MLながらの正式な廃止が発表されたが…。 | 鉄道きさらんど
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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

JR東日本、東海の春臨のリリースで昨年3月以来運転されていないムーンライトながらは今春も運転予定はなく、廃止されたという事が判明した。他の「ムーンライト」一族の夜行快速はこれまで廃止かどうかうやむやのままフェードアウトしていたので「正式な」リリースがされたというのはそれだけこの1年で東日本、東海に問い合わせがあったからだろう。大垣夜行やさらに前身の東海道線夜行の流れをくむ列車だから夜行快速の中では知名度抜群だった。しかし元々373系で毎日運転されていたのに09年より18きっぷシーズンのみ運転の臨時列車化、国鉄型への車両の変更でJR東日本・東海は将来的に廃止するつもりなのではないかという憶測が流れた。それからはいつ廃止になってもおかしくなく毎シーズンの臨時列車のリリースを固唾をのんで見守っていた人、毎シーズンながらの運転計画が発表されて安堵する人も多くいただろう。そして昨春を最後に運転されず正式に廃止。よくここまで持たせたというべきか?

 

廃止理由としては行動様式の変化とか今風に言ってみても結局JRのこの手の列車の廃止のリリースでよくある「お客様の減少により…」と同じ意味だろう。この列車は観光列車でなく都市間移動のための列車だが、ビジネスや冠婚葬祭の足ではなく若者中心にライブや同人誌即売会などの東京や名古屋(と大垣で普通・快速電車に乗り換えて関西圏)のイベントに参加するための移動手段という面が強く(夜行バスと似た客層)昨春以降はそういったイベントがごっそり消えてしまった、昨年3月もイベント自粛以前にイベント参加者の利用をあて込んで運転したのに散々な乗車率だったのだろう。(高速バスも昨春以降大減便しているが)コロナ自粛がとどめを刺したと言える。

 

また、この列車は近年は乗ること自体を目的にする人も結構いた。臨時化して国鉄型での運転にかわるという、普通なら時代に逆行した「改悪」といわれかねないが183系や185系での運転となったことが鉄道ファンの注目をさらに集める結果になった。車両の事は抜きにしてもクルーズ列車でない個札で乗れる夜行列車がどんどん減る中で残った夜行列車は珍重されイベント参加などの目的はなくても乗ることを楽しみにしている人の割合は上がったのだろう。これは近年まであった北海道と本州を往来する寝台列車にも晩年は似た傾向があったが。

 

MLながらはサンライズやかつての銀河など同じ線区を走る夜行急行・特急や新幹線よりも乗車のコストが(18きっぷ含む+指定券券)安い列車でありそれは全車自由席の大垣夜行などの時代から変わらない庶民的な若者の味方的な列車といえただろう。それでいて、18きっぷシーズンでも日付をまたぐ乗車、例えば上りを大垣から東京まで乗ると大垣から豊橋は普通乗車券、それ以東は18きっぷというきっぷの併用をして利用している人ばかりでもうけが薄いとはいえ案外実入りは悪くなかっただろう。しかし、定期列車時代は例えば下りの豊橋大垣間はほとんどの駅に停まる自由席の普通電車となり早朝の沿線の近距離利用を拾うという機能もあったが臨時化で運転日だけでなく停車駅が完全に絞られ、全席指定となり地域の足的な役割はなく高速バス的な都市間移動に特化した。こうなると夜行バスと同じ土俵に上がり国鉄型と今どきのバスではコンセントやWi-Fiなどの設備や座席の座り心地の落差が目に付く結果となった。これは国鉄型で運転し続けるJR側の姿勢の問題でもあったが…。(せめてE257系が投入されていれば…)また全席指定列車となり快速は料金圏が指定券のみで特急・急行と違い距離にかかわらず値段がかわらず安いので手軽でよさそうだがそれが問題やトラブルの種になった。具体的にいえば一人で同じ列で隣り合う2席を取るから運賃収入が伸びない、指定券の値段と払い戻し手数料の差が小さくわざわざ払い戻す手間があるだけだと予定が変わっても駅へ払い戻しに行くインセンティブがないからそのままほっとかれて、予約は埋まっているのに実際に乗る人は少ない、新たに乗りたい人に空席として指定券を売れない、中には悪知恵が働いて自分は乗るつもりがないのに、乗車券は買わないのに指定券だけ買い占めて転売する人もいた。

 

