こちらのブログがずいぶん長い間放置になってしまいました。
タイトルにもありますように、低体温症、そして食べること、感染症の発症などの関連性の、私なりの推論と意見です。
先に結論を書きだすと、ものすごく当たり前で単純ですが…
● しっかりと食事を摂ること=熱を生み出す燃料を蓄えること。
● お風呂に浸かること=芯温を上げること。
● 睡眠をとること=体を休めること。
これに尽きるのです。
◎ 低体温症
低体温症とは、ザックリ言えば体内の芯温が下がることで、免疫力の低下や血液の酸化、内臓不全、意識障害そして死に至る、いわゆる凍死です。
一番多いのは高齢者が室内で発症、死に至るケースです。
夏に多い熱中症は注意喚起が頻繁に行われますが、実は低体温症で亡くなるケースは熱中症の1.5倍。
凍死というと冬山などで風雪にさらされたり、雪崩に巻き込まれたり、と想像する方が多いかと思いますが、実はそんなに犠牲者は多くありません。
山や海、川、プールなどで起きる低体温症は「偶発性低体温症」で、単純に風雨・風雪にさらされたり冷たい水に浸かり続けて芯温が35℃を下回って発症するケース。
● このケースでの恐ろしい事故は、約10年前、真夏の北海道で起きています。
** 概要はwikiで、『トムラウシ山遭難事故』、正式な報告書(長いです)は日本山岳ガイド協会のPDFで全文が読めます。
全文のPDFは、トラウマ級の心理的な怖さを持ってしまう可能性もあるためリンクは貼りません。
wikiで読む程度は問題ないと思います。
今回ここで取り上げるのは、都市型と言われる「二次性低体温症」。
栄養不足や低血糖、薬物(タバコ含む)、アルコールなどの要因での、芯温が35℃以下までは下がってはいないが、平熱が低い(36.3℃以下、35.5℃以上、数値は目安)状態が慢性的に続く低体温状態のケースです。
痩せすぎ、食が細い、皮下脂肪が少ない、恒常的に薬物摂取が多い(タバコ含む)、アルコール過剰摂取、高齢者などが「低体温持ち」状態になりやすいです(なってます)。
◎ ウイルス
今の時期はインフルエンザやノロといったウイルスが、乾燥・低温の空気中を元気に飛び回るわけですね。
どんなにガードしていても、まずウイルスに感染しない、ということは非常に難しいでしょう。防毒マスクでもつけっぱなしで生活するしか防ぎようがありません。
インフルエンザウイルスに感染しても、全員が発症するわけではありません。
発症しない限り、ウイルスを抱えたまま満員電車に乗り、仕事場に行き、お店でご飯を食べることでしょう。
みんなでバラマキあっているような状態です。
感染しても発症しないのは、免疫システムが正常に働くからです。
免疫システムが未熟な子供や、抵抗力の落ちた高齢者は、感染したら発症しやすいです。
◎ 体温が低いと発症しやすい?
