を処理します。

私は中華民国の憲法によって総統に当選しました。私には中華民国の主権と領土を護る責任があります。東シナ海と南シナ海の問題について、私たちは争いを棚上げし共同で開発すべきだと主張します。

 

 両岸の間の対話と意思疎通について、私たちは現在のメカニズムを維持するよう努力します。1992年に両岸の双方は、共通点を求めるが違いの存在は認める政治的思考を互いに了解し、意思疎通と交渉を進め、若干の共通認識と了解を得ました。私はこの歴史的事実を尊重します。

 

 92年以後、双方が20年以上にわたり交流し、交渉して累積してきた現状と成果を、両岸のいずれもが共同で大切にして守っていくべきです。さらに、この既存の政治の基盤の上に、両岸関係の平和と安定、発展を進めることを続けるべきです。

 

 新政権は中華民国憲法と、両岸の人民に関係するその他の関連法令にもとづき、両岸の実務を処理します。両岸の2つの政権党は歴史的な旧概念を捨て、良性の対話を展開し、両岸の人民の幸せを築くべきです。

 

 私がお話していることには、鍵となる要素を含め、すでに政治的基礎があります。第1に1992年の両岸会談が歴史的事実であり、共通点を求め違いの存在は認めるとの共通認識も、やはり歴史的事実であるということです。第2に、中華民国の現行の憲法体制があります。第3は、両岸が過去20年余りにわたり、交渉と交流によって相互に進めて来た成果です。第4は台湾の民主の原則と普遍的な民意です。

 

 **********

 

◆解説◆
 中国側は蔡総統が就任演説を行った20日、「共産党中央台湾弁公室と国務院(政府)台湾弁公室の責任者」の名義で、談話文を発表した。

 

 同談話文では約1000文字の中で7回にわたり「九二共識」の語を繰り返し、大陸と台湾の関係を安定して発展させるためには、双方が「九二共識」を認めることが不可欠と強調した。

蔡総統の演説については、1992年の会談で「若干の共通認識と了解を得た」として、現行のルールや規則により両岸関係の実務を処理すると述べたことに「注意している」と表明。しかし、蔡総統は曖昧な態度を示し、「九二共識」と同共識の核心的な意味合いを認めることをしなかったとして「不十分な答案」と批判した。

 

 その上で「異なる道を選べば、異なる風景が開ける」と、やや恫喝気味に、台湾独立について警戒を示した。

 

 中国側の民進党政権に対する警戒はこれまで通りだが、蔡総統の演説内容について「不十分な答案」と表現したことは注目に値する。批判はしたが、全否定はしなかったからだ。この点では、大陸側の反応もいまのところ、比較的抑制的だ。(編集担当:如月隼人)

 

関連:
台湾・蔡英文新総統の就任演説全文(第7回) 経済交流、重視の順はASEAN・インド・中国

 

参考:
蔡英文520就職演說全文(中国語)

如月隼人さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントする]

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス