キャベツは収穫されないとそのまま背が伸びて花が咲く。




「かわいそう。。」



「そうかな?綺麗だから気に入ってるけど。」



「綺麗でも収穫されなきゃ意味がない。。」



「意味ないってどういうこと?」



「誰にも食べられないなら、綺麗でも意味がないよ。。」



「そうかな?綺麗だから気に入ってるけど。」



こんなことを隣の背の高いキャベツと何時間か話した。



とくに答えは出なかったけど



そのうち空は暗くなって、星がわりとロマンティックだったので


まあいいかと 僕は思った。

今年はやけに夏がゆっくりだなーと思っていたら


この時期はいつも舞台の稽古だったなと思い出す。


毎年、「もう二度とやるもんか!」


くらい思うし、前に倒れる寸前まで稽古をしてた。


なので、心が退屈だ。。


何か、動き出さなくちゃ。
高校生の空は青くて


雨が降るとアスファルトの匂いがした。



手をつないでみたくて、


付き合ってもいない男の子の手を


突然つないでにやっとしてみた


「ねー、好きな人いる?」


思春期に入ってから


男の子と手を繋ぐのなんてはじめてで


けど確実にわたしは女になろうとしてた。


いるよ。


彼はそう答え、


わたしと違う女の子の名前を言った。



空は青かったけど


わたしも同じくらい青い顔をしていたと思う。


それからひと月もたたず


わたしは電車の中で


彼の彼女になったりした。


その日も空はきっと青かった。


わたしの顔の色はどうだったかはわかんないけど。


まあ多分、青くはなかったと思う。