怖いと言う気持ちがなかったといえば嘘になる
恥ずかしいという気持ちがなかったと言えば嘘になる
だけど、この人を受け入れたいという想いが強かった
後になって思えば、自分らしからぬ大胆な行動だったと思うけど。
この時はそれが全てだった
「大丈夫?」
行為の間中、何度も何度も聞かれた台詞。
その度に、言葉にしたり、動作だったり、表情で、大丈夫だと答えた。
蓮が気を使ってくれているのが判り、大切にされているのが実感できた。
初めての行為は痛みも確かにあったけど、蓮によって丁寧に優しく拓かれていき、昂ぶらされた身体は、徐々に痛みの悲鳴を甘い嬌声に変えてくれた。
破廉恥だと想像する事も出来なかったけど、素肌と素肌が合わさる事がこんなに幸福を覚えるなんて知らなかった。
自分の身体が自分のモノではないみたいで、自分の意志とは関係なく何度も達せられて無意識に涙が出たけど。
自分を見つめる優しいまなざしに愛おしさを感じられて、安心して身を任せられた。
まだまだ狭い自分の中で、汗ばむ蓮の苦しげな表情に、必死にしがみついた。
絶え間なく寄せてくる波に翻弄されながらも、ずっと蓮が愛の言葉をくれた。
耳元で囁かれる蓮の低く甘い声が、まるでエッセンスの様に身体中に染みわたっていく。
何か返事をしたかったけど、口から出るのは熱い吐息と喘ぎ声だけで
最初は恥ずかしさから押さえていた声も次第に解放されて、自分でも何を口走っているのか判らなかった。
乱れた呼吸を整えようと肩で息をするのさえ、上手くいかなくて
蓮が小さく息を呑むのを聞いた気がするが、一瞬の後に頭が真っ白になって一層高い声をあげていた。
「辛くない?」
「・・・・・大丈夫です」
さっきまでの自分の乱れ具合を思い出して、急に恥ずかしくなってシーツで顔まで覆ってしまった。
全く知識の薄かった自分の無知ぶりが恨めしい。
まさか、あんな所まで触られて、あ、あんな所に指を入れられて・・・ああああんな格好で・・・・ああああんな声まで・・・・
思い出せば思い出すほど今すぐ消えてしまいたい
独り真っ赤になってワタワタするキョーコを蓮は面白そうに見ていたが、ふいに腕を伸ばしてキョーコの肩を引き寄せた。
短い悲鳴のキョーコの頭を自分の腕にのせて、その髪をやさしくなでていく。
軽く抵抗をしていたキョーコだが、何度もなでられる蓮の大きな手に、すぐにそのぬくもりに、安心して目を閉じた。
そして、腕の中でポツリポツリと話し始めた。
本当はずっと前から蓮に惹かれている自覚があった事
だけど必死に封じていた事
告白された時の想い
受け入れるのを怖いと思う反面、手放したく無かった事
明人と冴菜に蓮が怒りを見せた時の気持ち
そして、冴菜に感じた初めての感情・・・・・・憐瀕
憎しみや悲しみや・・・そして捨てきれない愛情に囚われて、時が止まったままのあの人が、とても弱くて・・・可哀想に見えた。
そして、それはそのまま自分の姿だった。
冴菜と明人の過去から生まれた負の感情の連鎖
自分はそのループの中に巻き込まれていた。
私は・・・・前に進みたいと思った。
「最上キョーコ」という一人の人間として
「明日、昼から夜まで時間が空くんだ。一緒に病院へ行こうか」
「・・・・・え?」
黙ってキョーコの話を聞いていた後に、蓮が提案してきた。
自分の腕の中で、自分の想いを語ってくれた少女がとても愛おしくて仕方無かった。
彼女の為に自分が出来る事は何だろうと・・・いや、何でもしたかった。
「ちゃんと挨拶したい。もちろん、だるまやの二人にも」
「挨拶・・・って・・・・」
「君との交際の事、将来の事も含めて真剣に考えているし、ちゃんの挨拶しておきたいんだ。」
「将来って・・・・」
今日の今日で交際がスタートしたのに、早すぎではないだろうか。
一応、お互い芸能人だし、事務所にも言わなければならない事は判っているが・・・
明人さんはともかく・・・・お母さんが一体何を言うか・・・・
失礼な事を敦賀さんに言うかもしれないし・・・と思うと、取り敢えずは自分が報告した方がいいかも・・・と思ってしまう。
それに、蓮へ想いを告げる勇気は持てたけど、ずっと続く幸せのハズだという希望まではまだ持てなかった。
だけど、そんなキョーコの想いも蓮には判っていた。
「母親の事、君が向き合うのなら一緒に向き合う。君が捨てるというのなら、俺がその分君を愛する」
「え・・・・・・・」
蓮としては、キョーコを傷つけると判っているのなら遠ざけたいと思う。
けど、キョーコにとって彼女が「母親」だというのは逃れようのない事実なのだ。
キョーコの納得するようにすればいいと思う。
自分は、そんな事も全て含めてキョーコを受け入れたいのだから。
「それに、俺は君を手放さないよ。君が離れたいって言っても泣いて縋ると思う」
「ええっ?まさか・・・」
「いや、本気」
全然想像がつかなくて
思わず冗談だと思うけど、いたって真面目な顔で言われると言葉を詰まらせてしまう。
いや・・・・まさか・・・・・
「一体何年片思いをしていると思う?一途さでは君にも明人さんにも負けないよ、きっと。」
それに、愛の重さもね
そう耳元でささやかれて思わず身体を引きそうになるけど、ガッチリと抱きこまれた腕によって阻まれてしまう。
「絶対に逃がさないから」
甘い愛の言葉なハズなのに、冷や汗が流れてしまうのは何故だろうか。
いや、きっと気のせいだ・・・と、気を取り直して蓮を見上げると・・・そこには壮絶な色気を醸し出す、恋人になった男。
「・・・・・・あの、敦賀さん・・・」
「ん?」
「あの・・・何か・・・・・」
当たっているのは・・・・気のせい・・・・よね?
どう言っていいのか判らないキョーコを察して、蓮はニッコリ笑って身体を起こしてキョーコを組み敷く形になった。
先ほどの情事を思い出して、キョーコの頬がほんのりと色づく。
「敦賀さん・・・・・」
再びふってくる口付を受け取ると、再び蓮の手がキョーコの足に添えられる。
「ア・・・・・ッ」
すでに慣らされた身体は、意外なほどすんなりと蓮を受け入れて
ゆっくりと身をしずめる蓮に、甘い嬌声が再び響いていった。
「・・・・・・・キョーコ・・・・」
耳元でささやかれる自分の名前に、身体が反応してしまい・・・・まるでさっきまでの自分を蓮によって作り変えられてしまったみたいだ。
明日の朝・・・・もう今日だけど
蓮が朝ごはんにまたオムライスを作ると言っていた。
今度は「美味しい」オムライス
まだまだ、「美味しい」の域ではありませんよと言ったけど
あんなに「マウイ」オムライスが、「美味しい」オムライスになるのなら
きっと、自分も「そう」なれる
そう信じた
アメンバーにした方がいいか・・・悩んだのですが・・・・
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