漣のように静かな息が
激しく吹き始める
まるで慟哭するかのように…
いまの時を乗り切れば
きっとふたたび
穏やかな凪に戻るだろう
そう信じて見守る者は
豹変した嵐の中で
共に揺れて凪を願って待つ
だが待っていた生気は
遂に返らず
波は静かに音を消した
生の鼓動が魂へと変わる様を
見つめるしかなかった
それが死ということ
見送られ逝く旅人は
どの道を辿り
終の棲家へ行きつくのか
見送る者はひたすらに
魂の無事な旅路を願い
祈りを捧げつづける
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photo by Yuko.Wakamatu