恋愛セオリーなんて誰が決めた 2 | KIRAKIRA☆

KIRAKIRA☆

こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。



部屋の第一印象

「・・・・殺風景だな」



必要最低限のモノしか無い部屋
女の子特有の「可愛らしい」小物が全く見あたらない。

「来週には引っ越すのよ。無意味なものは全て捨てたわ」

愛想の無い声で言われ、持ち主が持ち主なら部屋も部屋だと思った。
今まで女の子の部屋に入った事は何度もあるが、シンプルの中にも可愛らしいらしさや女性らしさが必ずあった

なのにこの部屋ときたら



「お前にとって無意味なものはよっぽど多かったんだな」



多少の嫌みも込めて呟くと、その女は明らかに顔を強ばらせた。

「・・・・・そうよ、だから捨てたの」


可愛い洋服

素敵な家具

おしゃれなコスメ


それらに憧れはあったが、全て我慢してきた。

唯一部屋を占領していたのは雑誌、ポスター、CD,DVD・・・「あの男」に関わる品々で


全て捨てた時に空っぽになった部屋は、まるで自分の様だと思った。



それを指摘された様で、目の前の男にすら怒りが湧いてきた。

ギロリとカインと名乗った男をにらみ付ける


「お茶なんて出さないわよ!部屋の隅で大人しくしていてよね!」

「・・・・・それが男を部屋にあげて言うセリフか」

「あげたくてあげた訳じゃないわよ!!」

「俺も入りたくて入った訳ではないけどな」


そう言いながらも、カインは靴を脱いで部屋に入っていった。

ここまで来て帰るのも癪だし、何よりも下にあの男たちがいたら厄介なのには変わりはない。



・・・・のだが・・・

「第一アンタがあんな面倒そうな男達に追いかけられているのが悪いんじゃない。」


勝手に関わっておいて何をいうか・・・とブツブツ言う女に、いっそ呆れてしまうが



そう・・・・癪なのは変わらない訳で



流石に少しイラついて背中を向けてハンガーに上着を掛けようとしている女の腕を掴んだ。

驚いて振り向いたのに合わせて、腰をさらいそのまま床に押し倒す。


組み敷いた下で、女が呆然と目をまん丸にして固まっている

その表情を無表情でじっと見下ろして


口元を緩めて、フッと笑った



「何を驚いている?男を部屋に上げる意味が判らない訳ではないだろ?」

「な・・・に言って・・・・」


いっそ妖艶ともいえる色香を漂わせるカインの雰囲気に、女の声が震えているのが判った。

その瞳の中に明らかに怯えの色が含まれていて、カインはニヤリと笑う


押さえ込んでいる手首が弱々しく反抗しようとしているが、全く動かせる気配もなかった。


その様子に満足し、唇を近づけようとして・・・

女の口元が「や・・・ッ!」と動くのを見て



「・・・・・・・クっ・・・冗談だ」


寸前の所で止めて、身体を起こした。

さっきまで自分を般若顔で睨みつけていた顔が、呆然と固まっている事で少し溜飲が下がった。


「普通はこういう状況なら、ヤられていてもおかしくないぞ。天罰の心配の前に少し自分で危機感を持つんだな。」


カインとて、目の前の女がそういうつもりで誘ったのでは無いと判っていた。

なんせ全くそんな素振りを欠片も見せていないのだ。想像すらしていなかったに違いない。


これで少し反省すればいい



自分の反逆がうまくいった事に満足していると、女はゆっくりと身を起こした。

うつむいている姿勢から表情を読むことは出来ないが


泣いているのか?

出て行けと言われそうだな・・・まあ、いいけど少し時間は稼げたし・・・



「・・・・・んで・・・・よ・・・」

「ん?」


最初、その呟きを聞き取る事が出来なかった。

思わず身を乗り出すと、グットタイミングでその女が顔を上げた。


泣いている・・・・のでは無く般若顔で



「なんで何もしないのよ!!普通はやるって言って私は普通じゃないっていうの!?どうせ私は普通以下よ!!色気もへったくれもない女よ!!」


「・・・・・はあッ!?」



予想外のキレ方と言葉に思わず声が上がった。

だが、女はその形相のままカインに詰め寄ってその胸ぐらを掴みだした。



「男を部屋にあげる意味!?どうせ判らないわよ!!どうせ私はそんな危機感すら持つ必要がないぐらいのレベルだったって事でしょ?!」

「おい、何言って・・・・」

「どうせ女として終わっているわよ!!せいぜい家政婦としか価値がない人間だって事!?」

「いや、そこまでは・・・」

「じゃあなんだって言うのよ!!アンタだってアイツと同じゃない!!私を無価値な人間だって・・・ッ!!」



安心感からか、言いながら感情が高まった来たのか、その目からぶわっと涙が溢れてきてギョッとした。


「お、おい・・・ッ!」

「わ、わたしは・・・・ッ!どうせどうせどうせどうせ~ッ!!」


子供の様にボロボロと泣きながら取り乱す女に、しばし呆然と目が離せなかったが、すぐに我に返った。


「お、落ち着け・・・誰もそこまで言っていないだろ。」

「言っているじゃない!」

「言っていない!!」

「違うっていうなら証拠を見せてよ!!」

「証拠って・・・・」


ぐわっと噛み付かんばかりの形相に、支離滅裂すぎる言葉


どうやら何か彼女の地雷を踏んでしまった事だけは判るが・・・・




「私を抱いてみせてよ!!」



全く色気もない誘い文句・・・と言っていいのか判らない叫びにくらり・・と目眩がした。





後になって彼女はこの時のこのセリフを


「意地と怒りと自暴自棄がブレンドして生成された言葉が売り言葉に買い言葉で発声されたもの」



と評するのだった。








参加しております☆ぽちっとお願いします☆

↓↓↓




スキビ☆ランキング