第28回 日本IVF学会で発表してきました
こんにちは! 胚培養士の大野です。
先日、沖縄で開催された「第28回 日本IVF学会学術集会」に参加し、
「脂肪酸添加融解液を用いた2step融解の有効性」というテーマで口頭発表を行いました。
今回の発表では、胚を凍結から融解する際に使う融解法の改良によって、
より短時間で効率よく、そして胚への負担を少なくできる方法について報告しました。
🔬 脂肪酸の役割とは?
胚の細胞には「脂肪酸」というエネルギー源が含まれています。
しかし、凍結や融解の過程で一部が失われてしまうことが知られています。
このため、融解液に脂肪酸を添加することで、胚のエネルギー状態をサポートし、
その後の発生や妊娠成績がより良くなることが報告されています。
⏱ 時間を短縮しても結果は同等に
これまで主に使われてきた「3ステップ融解法」では、処理に約10分ほどかかっていました。
今回の検討では、脂肪酸を含む融解液を使って「2ステップ」に短縮しても、
妊娠率などの臨床成績は変わらないことが確認されました。
つまり、胚への負担を減らしつつ、効率的な融解が可能になったという結果です。
🧫 他施設との交流と学び
学会では他のクリニックの培養室を見学する機会もあり、
設備の配置や動線、使用している機器など、多くの気づきを得ることができました。
また、他施設の胚培養士の方々とも意見交換を行い、
日々の業務改善につながるヒントをたくさんいただきました。
💡 新しい機器との出会いも
企業ブースでは、最新の培養関連機器や資材が紹介されており、
気になる新商品もいくつか見つけました。
さっそく当院ラボで使用してみて、よりよい結果につなげていきたいと思います。
🌱 今後の展望
今後も、融解法や培養方法を探求し、
患者さまの妊娠率向上につながる研究を続けていきます。
安全で質の高い医療を提供できるよう、チーム全体で努力を重ねてまいります。