WOWWOWでドラマ化された小説
「坂の途中の家」
主演は柴崎コウさん。



姉からドラマを勧められたのですが、
あらすじを聞いたら 奥の深そうな話だったので
それならば原作を先に読みたいと思いました。

ネタバレにならない範囲でざっくり言うと
2歳児をもつ専業主婦が裁判員となり
8カ月の女児を虐待死させた女性の公判に関わっていくなかで、自らを振り返っていく話。

読み進むうちに我が子が小さいときの記憶が蘇り
普通のサスペンスとは違う
脳の底からえぐられるような恐怖を感じました。

知らず知らずのうちに忘れていたのか、
無意識に封印していたのか、
そんな「嫌な記憶」が抉り出されてくるのです。


我が子は比較的手のかからない子で
保育園の助けもありながら育ててきたので
「苦労した」というと、本当に苦労している方に悪いかな、と思っていましたが、、、

わたしにも確かにありました。

泣き止まなくて投げ出したくなった時が。

疲れているときにぐずぐず文句を言われて苛立ち、子供が話しかけてきても無視したことが。

疲れて余裕がなくなったとき。
その場面だけ切り取られたら「虐待」と
責められそうなこと。

でもね、そのときは精一杯だったの。
愛情があっても24時間笑っていられないわ。
と、そのときの自分を肯定して慰めるうちに
だんだんと記憶から締め出していました。

小さな赤ちゃんを連れてクリニックに来てくださる患者さまをお迎えするのが本当に楽しくて、
久しぶりの赤ちゃんとの触れ合いが嬉しくて、
「小さなときは大変だけど、あっというまに大きくなってしまって、さみしいわ」
と言ってしまうけれど、

疲れて、逃げ場がないように感じて
「早く大きくなって」
と、虚ろな目で我が子を見ていた時もありました。

子をもつ母なら誰もが抱く喜びと辛さと罪悪感。

まるで自分のことを描かれているかのように
感情移入してしまう、
そんな怖さのある小説でした。

逆にいうと、
いままさに育児に奮闘している人は
「みんな大変なんだ」と
救われる小説かもしれません。

結構分厚い文庫本ですが、一気読みでした。

ご興味のあるかたはぜひニコニコ