今週から福島競馬が加わって3場開催になる。

つい数年前くらいまでは体力があって、退職金もあったから、

土日計72レースをすべてやっていた。

とにかく、全レースで馬券を買うのである。

ホントである。

競馬場のわしの定位置から馬券売り場まで、そうだなぁ、

60mくらいはある。

そこを馬券を買う以外にもオッズや馬体重を確かめに往復する。

締め切りが迫るとよく小走りになる。

きっと、万歩計を付けていたら1万歩を超えていた。

関東の最終レースが決着するころには

クタクタで駅まで歩けないほど疲れ果てた。

それが面白かった。

 

やがて体力も資金も枯れてきて、今やあんなことはもうできない。

体力減退は自然の摂理の老化からであって、

趣味がテニスとかジョギングとかいう人以外はみんなこうなる。

わしの場合は65歳くらいが峠だった。

そこからは長いだらだら坂を降りている感じだ。

資金の方もそのころには怪しくなって、

足並みがそろっていてよかった。

 

二十歳前後に読んだ吉行淳之介のエッセイに

「お金は少し足りないかなぁというくらいで生活できるのがよい」と

いうようなことが書いてあった。

お金の額が問題なのではなく、生活感覚の話だった。

たとえば月収300万円あればそれなりに、

逆に月収10万円であればそれはそれなりに、

今月は少し足りなくなりそうだからちょっと我慢しようとできる

生活感覚、という意味だったと記憶している。

吉行の金銭感覚は独特だった。

エッセイだけでなく、小説の登場人物にも

不思議な金遣いがよく出現した。

わしの人生観に相当な影響を与えた作家であった。

つまり、現在のわしを貧乏にしたのは吉行淳之介である。

クソッ!

閑話休題。

3場開催になって競馬は賑やかになるが、

ムードに踊らされて買い過ぎてはいけない。

どうすれば踊らされないか、その策略を練らないといけない。

で、わしはこう思っている。

 

今年から降級馬制度がなくなる。

それによってシビアなガチンコ勝負が生まれるといえば

聞こえがいいが、実態は能力の限界を示した馬が

冷たく淘汰されるサバイバル競馬への体質変化だ。

この影響は古馬だけでなく3歳馬にも波及する。

9月のスーパー未勝利がなくなって、未勝利戦は8月開催までと

1カ月短くなる。勝ち残るチャンスはあと5ヶ月しかない。

3歳未勝利は終盤戦に突入している。

まだ勝ち馬の少ない厩舎と馬主は

もう瀬戸際に追い込まれていると、わしは睨んでいる。

 

ならば、狙いは3歳未勝利戦だ。

未勝利戦の特徴は馬柱のデータを素直に読んでいいことだ。

持ちタイムや臨戦過程など比較しやすい。

これは古馬500万や1000万を思い浮かべればわかる。

古馬戦は長期休養明けや、1回叩いて…などの長期戦略など

要素が多くて比較が困難。結果、荒れるのである。

騎手買いとか、山カン勝負のひとには向いているが、

馬の能力比較重視の馬券師には不向きで、

できれば手を出さない方が良い。

 

未勝利戦は馬の年齢も条件も同じだから評価しやすく、

必死な厩舎の気配は記者にも伝わる。

それが新聞のコメントにあらわれる。

比較的に人気上位決着に収まる理由だろう。

先週土日のレースで示そう。

未勝利戦は土日×(阪神+中山)で、計17レースあった。

 

一番人気が勝ったレース →9レース

勝ち馬の単勝が一桁であったレース →12レース

3着までが人気1~6番以内の上位決着レース →10レース

馬連配当が15倍以下の順当な決着をしたレース →10レース

 

この辺に勝利への道が隠されていそうだ。

ただし、単純に上位人気に依存した馬券を買うと

トリガミを起こすレースも多い。

それは気を付けないといけない。

 

もちろん、こんなことを考えているのは平日の暇な時間だからだ。土日の競馬場で締め切りベルに追われれば冷静さは消失し、

考え抜いた策略は風にあおられたハズレ馬券といっしょに

空を舞って飛んでいくだろう。

それはわかっている。