家の設計をする最初のときに、建築主からの要望の中で上位にランクされることが、なるべく明るい家をということです。
特に建て替える前の家が暗い場合は当然ですよね。
しかし、窓を大きく、窓をたくさんつけるということと、地震に強い家ということは矛盾することが多いです。
壁が少ない家や
南側に窓が大きくあり北側は壁が多い家は
どうしても地震に弱くなります。
そこで、そのような想いを細かい工夫で少しでも実現しようと、悩んだり、あーでもない、こーでもないと悩むことが建築家にとっても大切な仕事です。
窓の正面に隣家の白い壁がありました。
窓はないのでプライバシーは問題なく、かつ白い壁なので光を反射してくれます。
それならばと思い切ってご要望の通り窓を大きく取りました。
しかし、雨が吹き込むのは避けたいので庇を付ける。
折角、白い壁に光が反射して間接的に明るくなるのに、上を庇でふさぐと効果は半減です。
そこで、庇をガラスで造ることにしました。
ガラス庇です。
よくわかり難いかもしれませんが、中央右上のブロンズ色の木の庇が浮いているように見えますが、その木の庇を支える腕木の間に架けられた庇がガラスです。
隣家の壁が民法で定められた敷地境界から50センチの間隔を空けずに建ててしまったために、厳しい環境ですがそれでももっと光を!という想いをガラス庇で少しでも実現しました。
今では住まい手の方が、たくさんの植木の鉢を窓の正面において、きれいに育てています。
限られた空間でも、小さな工夫の積み重ねと職人の高い技能によって、快適な想いを込めた木の家が実現できます。
お金をかけずに知恵を出す・どこかの元大臣とは真逆でいきましょう