終幕と開幕の間 【5】 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

※10万ヒットリクエスト! 

今回はリクエスト内容は後ほど明記します。(話の流れ上組み合わせるかもしれないので)



「つ、敦賀さん・・・大丈夫ですか・・・・」


「ん・・・・・・」


「もう・・・最後の方あんなムキになって食べるから・・・」


「ん・・・・・・」


「あんなのアイツに食べさせておけばよかったんですよ、なのに・・・」


「・・・・・・・」



キョーコの言葉を聞いているだろうが、返事すらまともに出来ないのは、口を開くと何か出てきそうな程の満腹故だった。

苦しい・・・・なんてものでは無く、どうして食事をしただけなのにこんなに疲労困憊になってしまうのか・・というぐらい、指一本動かすのも億劫だった。


だけど



最後の台詞には同意が出来なくて

収録の最中明らかに自分を心配して、食べようとしてくれていたキョーコに、情けない気持ちが段々湧き上がってきて


キョーコが自分をかばって食べようとした時に、覚悟を決めた




のだが




キョーコはキョーコでまた別の想いが胸中を渦巻いていた。





目の前に苦しそうな蓮の姿に





「・・・・・・・私だって・・・敦賀さんのお役に立ちたかったのに・・・」




つい、ポツリと呟いた言葉が隠しきれない本音




普段から小鳥ほどしか食べない蓮を助けられる数少ないチャンスだったのに


「役に立つ」数少ないチャンスだったのに




「・・・・・いいんだ」


「え?」



呟いた言葉が聞こえたのか


聞こえた言葉に呟かれたのか




「心配しなくて大丈夫だから。俺は・・・君に頼らなくても・・・・」




「敦賀さ・・・・」



キョーコが言葉を掛けようとした時に




バンッ!!




「なななななななななにしてやがるんだーッ!!」


「ショータロー!?アンタなに人様の控室にノックもせずに勝手に・・・」


「お前らこそ、何人気のない所でそそそそんな・・・・」


「はあ?」



勢いよくいきなり蓮の控室に飛びこんできたのは、顔を真っ赤にさせたショータローで、中の様子を見てわなわなと叫んでいるが


一体何をそんな態度になっているのか、さっぱり判らない


「ちょっと出て行ってよ、敦賀さんが休めないでしょ」

「休むって・・・ッ!そんな体勢でか~!!」


「そんな体勢って・・・横になっているだけじゃない」



「膝枕させていて、”だけ”だと~ッ!?」



そういって指差した先には、キョーコの膝を枕にして横になっている蓮の姿だった。

平然と膝を貸しているキョーコはキョーコで、不思議そうな顔をしているのが余計に腹立たしい。


「敦賀さんは、こうしないとゆっくり休めないのよ。もう、出て行ってよね」

「って・・・ま、まさか、お前・・・それ・・・初めてじゃないのか・・・?」


益々青くなるショーの声に、それまで黙っていた蓮はわずらわしそうに軽く溜息を吐くと


「・・・・・最上さん・・・もういいよ・・・ここにいるとうるさいのがいるから、帰ろう」


「な!誰がうるさいだって・・・ッ!」


「敦賀さん、起き上がって大丈夫ですか?車乗れますか?」

「うん、こうなる事を見越して車は置いてきたし、社さんが今タクシー呼んでくれているから」



そう言って、ショーを無視して帰り支度をはじめる二人

そのキョーコの腕をショーは掴んだ



「お前・・・・バカか。本当に自分が”妹みたいに可愛がられている後輩”だと思っているのか?都合のいい様に使われているだけじゃねーか」


キョーコにのに聞こえるように言われた言葉に、キョーコは目を見開いた。


「そんな事な・・」

「現実に目をそらして、都合のいい言い訳を盲目的に信じているだけじゃねーか。俺の時みたいに」



カッと頭に血が上った


それは、当の本人に言われたからでは無く・・・それが・・・・



「アンタにそんな事言われたく・・・・ッ」


「最上さん、行こう」



蓮は鋭い視線でショーの腕をつかんで、ショーは舌打ちと共にキョーコから手を離した。


「キョーコ、さっさと目覚ませよ」


ぼそりと呟かれた言葉を振り切って蓮と控室を後にした。



この時の、ショーの言葉は



言った側と言われた側




全く違う意味で受け取っていたのだが




心に響いたのは




それが




皮肉にも






図星だったから








「あ、京子ちゃん。帰るの?お疲れ様」

「光さん、お疲れ様です。その・・・今日は色々ご迷惑を・・・」

「ああ・・・・アハハ・・・いや・・・京子ちゃん・・・敦賀君とも不破君とも仲がいいんだね」


乾いた笑みを浮かべられて、光のその表情の意味を考える前に、言葉に反応してしまった。


「え!光さん何をおっしゃるんですか!あの馬鹿ショー・・・あ、いえ、不破さんと仲がいいなんて恐ろしい事言わないでください!」


普段のニコやかなキョーコの顔から一転、般若の様な顔をされて光は思わずたじろいだ。

キョーコとしては先ほどの今で、名前さえ聞きたくなかったのに、ここにきて「仲がいい」なんて腹ただしい上に許せない単語でしかない

だが、次に出た光の言葉に思わず固まってしまった。



「え・・・でも・・なんだか兄妹みたいだな~・・・と思って・・・・」


「え・・・・・・」



さぞ間抜けな面をしていたのだろう。



「・・・・・・敦賀さん・・・とでは無くて・・・・ですか?」


それはココ最近言われ続けていた言葉


「嬉しい」言葉



なのに、光はキョトンとした表情で



「え。うん、不破君と京子ちゃんがね・・・・・・・敦賀さんとはどちらかと言うと・・・・」



「キョーコちゃん、タクシー来たよ~」




社の言葉によって遮られた言葉は


でも、聞かなくて良かったのかもしれない




『敦賀さんとはどちらかと言うと』




ただの「先輩と後輩」



過ごした期間を考えればショータローと「兄妹みたい」と言われるのは仕方なかったのかもしれない。


役の上であったから、カインがセツカにあそこまで甘えるような、頼ってくれるようなカインとセツカとは違う


そう




『現実に目をそらして、都合のいい言い訳を盲目的に信じているだけじゃねーか』




判っている




『心配しなくて大丈夫だから。俺は・・・君に頼らなくても・・・・』




判っている








「すみません、光さん。お疲れさまでした」


「ああ・・・・うん・・・・」





綺麗なお辞儀をして去って行くキョーコの後ろ姿を複雑な視線で光は見送った




『敦賀さんとはどちらかと言うと・・・・』




その続きを言わなくて済んだ事に安堵していた






「・・・・・恋人みたいだったよ・・・・」








ぽつりと呟かれた言葉は誰にも拾われる事はなかった。









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