麻しんのお話し | きらら通信

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麻しんが急増しています。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6314119

 

WHOは、平成27年3月に日本を麻しんの「排除状態」であると認定されたにもかかわらず、なぜ感染が拡大しているのでしょう。それは感染力が非常に強いこと、麻しんに対して免疫がない人が意外に多いことが挙げられます。麻しんの潜伏期間は10ー12日発病の1日前から発疹出現後5日目まで人にうつしやすく、治療薬がありません。

接触、飛沫、空気 (飛沫核)のいずれの感染経路でも感染します。麻疹ウイルスの直径は100~250nmと非常に小さく、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクでの予防は難しくなります。唯一の予防方法は、ワクチン接種によって麻しんに対する免疫をあらかじめ獲得しておくことです。

 

私自身、4歳の時に麻しんにかかりました(私が小さいころはまだ麻しんワクチンはありませんでした)。当時、祖母が家に来て私の口の中をのぞいて(コプリック斑を確認し)、「はしか!や」 とその場で診断するぐらいありふれた病気だったようです(祖母は医療従事者ではありません)。こどもがかかる病気の中では重い病気と認識されていたためか、普段は買ってもらえない当時人気だったジェジェちゃん人形を買ってもらい家族からとても優しくされたことを憶えています。       

 

 症状の出方は3段階に分かれます。

カタル期
 発熱(38℃前後)、せき、鼻汁、眼充血、めやになど風邪様症状
 顔が腫れぼったくなり、特有の麻疹様顔貌
 発疹の1-2日前に口の中の粘膜に白いブツブツ(コプリック斑)が見られることもあります
発疹期
  一時発熱が下がり、再度高熱(39から40℃)、2峰性の発熱、赤色小斑状発疹が顔から全身に広がる。全身にざらざらした派手な発疹がでます。
回復期
 体温が落ち着き、発疹は色素沈着し消退、回復に向かう
 リンパ球機能などの免疫力が低下するため、しばらくは他の感染症に罹ると重症になりやすく、また体力等が戻って来るには結局1ヶ月位を要することが珍しくありません。

 麻しんの主症状は発熱が約1週間続き、症状も強いため、合併症がなくても入院を要することが少なくなく、回復までには時間のかかる重症な病気といえます。

麻疹に伴ってさまざまな合併症がみられ、全体では30%にも達するとされます。その約半数が肺炎で、頻度は低いものの脳炎の合併例もあり、特にこの二つの合併症は麻疹による二大死因となり、注意が必要です。

亜急性硬化性全脳炎(SSPE):はしかの後、7~10年で発症する中枢神経疾患です。麻疹罹患者の10万例に1人発生し、治療法のないとても恐ろしい合併症です。私が医者になって3年目の夏、痙攣をおこして運ばれてきた小学校低学年の女の子の主治医になりました。楽しいおしゃべりをしてくれていた子がどんどんろれつが回らなくなり、入院の時に走って歩いていた子が数ヶ月で寝たきりになりました。本当に愛らしい子で、症状は激烈であり、最後まで親御さんもその退行症状に受け入れができないままでした。麻しんのワクチンを受けようと思った矢先に麻疹にかかってしまったことを非常に後悔されていたことを昨日の様に思い出されます。

麻しん、はやく終息してほしいですあせる