結局、大垣夜行からMLながらの原則全席指定化、臨時化での完全指定席化で列車の性格が徐々に変質し本来なら乗車券にあとは指定券の分だけお金を払えばよくて安くてコスパがよさそうでも指定のとりづらさやネット上でのダフ行為などで指定券価格が吊り上がる、それでいて元々の指定券は安いから2席占有や「ドロンとシート」等の問題が噴出しJR東日本と東海の悩みの種になった。利用者にも気軽な庶民の足から列車にまつわる問題や事情を知るコアな人のための足になってしまったのが客離れと廃止の原因といえよう。

 

しかし、きっぷの転売は事業者側の姿勢にもあると言える。もともと列車の指定券の転売は観光列車やラストラン列車で昔から繰り返されてきた。列車は高速バスや飛行機などと違い自由席があり、もともと指定席もきっぷと購入者の個人情報が紐づけられていないとはいえ、ネット予約が発達した段階でネット限定で指定券の予約を受け付けるなどなんとかして券購入者と利用者が紐づくようにできなかったのか。また同一購入者が大量に指定券をかえなくするようにするとかも・・・。駅の窓口やMVでの発売は直前からだけにするとかも。こうすることで乗る気はないが転売のために10時打ちができる暇のある人と乗りたいけど暇のない人の差をなくし、本当に乗りたい人に指定券が行き渡るようになったはず。車内改札は今は車掌端末で指定券の埋まり具合がわかるデータ改札になっているのが車内では車掌がきっぷと本人確認できる書類をチェックするようにできればよかった。事前予約せいではないがバースデイきっぷやフルムーンパス、JRパスやジパング割きっぷは購入資格のあるひとがのっているかを実際に確認しているし、車掌端末に購入者の情報を載せられなくても確認することが転売の抑止力になる。(やましいことがなければ身分証くらい提示できるはずだし)またもっとネット予約に対応していれば発券前はオンラインでキャンセルする習慣が浸透したし、「ドロンとシート」化するくらいなら払い戻し手数料をもっと安くして払い戻すインセンティブを与えたほうがもっと本当に乗りたい人に指定席が行き渡り利用しやすい列車になったはず。

 

何もMLながら廃止がJR東日本と東海の怠慢とかいっぽう的に断罪したいわけでは毛頭ない。しかしネット上で見られるように転売問題などの廃止の遠因となったトラブルを利用者の姿勢やモラルの問題にばかりして「これだから鉄ヲタガー!」的な論調にも違和感がある。転売などは利用者やオークションサイトのモラルのばかりにされてしまうが本来はJRの指定席の販売体制の改善でなくしていくべきものだと思うので。車両の古さなどを考えれば廃止はやむなしともいえるが、もっとやれたことがあったのではないかとも思い個人的には指定券の転売対策の取り組みが問題だったと思う。

 

当ブログでは過去にも指定席等の転売問題には触れてきたので似たようなことを今更蒸し返すのも気が引けるが…。

 

 

 

 

 

そもそもきっぷの転売は前述したとおりMLながらの誕生以前から幅広い列車でダフ行為があり、ネットオークションでだれでも物を売れるようになり鉄道の名門列車の廃止や惜別乗車ブームが起こって過熱した。珍しい観光列車等は、特急急行でなく快速として運転する列車は指定券が安いからこそ格好の転売の「商材」になり、トラブルが起こった。特急や急行でも寝台列車がいままでそうだったんだし、新幹線も幻となったが700系の最後の営業列車となる予定だったのぞみ315号はEX予約ではない普通のきっぷがそうだった。また一番最近の話題だとコアな鉄道ファンよりもキッズ・ファミリー層向けの列車であるSL鬼滅の刃号も指定券の転売屋による買い占めや高騰はひどいものだった。これは勿論転売屋と転売屋から買う人が悪いと言えるが、利用者のモラルばかりにしていいだろうか?出張や通勤通学の足でない遊び的要素のある珍しい列車はきっぷが転売のネタになるのが日常茶飯事だが、それは全部の指定席連結列車がネット予約に対応していないから10時打ちして大量購入できるダフ屋に商機を与えてしまったこと、ツアー商品でない個札のきっぷの購入者を紐づけできず実際の利用者が全然違ってもおとがめなしになることなど国鉄時代からのマルスシステムの問題点でもある。JR各社が系列旅行会社のホテルや観光バスや土産物屋と抱き合わせの旅行商品を売りたいがために個札の販売体制は放置されて今も改善されていない。数ある夜行列車が消え、MLながらも消えるのは利用者の減少や輸送モードの多様化などの理由があり、時代の流れで今更どうにかなるものではない。とはいえ「痛い鉄ヲタざまぁwメシウマ!」「転売ヤーざまぁw」的な反応でだけで終わらせて良かったのか、JRの営業制度やきっぷの販売体制に不備はなかったのだろうかとは思うのも事実。