こんにちは! 胚培養士の大野です。
今回は、培養部のスタッフが2025年3月に開催された「大阪ARTカンファレンス」で発表させていただいた「Looker Studioを用いたデータ可視化による課題探索」の内容をご紹介します。
以下は、発表してくれた胚培養士からのレポートです。
データの「見える化」で医療がもっとわかりやすく
〜Googleツールで変わった私たちの取り組み〜
こんにちは。
今回は、私たちのクリニックで取り組んでいる**「データの見える化」**についてご紹介します。
妊活や不妊治療の現場では、毎日たくさんのデータが生まれています。
たとえば、受精率、妊娠確率、治療法ごとの結果の違いなどです。
私たちのクリニックではこれまでも、毎月データをまとめて、成績のチェックをしてきました。
でも、実際には…
- 集計やグラフ作成に時間がかかる
- 特定のケース(たとえば年齢や治療法ごとの違い)を分析するのが大変
- 学会発表用のデータを集めるのに手間がかかる
といった課題がありました。
■ 解決のカギはGoogleの「Looker Studio」
そこで私たちは、Googleが提供する「Looker Studio」というツールを導入しました。
これは、さまざまなデータをグラフなどでわかりやすく自動表示してくれる分析ツールです。
私たちは電子カルテのデータを整理し、このツールを使用することで
- 毎月自動でグラフを作成
- 受精率や妊娠率を、条件ごとにワンクリックで切り替えて分析
- 特定の治療法や年齢層だけのデータもすぐに確認
といったことが簡単にできるようになりました。
■ 実際にどう変わった?
導入してすぐに、たくさんの変化がありました。
- 📉 作業の効率化:グラフ作成などの手間が大幅に減り、関連作業が約40%削減
- 🔍 分析がスムーズに:気になる部分をすぐに深掘りでき、課題が見つけやすく
- 🧪 研究も加速:学会発表や研究用のデータも簡単に取り出せるように
このツールは、日々の医療をよりよくするための大きな助けになっています。
■ 今後の展望
今後は、治療成績だけでなく、
- 待ち時間
- 診療の流れ
- 患者さんの満足度に関わるデータ
なども取り入れて、より安心・快適な医療環境づくりを目指していきます。
■ おわりに
データを上手に活用することで、医療の質はもっと高められると私たちは感じています。
患者さんにとっても、スタッフにとっても、「いまの状態」がわかりやすくなることは、安心と信頼につながります。
これからも、見える医療・伝わる医療を目指して取り組んでいきます。