(ネタバレ注意!)映画版、各場面ごとの原作との比較と感想⑧ | 近キョリ恋愛、原作と映画の比較

近キョリ恋愛、原作と映画の比較

原作無視で話題となった映画「近キョリ恋愛」を原作と比較するブログです、映画の感想も時々書きます。原作、映画共にネタバレあるので注意!

映画近キョリ恋愛を原作と比較するのも今回で8回目。

ハルカが突然枢木家の外にやってきてゆにを車に乗せたところから始まります。





ハルカが唐突に自分の過去を語りだします。

ここが原作と映画で大きく違う部分の1つです…もっとも、この映画のほとんどが原作と違うのですが。


まずは、原作のハルカの過去について説明します(内容は以前書いた登場人物の違いやストーリーの違いと一部重複しています)。

一切名前が出てこない映画とは違い、原作のハルカの父親には櫻田レオという名前があります。

彼は大物俳優で、その妻、さらには息子たちも芸能界で生きています。

また、娘の美玲(美麗と同じ読みです)は京都で舞妓をやっています。

ハルカはそんな櫻田レオの隠し子。

ハルカの実母がハルカを身ごもった際、レオは彼女を捨てて女優と結婚しました。

その後、ハルカが生まれ、後に実母とロサンゼルスで暮らすも、7歳の時にそこで実母が事故死。

その際に、レオがハルカを引き取ることになりました。

しかし、後にハルカはそれはレオが自分を芸能界に入れるというレオのイメージアップのためだったことを知り、反発。

それに対してレオがハルカに言ったのは「お前の存在を世間に知らせるようなことをしたら、その時はお前の幸せを一生かけて潰していってやる」。

16歳の時、ハルカは自分の存在を週刊誌に売ろうとしますが、逆にレオによって美麗との関係を漏らされてしまい、これが美麗と別れるきっかけになってしまいます。

つまり、レオによってハルカの幸せが奪われてしまったのです。

それ以来、ハルカはそのレオの言葉がトラウマとなり、ゆにを失って傷つくことを恐れていたので小南が現れた時に自分から逃げた…というわけです。

このハルカとレオの話は美麗の登場から最終回の花音の家庭事情まで、物語の中盤から終盤にかけて関わってくる大事な部分となっています。

ちなみに、その後のハルカとレオについてはここで書くと長くなるので終盤のあたりに書きたいと思います。


一方、映画では全く話が異なります。

ハルカの父親は商社の営業マンで、海外出張ばかりしていました。

家にいるときはいつも、青い夕日が見える、といったような作り話をしていました。

しかし、ハルカが12歳の時に父親は自殺。

後に、彼は会社に大きな損失を抱えて悩んでいたことが判明します。

それ以来、ハルカは嘘が大嫌いになった…というわけです。


内容の長さが全然違うのは仕方ないにして、一言言うとあまりにも改変しすぎです。

私の想像なのですが、先ほども述べたように原作のハルカの過去は物語のほぼ全編に関わる大事な部分ですから、そのためには小南の話など、それに伴った背景が必要です。

恐らく、全部やったら時間が足りないのでいっそハルカの過去を丸々変えちゃえ!…ってなったのでしょう、あくまでも想像ですが。

それにしても改変しすぎというか…原作では美麗を失ったことでハルカはショック受けていたのに、ドラマでは普通にお互いの道を進もう、って感じの別れでしたからね…それはそれで話としてはいいんですが…うーん…

これに関してはドラマの方にも絡んできてしまうので何とも言えませんが、もう少しハルカの過去を原作に近い形でできなかったのでしょうか…

でも、レオは芸能界の人間でないとハルカが自分の存在を週刊誌に売る意味がなくなるし…難しいところですね。

そこまではいいのですが、どうやら自分から過去の事を話すのはゆにが初めてなんだそうです。

今までも書いてきましたが、なぜハルカがゆにに心を開いたのかがここまで全くと言っていいほど描かれていないので唐突に思えます。





すると、今度はハルカはゆにに対して唐突に「卒業したら結婚しよう」と言い出します。

ここまで来ると、今までのように「なんでこうなるの?」とか「ふざけてるの?」って感想すら出ずに、ただただ

は?

