母娘はそのまま中の君のもとへ向かわれました。
積もる話をされた後、その間に若宮と戯れる匂宮や
薫の君の訪問がありましたが、
「くれぐれもこの姫をよろしくお願いいたします」
そう言って母君は帰っていかれました。
この姫のふとした表情があまりに大君に似てるので
中の君もほんとに驚くばかりでした。
浮舟、そのいわれはそのうち分かります。
あくる日の夕方です。匂宮が中の君のお部屋に参りますと、
あいにくご洗髪の時でした。洗髪にはかなりの時間がかかります。
若君も女房達に囲まれておやすみ中でしたので、
お
ふと襖の間から美しい
匂宮はいつもの御心がわき出でてそっと襖を押し開けると、
屏風の影からその衣に抱き付かれました。
その方は驚き扇で顔を隠して振り返られます。それがまた
ことのほか優雅なので、
「あなたは誰なの?名が知りたい」
とやさしくささやかれます。芳香があたりに漂います。
「この方があの薫の君様かしら?」
その姫はそうお思いながらどうしたものかと恥じらっておられます。
そこへ姫君の乳母が屏風を押し開け入ってきました。