2023年9-10月パリ旅行(モーツァルト「レクイエム」の感想編) ピション ドゥヴィエル |   kinuzabuの日々・・・

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パリ旅行2番目の演奏会は、モーツァルト「レクイエム」。会場はフィルハーモニー・ド・パリ、2023年10月1日。





指揮はピション。歌手にサビーヌ・ドゥヴィエルがいるというので、即購入。大変人気が高くて、すぐ完売になった。
 

webサイトでは、モーツァルトのミサ曲と、「レクイエム」を別々に演奏するような書き方をしていたが、実際には、モーツァルトのレクイエムを中心に、他のミサ曲を挿入して連続して演奏した。これがはまりにはまって、レクイエムにまつわるラクリモーサ以降の補筆の問題の解決方法を示した演奏だと思った。

最初に4人の独唱陣を加えた合唱とボーイソプラノの曲から力強くて、痺れた。レクイエムの音楽の間にいろいろなミサ曲が挿入され、最後はボーイソプラノと管弦楽で神々しく終わった。

確かに補筆を含めたレクイエムを聴いているのだが、心が浄化されるかのようで、終わったときの気分は晴れやかで濁りのないものだった。

これがモーツァルトのレクイエムなのかという疑問もあるかもしれないが、モーツァルトの世界感を維持しつつ、新しいレクイエムを提示したという点で、他に類を見ないすばらしい演奏会だと思った。


指揮者であり、たぶん構成者であるラファエル・ピションは古楽の世界では大家であるけれど、モーツァルトでも世界を吹き飛ばすような爽快な演奏を聴かせてくれた。すごい指揮者だと思う。

歌手は、サビーヌ・ドゥヴィエルが美しい声で魅了してくれた。他の歌手もよかった。ボーイソプラノのChadi Lazreqくんの声は天上の声。最後は文字通り天井の席で歌ってくれた。

指揮のピションは力強く、高速だった。管弦楽、合唱のピグマリオンもそれにしっかりついていった。古楽のオケには、透明で美しいというイメージを持っているが、それとは全く異なる力強さにあふれた音楽を作り出していた。管弦楽もさることながら合唱の美しさが際立った。

それにしてもすごいものを聴いた。音楽にはいろいろな試みが可能で、それによって新しい価値が生み出されることに立ち会えた演奏会だと感じた。


ちなみに目の前でソリストが歌う席で聴いた。サビーヌ様の声もお顔もスタイルもばっちり。最初は最前列だけど横過ぎるかなと思ったけど、それがよかった。何が転ぶかわからない。





ということで大変感激したコンサートだった。