日本臨床エンブリオロジスト学会 2年連続「優秀演題賞」受賞 | 京都IVFクリニック, 木下レディース活動の院外活動

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こんにちは! 胚培養士の大野です。

 

今回は、2026年1月に開催された「日本臨床エンブリオロジスト学会」で発表させていただいた内容をご紹介します。当院初となる2年連続の「優秀演題賞」受賞しました。

 

以下は、発表者の中山からのレポートです。


先日、胚培養士が中心となって企画・運営するエンブリオロジスト学会に参加してきました。医師の学会とは少し空気が違って、「現場の工夫」「ラボのリアル」「明日から使える知恵」が詰まっているのが、この学会の面白さです。


今年の開催は 2026年1月7日・8日。1日目の学術大会は横浜の大さん橋ホールで行われました(2日目はワークショップ開催)。
会場は海が見えるロケーションで、景色がとても良かったです。


### 200人超の熱気、ポスター62題の情報量
当日は会場がとても盛り上がり、参加者は200人を超え、ポスター演題も62題。

会場のあちこちでディスカッションが起きていました。


そして、その中でありがたいことに 優秀演題賞をいただきました。

応援してくださった皆さま、日々一緒にラボを回している仲間、そして関係者の皆さまに、改めて感謝しています。

## 受賞演題の内容:難治ケースで見つけた“極体”のヒント
今回の発表は、とても長い期間治療に苦慮されていた患者さまのケースが出発点です。
ACA(抗セントロメア抗体)の抗体価が高い患者さまで、採卵をしても受精の結果が安定せず、受精卵が「多前核(通常より前核が多い状態)」になってしまうことが多く、良好胚を得ることが難しい状況が続いていました。


そこで私たちは、タイムラプス(培養器内で胚の変化を連続撮影する方法)で、受精直後からの動きを丁寧に観察しました。

すると、通常は卵子の外側にあるはずの 第2極体(PB2)が、何らかのきっかけで細胞の中に入り込むように見える現象が確認できました。


「もしかすると、ここが“多前核”につながる鍵なのでは?」


そう仮説を立て、既存技術である 極体生検(極体を扱う技術)の考え方を応用し、第2極体を取り除くという対応を行いました(当院倫理審査委員会にて承認を得ています。同意を得られた患者さまのみに実施)。
その結果、正常受精(通常の前核数)に至る胚が増え、これまで得られなかった 良好胚盤胞を獲得でき、そして何より、患者さまは妊娠され、無事に卒業を迎えられました。
この結果は、当院にとって本当に大きな出来事でした。

## 「現場で見続けたからこそ」見つけられた現象
卵子や胚は、同じ“見た目”に見えても、実はものすごく繊細で、日々小さな違いを見せます。
今回の現象も、「目の前の卵子・胚に向き合い続けたこと」でようやく輪郭が見えたものだと感じています。
そしてもう一つ大事なのは、日々勉強してきたからこそ、既存の技術(極体生検)を“別の目的”に応用する発想にたどり着けた、という点です。

## 最後に:治療が難しく悩まれている方にも、あきらめない選択肢を
今回の報告は、すべての方に当てはまる“万能の方法”という意味ではありません。卵子・受精・胚発生は個人差が大きく、治療方針は患者さまごとに慎重に判断されます。
それでも、「難治」と言われるような難しい状況でも、観察を深め、仮説を立て、丁寧に検証することで、道が開ける、その可能性を示せたことに、大きな意義があると考えています。

これからも私たちは、難しい状況の方に対しても諦めず、医師と連携しながら、患者さまにとって納得できる治療の選択肢を提案できるように努力していきます。