棋士道の先達。河島宗臨
過去話で述べた様に、伊藤家の三兄弟および分家の大橋柳雪という30前後の指し盛りの棋士が居なくなった事で、御城将棋の人材は枯渇しました。
このことが従来、御城将棋には将棋家三家の親族しか参加できなかった御城将棋(江戸幕府将軍への御覧将棋)に、外家の者が参加できる様になりました。
その最初の人物が、大橋家の筆頭門人:河島宗臨です。(何度か変名していますが、以降はこれで統一します。)
漫画では16歳の時の角落ちの話ですか、今回とりあげるのは、とめじろう15歳の時の角落ちです。
(盤表示は、とめじろうが手前になるように先後逆にしています。)
とめじろうは三間飛車で美濃囲いの早囲いから・・・
美濃囲いの天井(歩)一段あげて・・・
銀冠に組むと上手側の宗臨から仕掛けが入ります。
普通、大駒落としの上手からの仕掛けは無理筋ですが、宗臨が強情だったのか、駒組負けになるの嫌ってなのか・・・
私にはわかりません。
戦局は飛車の捌きをめぐる攻防となり、とめじろうが地下鉄飛車とした所。
ここまでの彼の駒組の流れを見て、何の古さも感じないのは私だけでしょうか?
戦いは、飛車交換から寄せ合いになります。
手持ちの駒が少ない中、相手の中段玉を寄せ切り、とめじろうの勝利となります。
美濃囲いは、とめじろう6歳の時に平手戦ではようやく初めて出た囲いだったのですが、今に通じる囲いの発展のセンスに感心した対局でした。
とめじろうは、将棋家に養子に入る事は無かったですが、後年、外家の棋士として御城将棋に参加します。
それはこの河島宗臨が変えた江戸時代将棋の歴史による所で、将棋の師匠が大橋柳雪だとすれば、棋道の先達として、とめじろうの人生に関わった人物なのでした。
最後に漫画の落ちの「言わずもがな」について。
将棋の脚は「くちなしの実」を象ったとされており、対局中の口出しを慎ませる意匠との事です。
対局後でも、要らぬ一言は慎みたいものですよね。
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