としか思えませんでした。

本当に、映画の方のハルカの精神状態は大丈夫なんでしょうか。

確かに、原作でも付き合ってまもなくして(第4話)ハルカはゆににプロポーズしています。

しかし、映画のように真面目ではなく、あくまでも「一緒にいたら楽しそうだから」という軽い気持ちでプロポーズしています。

そもそも、原作のハルカは、当初はゆにの事を本気で好きというより、ただ気に入っている、というだけで(なんせチャラいですから)、後に色々な出来事を経てゆにの事を本気で好きになっていく、という感じです。

一方、映画のハルカは自分の過去を初めて話した相手がゆにだった、など、この時点でゆにの事を本気で好きになっている模様です。

しかし、教卓キスからまだ2~3ヶ月、要するに両想いになってからたったの数ヶ月で本気のプロポーズをしているのです。

いくらなんでも痛いです。

この時点でまだゆにが留学に悩んでるわけではないのですから卒業したらちゃんと付き合おう、で十分じゃないですか、なぜそうすぐに結婚しようとか言い出すのでしょうか。

まさかスタッフは原作を読んだ時に、この第4話のプロポーズがハルカがゆにに対して本気でプロポーズしたのだと思ったのでしょうか…

そうじゃないと思いたいのですが、実はこの場面の「どうせなら行くところまで行ってもいいかな」や「どうする?これって一応プロポーズなんだけど」というハルカのセリフがまさに第4話のプロポーズの場面と一緒のセリフです。

信じられません。

これも原作のハルカのチャラさをなくしたことによって生じたこの映画の問題点です。

この後、またもやゆにが視聴者の代わりに「結婚は飛躍しすぎ」と言ってくれますが、それに対してのハルカの返事が「本気見せろって言ったのはお前じゃないか」と、またもや意味不明な発言をします。

先ほども言いましたが、卒業したら付き合う、でダメな理由がよく分かりません。

この後、ハルカは「お前のために教師辞めてもいい」と言ってるくらいですから、本当に本気なようです。

色々と大丈夫でしょうか…

そして、ゆにもまた原作第4話に登場した「(そこまで言うなら)してあげてもいいですよ」と言うのですが…

なぜここに来てツンデレ発言?

映画のハルカだけでなく、映画のスタッフの精神状態も心配になってきました。

さすがにゆにのキャラがブレブレです。

先ほども述べたように、ここは原作からそのまま引用されたセリフです。

実際、原作ではこの場面で「枢木ゆに、16歳、性格はツンデレガール」と書かれています。

映画のゆには原作のようなツンデレではなく、超クールという設定のはずなのにここで急に原作に出てきたツンデレ発言をしているのです。

なんだか矛盾している気がします。

もしかして、このセリフだけで「Wツンデレラブストーリー」なんて言われているのでしょうか。

もはや何が何だかわかりません。

この後のゆにとハルカが海ではしゃぐところは、なんか見ていてすごく寒かったです、別の意味でにやけそうになりました。

正直、ここまででも色々ついていけないのにまだ追い打ちをかけるのかと思いました。

ちなみに劇場で見た時は、ここでも客席がざわついていました。


そんなわけで、ここまででまだ4分ほどしか経っていませんが、思っていたよりあまりにも長くなりすぎたので今回は急遽ここで切ります。

前回と今回で10分ちょっと、というところです。

個人的に映画近キョリ恋愛で1番やらかした場面がこの場面だと思います。

ハルカが見ていて本当に痛いのです。

ゆにのキャラもブレブレだし、ハルカの意味不明な発言に納得しちゃうし…

言っちゃ悪いですが、よくこんなのが映画化できたな、と思います。

原作を知らない人に、原作もこんな感じだと思われたらたまったもんじゃないです。


次回は的場に夏休みの連れ去りの件がばれます。

というか、もうばれていますけどね。


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第7巻は全編を通してハルカとレオの因縁が描かれています。
厳密には第8巻の第29話まで続くので、第8巻まで読むことをオススメします。