日本受精着床学会 社会的卵子凍結希望女性の意識調査について発表 | 京都IVFクリニック, 木下レディース活動の院外活動

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こんにちは! 

胚培養士の大野です。

 

今回は、2026年7月に東京で開催された「日本受精着床学会」で発表させていただいた

 

「当院における社会的卵子凍結希望女性の意識調査-将来の妊娠に備えるという選択」

 

の内容をご紹介します。

以下は、発表してくれた不妊カウンセラーからのレポートです。

 

 

社会的卵子凍結について、私たちが調べてわかったこと ―

当院が取り組んできた「社会的卵子凍結を希望する女性の意識調査」について発表しました。
今回のテーマは、少し聞き慣れないかもしれません。

 

「社会的卵子凍結」
 

これは、今すぐの妊娠を希望しているわけではないけれど、

「いつか子どもを持ちたい」

「将来のために選択肢を残しておきたい」

 

と考える女性が、将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存しておく方法です。
 

最近では、テレビやインターネット、SNSなどでも目にする機会が増えてきました。
ただ、情報が増えた一方で、

 

「どの情報が正しいの?」

「自分には必要なの?」

「いつ考えればいいの?」

 

と迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。

 

そこで私たちは、実際に社会的卵子凍結を考えて当院を受診された女性にアンケートをお願いし、

「なぜ卵子凍結を考えたのか」

「どんなことを不安に感じているのか」

「将来についてどのように考えているのか」

を調べました。

 

 

どんな女性が卵子凍結を考えている?

今回、2023年7月から2025年12月までに当院を受診された134名の方を対象に調査しました。

アンケートに回答いただいた方の平均年齢は36歳でしたが、

年齢は23歳から50歳までと幅広く、

さまざまな年代の方が卵子凍結を検討していました。

 

実際に卵子凍結の治療を始めた方は約半数。

また、「AMH」という言葉を知っていた方も約4割でした。

AMHは、卵巣に残っている卵子の数の目安を知るための検査の一つです。
ただし、AMHの数値だけで「妊娠できる・できない」が決まるわけではありません。
だからこそ、卵子凍結を考えるときには、

検査の数字だけを見るのではなく、

自分の身体のことや妊娠についての正しい知識を知っておくことが大切です。

 

「誕生日」がきっかけになることも

今回の調査で、私たちが特に興味深いと感じた結果がありました。

それは、約4人に1人の方が、自分の誕生月を含む前後1か月以内に受診していたということです。

 

誕生日って、普段はあまり意識していなくても、

「また一つ年齢を重ねたな」と、自分のこれからについて少し考えるタイミングでもありますよね。

「これから仕事をどうしていこう?」
「結婚やパートナーについてどう考えよう?」
「子どもを持つことについて、そろそろ考えてみようかな?」


そんなふうに、自分の人生を見つめ直す中で、

卵子凍結を知り、受診につながった方もいるのかもしれません。

 

今回の結果から、誕生日という人生の節目が、

将来の妊娠について考えるきっかけの一つになっている可能性が見えてきました。

 

「将来の不安を少し減らしたい」

 

では、なぜ卵子凍結を考えるのでしょうか。

今回のアンケートでは、

「知人・友人から聞いたこと」がきっかけになった方が多く、「すぐに始めたい」と考えている方も約半数いました。
そして、卵子凍結を選ぶ理由として最も多かったのが、

 

「不安の解消」

 

でした。

今すぐ妊娠したいわけではない。

でも、将来子どもが欲しくなったときに、できるだけ選択肢を残しておきたい。
 

そんな気持ちを持っている方が多いことが分かりました。
仕事、結婚、パートナーとの関係、住む場所、やりたいこと。
人生には、妊娠や出産だけではなく、さまざまなタイミングがあります。
「今は妊娠のタイミングではないけれど、将来のことは少し気になる。」

そう思ったときに、妊娠や卵子について知ることは、

自分の人生を考える一つのきっかけになるのではないでしょうか。

 

卵子凍結をすれば安心?

ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。
卵子凍結は、将来の妊娠・出産を約束するものではありません。


また、社会的卵子凍結は自費診療であり、費用もかかります。

治療のための通院やスケジュール調整など、仕事や日常生活との両立について考える必要もあります。
今回のアンケートでも、治療に対する不安として「料金」と「スケジュール」が多く挙げられました。

 

だからこそ、卵子凍結について考えるときには、

「凍結しておけば大丈夫」と考えるのではなく、

メリットだけでなく限界や負担についても知ったうえで、

自分にとって本当に必要なのかを考えることが大切です。

 

もっと早く「知る」ことができたら

今回の調査では、「妊娠について学ぶのに理想的な時期」として、

「中学校」と答えた方が最も多い結果となりました。

妊娠や卵子のことは、妊娠を考え始めたときに初めて知ればいいのでしょうか。

私たちは、そうではないと考えています。
卵子の数や質は年齢とともに変化すること。
妊娠には年齢も関係すること。
そして、妊娠・出産だけでなく、自分がどんな人生を送りたいのかを考えること。
こうしたことを、できるだけ早い段階で知っておけば、

将来の選択肢について考える時間を持つことができます。

もちろん、「知ったからといって、すぐに何かを決めなければいけない」ということではありません。

 

知っておくこと。そして、自分で考えられること。

それが大切なのだと思います。

 

学会発表を、これからの活動につなげて

今回の学会発表では、多くの方に当院の取り組みに関心を持っていただきました。
発表後には、「今後、この活動をどのように展開していく予定ですか?」という質問もいただきました。
当院では、これまでも妊娠や妊孕性について知っていただくための地域での啓発活動に取り組んできました。
今後も、こうした活動をさらに充実させ、

行政や教育機関、企業、地域の皆さまとも連携しながら、

より多くの方に正しい情報を届けていきたいと考えています。

社会的卵子凍結は、すべての女性に必要なものではありません。

でも、もし「もっと早く知っておきたかった」と思う人がいるのであれば、その機会を少しでも増やしていきたい。
 

そのためには、卵子凍結という一つの方法を伝えるだけではなく、妊娠や身体について正しく知り、自分のこれからについて考える機会をつくることが大切だと考えています。

 

私たちが大切にしていること

私たちは、社会的卵子凍結を単に「卵子を凍結する医療」だとは考えていません。

 

社会的卵子凍結は、

 

「卵子を凍結する医療」ではなく、「女性が納得して将来を選択するための支援」

 

だと考えています。

卵子凍結をするのか、しないのか。
いつ考えるのか。


どんな人生を送りたいのか。
その答えは、一人ひとり違います。

 

だからこそ当院では、正しい情報をお伝えし、

それぞれの価値観や人生設計に寄り添いながら、

女性自身が納得して未来を選択できるよう、これからもサポートしていきたいと思います。