「フォルスト・リーチの春」

「誓いのとき」タルマ&ケスリー短編集 所収
マーセデス・ラッキー著
山口緑訳
創元推理文庫刊

FBの馬好きのグループの方に教えて頂いた本書。モンティ・ロバーツの自叙伝を読み始めました、と言う私の書き込みに対して、本書を勧められたので読んでみました。


アメリカの異世界ファンタジーの女王と呼ばれるマーセデス・ラッキーが描くヴァルデマール年代記の短編集です。私は寡聞にして本年代記を知らず、本編を読まずにいきなりこの短編集の中の1つの短編を読んだので、世界観や登場人物の把握が最初「!!!?!!!?」ではあったのですが、すぐにこの短編が繰り広げる

馬語を使って馬と会話する

内容に読み入ってしまいました。

『本編にはシン=エイ=インならではの馬の調教法が詳しく述べられていますが、作者ラッキーによれば、これは全てある人が実際に行なっている方法だそうです。』(188ページ)

とあるように、「ある人物」が誰かは明確には書いてはありませんでしたが、モンティが行なっている馬との会話方法を物語の中に取り入れています。


異世界の地、フォレスト・リーチの君主は所有する馬の扱いを長年憂いていた。優れた軍馬を種馬にして交配させた馬たちを、戦争がないときには農作業に使っているが、元々気性の荒い軍馬の血統の為か、馬を農作業の器具に繋げようとすると馬が暴れ、怪我人が出るほど。今に死人が出るのではないかと憂いていたところに、シン=エイ=インという国(?)では、馬を上手く調教する人がいると言う評判を聞きつけ、馬の調教の依頼にやってきた。そこでシン=エイ=インのタルマはフォレスト・リーチに赴き、ほんの数日でフォレスト・リーチが所有する全馬を調教してしまった。


このシン=エイ=インが国の名前なのか種族の名前なのか良く理解できないままに短編は読み終えてしまいましたが、このシン=エイ=インでの馬の調教方法は、調教というより馬語を使って馬と会話をして馬に納得させて仕事をして貰っているのです。小説の中での馬語はモンティが見つけた馬同士のボディランゲージと、馬の前進と後退の資質を使った物でした。

馬の名前が「地獄の死」や「鉄の心」(フェールデクール?)と言った凄い名前なのがちょっとビックリですがw

50ページ弱の短い話ですが、馬語を使った馬とのコミュニケーションを取る方法の実践版として楽しめるお話でしたおねがいピンクハートブルーハートキラキラルンルン