こんにちは! 胚培養士の大野です。
今回は、2025年5月に開催された国際学会「IFFS world congress 2025」で英語のセミナー発表を行った
京都院培養部部長の中山からのレポートです。
はじめに
私たち胚培養士は、日々卵子や精子と向き合いながら、生殖医療の進歩に遅れないよう、常に学会などで学び続けています。
そんな中、今回はちょっと特別な経験をさせていただきました。なんと、企業さんのセミナーブースで発表する機会をいただいたのです。
しかも場所は、東京で開催された国際学会「IFFS world congress 2025」の会場。そして発表は、英語。
初めて尽くしの挑戦ではありましたが、「少しでも誰かの役に立てれば」との思いで、一生懸命準備しました。
今回は、その裏話を少しだけシェアさせていただきます。
発表のきっかけ
私たちは、より良い治療成績を目指して日々改善を重ねています。
そんな中で、ある企業(K社)様が発売された、新しい「脂肪酸添加の融解液」を使ってみたところ、流産率が明らかに下がるという結果が出ました。
特に、以下のような方に効果が見られました:
- 高年齢の方
- 胚盤胞の形態評価が低い場合
- 発生スピードがやや遅い胚
この成果をK社様に評価していただき、セミナーブースでの発表につながったのです。
英語発表の準備
学会発表には慣れているとはいえ、「英語でスピーチ」は初めて。
翻訳にはChatGPTをフル活用し、原稿づくりから練習まで何度も繰り返しました。
発音の確認もAIに助けてもらいながら、シャドーイング(音声のまね)を繰り返し、仕事の合間を縫って準備を重ねました。
大変でしたが、あきらめようと思ったことは一度もありません。
それは、「この新しい手法の効果を、国を超えて知ってほしい」という思い、そして「挑戦すること」自体に意味があると思っていたからです。
日本の、そして私たちのクリニックの治療で流産率がこれだけ改善され、救われる命があることを、世界の胚培養士たちに少しでも伝えたかったのです。
この挑戦は自分のためでもあり、患者さんのためでもある。
私たち医療者が進化を続けることが、医療全体の質の向上につながると信じています。
発表当日のこと
とはいえ、やっぱり当日は緊張していました。
発表の冒頭で、司会を務めてくださった外国人の方(たぶん20代の男性?)が、私の名前「NAKAYAMA」を一生懸命読み上げてくれたのですが、どうも読みづらかったようでちょっとつっかえていまして…。
でも、その一生懸命さがとても可愛らしくて、緊張が一気にほぐれました。今では本当に感謝しています。
おわりに
英語での発表という貴重な経験を通じて、自分の中の世界が少し広がったように感じます。
今後は、海外の学会でもどんどん口頭発表にチャレンジしていきたいと思います。
そして、そこで得た知見を日本に持ち帰り、胚培養の現場に還元していけたら嬉しいです。
私たちは、これからも患者さんにとってより良い医療を届けるために、日々学び、挑戦し続けます。
文責:[培養部] 中山要