さて、二次性低体温持ちとウイルスの関連です。
まず低体温症の著しい症状として、免疫力の低下に反応して白血球が異常に増えることです。
都市型と言われるだけあって、都心で生活していようと体温が恒常的に低めの人は常に低体温症一歩手前にいる状態で毎日を過ごしているわけです。
免疫力が低下したところに、大量のウイルスが侵入してきては発症するなというほうが難しいのではないでしょうか。
前述の二次性低体温症になる要因として、低血糖や栄養不足が大きいです。
あとは水分不足(お茶やコーヒー、ましてアルコール飲料は水分ではありません!)。
睡眠不足や薬物常用も恒常的な低体温に傾きやすいです。
ダイエット中の人や、必要なエネルギーを摂っていない人は特に気をつけたいですね。
なんせ体温=熱を生み出すための燃料=食料を摂っていないのですから。
36.8~36.6℃くらいが「平熱」です。脇の下での計測ではなく、直腸などの芯温での体温です。
耳にしたことがあるかと思いますが、体温が低いと様々な病気を発症したり、癌や内臓の機能不全も起こりやすいです。
また、体内の酵素は40℃くらいで一番効果的に機能するため、やはり体温低めの人は酵素の機能も弱いです。
よくいつも下痢気味だとか、お腹を壊しやすい人、これも低体温による消化酵素の働きが弱いためです。
◎ 食べることの重要性
ここまで読んでいただいて冒頭の結論に帰結するのですが、最大の予防(感染は防げなくても発症を抑える)には…
● しっかりと食事を摂ること=熱を生み出す燃料を蓄えること。
● お風呂に浸かること=芯温を上げること。
● 睡眠をとること=体を休めること。
で、ほぼ解決するんですね。
寝るだけでもカロリーは消耗します。
日中の仕事、通勤、余暇活動などの行動エネルギーのほかに、基礎代謝として生命維持のための燃料は必要です。
前述の「トムラウシ山遭難事故」では、3日間の山行(約45km)に加え、暴風に近い強い風と雨、あふれた沼の渡渉など、過酷な状況の割に食べていないんですね。
食べていないからカロリー=燃料が無いため、低体温に落ちていくことを防げなかったことも要因の一つです。
炭水化物がグリコーゲンとして筋肉に蓄積され、それがまず即効性の燃料として使われ、乳酸に変わっていきます。
グリコーゲンが尽きると体脂肪を燃やします。
通常はここまでで十分足りるのですが、1日に概ね3回の食事で減った分を補います。
ダイエットや栄養不足の場合、炭水化物を抜けば最初のグリコーゲンを燃やす量が減り、すぐに体脂肪を使いはじめます。
そして体脂肪も減ってくると、タンパク質を燃料にし始めます。
タンパク質を消化して熱源にする=手足の筋肉や内臓の一部を自己消化してでも、熱を生み出そうとします。
そこまでして熱=体温を生み出そうとするのは、心臓という筋肉の塊を稼働させるには多くの燃料を必要とするからです。
筋肉に蓄積した乳酸を運び、肝臓で処理することで血液のPHは中性を保てますが、低体温症になると肝臓機能も低下します。
血液も処理されない乳酸によって酸性になります。
そして血液の温度が保たなければ、せっかくヘモグロビンが運ぶ酸素を使えなくなってしまいます。
また、莫大な酸素を必要とする脳は言語や思考といった高次機能から停止していきます。
それによって奇声を発する、意味不明なことを口走る、錯乱する、意識を失う、と、脳は生命維持のための機能を残して停止します。
末梢の手足が凍傷になり、心臓は不整脈になり、やがて死に至るのが低体温症。
食べ物=燃料として、炭水化物・脂質・タンパク質を摂ることで、体温を保ち、身体の機能を正常に保ち、免疫システムを機能させ、思考力や活力を活発にする脳の高次機能を働かせるのです。
ただ、あまり運動をしない、座り仕事中心、なのに必要以上の炭水化物を摂取するのは、単純に太ります。
中性脂肪に変換して蓄えてしまいます(ある程度の蓄積は必要、痩せすぎは前述の通り慢性低体温になりやすい)。
激しい運動や、肉体労働が多い場合はしっかり炭水化物を摂らないと、「シャリバテ」になって突然動けなくなってしまいます。
自分の消費カロリーや運動状況をふまえて、炭水化物・脂質・タンパク質の摂取を考えましょう。
食べることを「悪いこと」のような風潮や、強迫観念でとらえる人も見受けられますが、生物は食べることでしか命をつなげません。
しっかり食べて、運動して、お風呂で暖まって、休む。
食べることを疎かにしてしまうことは、ごく緩やかな低体温症状態を慢性化させ、免疫力を落とし、ウイルス性(に限らずですが)の病気を発症させやすくなってしまいます。
ワクチンを打っても年々インフルエンザって発症者が増えていますよね。
今シーズンもいくら乾燥が続いているとはいえ、12月に入ったころからインフルエンザのパンデミックが始まっています。
お子様や高齢者のいるご家庭は、今一度食事を大切にすることや休息、お風呂を見直してみてはいかがでしょう?